| すでにブガッティが世界最速であることは誰もが承知済み。今後は別分野で違いをアピールか |
ブガッティはシロン・スーパースポーツ300+にて市販車世界最高速となる前人未到の490km/h(TUVによって公的に証明されているが、ギネス立会いではないのでギネス記録とはならない)を達成し、これをもって「最高速争いから撤退する」と表明しています。
これについては様々な理由があるかと思われますが、ブガッティが記録を更新するとケーニグセグはじめ数々のスーパーカー/ハイパーカーメーカーが一斉に破りにかかり、これを「不毛」だと感じたのかも。
そしてすでに「ブガッティ=世界最速」ということは多くの人が認識しているため、これ以上最高速アピールを行う必要がないと判断した可能性もありそうです。
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ブガッティはこれから「コーナリング重視へ」
じゃあ今後ブガッティはどうするのということですが、ブガッティの研究開発部門のボス、ステファン・エルロート氏によると「最高速のプライオリティを下げ、コーナリングのプライオリティを上げる」。
実際のところ、直近のニューモデル「シロン・ピュール・スポール」はすでにこの考え方が反映されているといい、コーナリング重視のためにスプリングレートを高め、キャンバー角を変更し、グリップ重視のタイヤをミシュランと共同開発し、ギア比を18%短縮して50キロの軽量化を達成することに。
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そして同氏いわく、「一台のクルマの中に、最高速重視のセッティングとコーナリングマシンとは同居できない」。
もちろん今まででもそれは理解済みだと思われ、だからこそヴェイロンやシロンには「最高速アタック時に車両設定を変更する」ためのスピードキーが備わり、その変更内容が大きいためにいったん車両を停止させて設定を行う必要があったのだと思われますが、それでも「両方を達成するのは難しい(両方が中途半端になる)」と考えたのかもしれませんね。
加えて、最高速を試すことができる人は非常に少なく(以前にヴェイロンのオーナーがアウトバーンにて最高速に挑戦したが、環境が揃い、最高速を出せるまでに4年かかった)、しかしコーナリングであればより多くの人がその素晴らしさを実感することができるということもあって、ブガッティはより現実的な指標として最高速からコーナリングへと切り替えることにした可能性もありそう。
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実際にブガッティでサーキットを走ることは考えにくい
ただ、実際にそのオーナーがブガッティをサーキットに持ち込んで本気走行をするというのもまた考えにくく、しかしそれでもコーナリング性能をアピールするとなると「ニュルブルクリンクの最速タイム更新」しか方法がなく、もしかすると今後ブガッティはニュルブルクリンクへとその挑戦の対象を変えるんじゃないかと考えたりします。
ちなみに現在のブガッティCEOはステファン・ヴィンケルマン氏ですが、同氏は以前にランボルギーニのCEOも務めており、その際にはアヴェンタドールSVJ、ウラカン・ペルフォルマンテにてニュルブルクリンクのトップタイムを書き換えたことも。
その後同氏はブガッティCEOへと就任し、そこで真っ先に行なったのが「シロンスポーツ」を発売することで、このシロンスポーツは「ギア比の短縮、軽量化、足回りのハード化」であり、これはまさに「シロン・ピュール・スポール」と同じ手法。
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つまり現在の「コーナリング重視」はステファン・ヴィンケルマンCEOが「最初からやりたかったこと」でもあり、加えて同氏は「ニュルブルクリンク重視」という傾向が強く、よって「ブガッティのニュル挑戦」はけっこう”ありうる”かもしれませんね。
なお、ブガッティは「コーナリング重視」のほかにも「高級さと快適性」「芸術性追求」も打ち出しており、さまざまな方向性において「究極」を目指し、他ハイパーカーとの差別化を図ることになりそうです。
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