| 今のところは何の動きもウワサも無いけれど |
BMWはニュルブルクリンク近郊に「Mテストセンター」なる設備を持ち、そこではMモデルのテストや開発を行っているそうですが、今回なんと「Mテストセンター」にトヨタGRスープラが停まっているところが目撃。
GRスープラはBMWとの共同開発ではあるものの、現時点で「M」との関わりはなく、共同開発されたZ4にもMモデルつまり「Z4 M」が登場する予定はない、とされています(BMW M部門によると、Z4 Mの市場はあまりに小さい)。
トヨタGRスープラがBMW Mテストセンターにいる理由は?
よって、BMW Mが「Z4 M」の開発、そして比較のためにスープラを用意したとも考えにくく、ここにスープラがいる理由はまさに「謎」。
そしてここで考えられる理由としては「BMW M部門が、スープラのホットモデルのためにMエンジンを供給する」。
これはあながち「無い」話でもなく、というのもGRスープラ登場時から「ハイパフォーマンスモデルが追加される」という話が出ていたこと、BMW側も「Mエンジンを供給する可能性はゼロではない」とコメントしているため。
トヨタ「スープラにはハードコアモデルを用意。毎年改良を行う」。それに際してはBMWとの協業がプラスに働く場合、逆にマイナスの場合も
今年7月にBMW M部門のボス、マークス・フラッシュ氏が英国Autocarに語ったところでは「トヨタが(BM M部門の)Sエンジンを欲しがったことはないし、BMW Mもこのエンジンをトヨタに提供する意思を示したことがないので、具体的な供給予定はないが、その可能性はゼロではない」。
現在、新型スープラに採用されるのは335HPを発生する「B58」ですが、BMW Mは473HP版そして503HP版の「S58」エンジンを持っており、もしかすると、トヨタが望みさえすれば503HPのS58エンジンが搭載される可能性もある、ということになりそうです。
BMWには「ブランディングのため、M部門の”S”エンジンは他の会社に供給してはならない」というルールがあるものの、過去にはマクラーレンF1向けに「S70」エンジンを供給したという過去もあり、逆に考えると、ブランディング上でプラスになるのであれば、供給を行う可能性があるのかも。
実際のところBMWが「Z4 M」を発売しないのであれば、スープラがMエンジンを積んだとしてもBMWのクルマと競合する可能性は低く(強いていえばM2やM4だが、それらとは異なりスープラは2シーター)、むしろそのパフォーマンスを「Z4 M」のかわりに示し、Mエンジンの優秀さを世に示すこともできると思います。
加えてBMWとしては、トヨタにエンジンを販売することで利益をあげることもでき、何かと好都合かもしれません。
トヨタ側から見た場合、、トヨタがスープラにハイパフォーマンスバージョンを投入するとなると、現在のB58エンジンをチューンするというのが一つの手法で、しかしBMWはそれを許さない可能性もありそう(それでトラブルが起きれば、BMWにも響く)。
そうなるとトヨタは他からエンジンを調達せざるを得ないということになりますが、現在のマウントやトランスミッションにマッチさせるのは非常に困難であり、であればそれらの苦労がない「S58エンジン」をBMW Mから引っ張ってくるのが一番いい、とも考えられます。
BMWはGRスープラをベンチマークに使用?
そのほか、BMWがGRスープラをベンチマークとしてテストを行っている可能性もありますが、スープラはZ4と「ほぼ一緒」なのでスープラをベンチマーキングに駆り出す必要はなく(Z4を使用すればOK)、この線は薄いとも考えられます(加えてZ4のハイパフォーマンスバージョンを発売する予定もない)。
残る可能性としては、単にトヨタ関係者がBMW Mテストセンターへスープラに乗って訪れた、もしくはBMW関係者が「自分のクルマとして」GRスープラを所有しているということも考えられるものの、今後何らかの動きが見られることを期待したい、と思います。
仮にスープラが「S58エンジン」を獲得したとしても、その車両価格は1000万円くらいになるのは間違いなく、しかし現在の「RZに注文が集中している」ということを考えるに、1000万円であってもハイパフォーマンスなスープラであれば売れる可能性が十分にあり、トヨタの悲願でもある「打倒GT-R」が達成できるのであれば、トヨタは前向きにこれを考えている可能性も高そうです(なによりトヨタは”GRスープラ”に広告等の役割を求め、他の車種ほど厳しく採算性を追求しないと思われる)。
VIA:CARSCOOPS