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ブガッティがW16ミストラルにて453.91 km/hを記録、「世界最速のオープンカー」に。もちろんカラーリングは「WRC」、この車両は23億円で顧客に納車

ブガッティがW16ミストラルにて453.91 km/hを記録、「世界最速のオープンカー」に。もちろんカラーリングは「WRC」、この車両は23億円で顧客に納車

Image:Bugatti

| ブガッティの速度記録挑戦車はすべてブラック(カーボン)とオレンジにペイントされている |

シロン世代のオレンジはヴェイロン世代から進化した「ジェットオレンジ」

さて、ブガッティは2010年6月にヴェイロン16.4スーパースポーツにて431.07km/hという世界最高速度記録を達成し、そこから「ブガッティ=最速」という伝説が始まったと考えていいかもしれません。

その後もブガッティは(ヴェイロンのオープンモデルである)ヴェイロン16.4グランドスポーツ・ヴィテスにて408.84 km/hという「オープンカー最速」記録を樹立し、さらに2019年にはシロン・スーパースポーツ300+をもって490.48km/hを記録して再び世界記録を塗り替えることに成功しています。

ただ、当時のブガッティCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏はこの「際限のない最高速争い」に参加することの無意味さを強調し、「これをもって最高速に挑戦することを終了させる」と述べ、ブガッティは記録競争からいったん退くこととなっていたわけですね。

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しかしCEOの交代とともにブガッティは再び記録に挑戦

ただしその後ブガッティがリマックと合併し「ブガッティ・リマック」となったのち、CEOが(リマックとの兼任にて)メイト・リマック氏へと交代。

そしてメイト・リマック氏はネヴェーラにて数々の記録を打ち立てたことでもわかるとおり「記録に熱心なCEO」であり、そこで今回の「W16ミストラルでの挑戦」になったのだと思われます。

7 BUGATTI W16 Mistral World Record

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なお、このW16ミストラルはおそらく「計画外」のモデルであり、しかしブガッティ・リマックとなったのちにメイト・リマック氏が「W16エンジン世代最後としてふさわしいモデルを」ということで突如追加されたオープントップモデル。

さらにシロン世代の車体はもともとオープン化を想定していなかったというので、このW16 ミストラルの開発は困難を極めたことが想像できますが、それだけメイト・リマック氏にとってこのクルマは”思い入れ”があるのかもしれません。

8 BUGATTI W16 Mistral World Record

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そして今回の挑戦はフォルクスワーゲングループの所有するエーラ・レシエン・テストコースにて行われており、チャレンジに使用されたのはブガッティの速度記録超戦車伝統の「ブラック(正確にはヴィジブルカーボン)とオレンジ」にペイントされた「ワールド・レコード・カー(WRC)」カラー。※このオレンジは「ジェットオレンジ」と命名され、ヴェイロン世代のオレンジとは異なるシロン世代専用の赤みが強いカラーリング

もちろんステアリングホイールを握るのはブガッティの誇るテストドライバー(ブガッティ・ピロート・オフィシエル)、アンディ・ウォレス氏で、同氏はハイパフォーマンスタイヤを温めることから始まり、バンクから直線へと開かれたコースでフルパワーを解き放つことにより記録的な速度を達成しています。

2 BUGATTI W16 Mistral World Record

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「テストプログラムを通じて、クルマがどれほど安定しているかを感じることができ、クルマがもっと”速く走りたがっている”と直感できました。そして実際の瞬間が訪れた時、その体験は圧倒的にスリリングでした。オープントップのコックピットから感じる空気の力、耳元で聞こえるW16エンジンの壮大な音――そのすべてがこの偉業を非常に感動的にしました。このような記録は、自動車の革新の限界を押し広げ、実現するには非常に高い集中力、献身、そしてチームワークが必要です。それは、ブガッティの全員が歴史を作るという情熱を持っていることの証です。」

ブガッティ・ピロート・オフィシエル アンディ・ウォレス

この記録は(ギネスではなく)第三者認証機関であるTUV(テュフ)によって正式に記録されていますが、ブガッティ史上初めて、最高速挑戦に際しブガッティのオーナーが招かれたといい、”最速の乗客体験記録を更新”したことについても触れられています。

ちなみにこの「W16ミストラル・ワールドレコードカー」はこの招待された顧客に納車されるそうで(1400万ユーロ=23億円だとアナウンスされている)、この顧客は「ヴェイロン16.4スーパースポーツ、ヴェイロン16.4グランドスポーツ・ヴィテス・ワールドレコードエディション、シロン・スーパースポーツ300+」というこれまでワールドレコードカーすべてを所有していること、そして納車先は「インディア・パンジャブのシン・コレクション」だとされるので、数々のハイパーカーを所有することで知られるクリス・シン氏であると思われます。

「1909年にブガッティが創設されて以来、このブランドは贅沢さ、優雅さ、そして性能における可能性の限界を超えることを目指してきました。ブガッティ・ワールドレコードカーはその歴史の中で、速度と力の頂点を象徴し、限界を新たに設け、何度も何度もブガッティ車両の能力を再定義してきました。そして今、W16ミストラル・ワールドレコードカーの比類なき偉業が歴史の一ページに刻まれ、私たちは歴史が単に繰り返されるのではなく、新たに作られたことを目の当たりにしています。この素晴らしい業績を可能にしたチーム全体を非常に誇りに思います――それは情熱と完璧を追求することによって達成された業績です。それこそがブガッティを定義するものであり、その偉業を本当に比類なきものにしています。」

ブガッティ・リマックCEO メイト・リマック

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参照:Bugatti

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