
| 自動運転技術の最前線で、意外な「引き際」が話題に |
BMWがフラッグシップである7シリーズにおいて、あえて自動運転レベルを「引き下げる」決断
BMWが2027年型の7シリーズにてレベル3自動運転を廃止すると判断。
高額なLiDARを省き、安価で高機能なレベル2システムへと移行する理由、そしてメルセデス・ベンツやステランティスの動向も交え、自動運転技術の現実的な未来を考えてみましょう。
記事の要約
- 戦略転換: BMWが2027年型マイナーチェンジ(フェイスリフト)版7シリーズで、高額な「レベル3」自動運転システムを廃止
- コスト削減: 約100万円(7,000ドル)かかっていたシステムを、より安価な約25万円(1,700ドル)の新システムへ刷新
- 実用性重視: 次世代プラットフォーム「ノイエ・クラッセ」由来の高度なレベル2技術を採用し、コストと機能のバランスを最適化
- 業界の潮流: メルセデスやステランティスも同様に、高コストなレベル3よりも現実的なレベル2+への注力を加速
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自動運転レースに異変?BMWが選んだ「賢い減速」
「自動運転は進歩し続けるもの」という常識が今”曲がり角”を迎えており、BMWは7シリーズのフェイスリフトにおいて、これまで目玉機能の一つであった「レベル3(アイズオフ:視線を外せる自動運転)」の採用を見送ることを決定したとの報道。
一見すると技術的な後退に思えるものの、その裏には「高すぎて普及しない技術よりも、手頃で使い勝手の良い技術を」という、極めて現実的かつ戦略的な判断が隠されています。
なぜ「レベル3」は消えるのか?最大の壁はコスト
BMWがレベル3を断念した理由はシンプルに「コストと複雑さ」。
現在の「パーソナル・パイロットL3」システムは、高精度なLiDAR(ライダー)センサーや超高性能コンピューティング、さらに厳格な法的認証とフリート監視を必要とし、その結果、オプション価格は約6,000ユーロ(約100万円)という高額に達しているという現実も。
これに対し、新しく導入されるレベル2システムは約1,450ユーロ(約25万円)と大幅にコストが引き下げられ、それでいながらハンズオフ(手放し)走行や都市部でのナビ連動走行、自動レーンチェンジなど、ユーザーが実際に恩恵を感じる機能の多くを維持しています。
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新型レベル2(L2)とは
新型7シリーズ(2027年モデル)はBMWの次世代EVシリーズ「ノイエ・クラッセ」のデザイン言語を取り入れ”よりシャープな”外観へと刷新される見込みであり、5シリーズの刷新とともに直近の大きな目玉であると捉えられています。
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自動運転システムの変更点
| 項目 | 現行レベル3 (L3) | 新型レベル2 (L2) |
| システム名 | Personal Pilot L3 | Neue Klasse由来の新システム |
| オプション価格 | 約100万円 ($7,000) | 約25万円 ($1,700) |
| ドライバーの義務 | 特定条件下で視線を外せる | 常に前方を注視する必要がある |
| 主な機能 | アイズオフ走行 | ハンズオフ走行、自動車線変更、都市部ナビ連動 |
| 主要センサー | LiDAR + カメラ + レーダー | 高性能カメラ + レーダー(LiDARレス化) |
競合比較:メルセデス・ベンツやステランティスも追随
この「レベル3からの戦略的撤退」はBMWだけではなく・・・。
- メルセデス・ベンツ: 世界に先駆けてレベル3の認証を取得したものの、新型CLAでは中国・米国向けに「レベル2++」を優先投入。コストを抑えつつ都市部での自動走行を実現する方針を採用
- ステランティス: 昨年、莫大な開発費と消費者への普及率を懸念し、レベル3開発プログラムそのものを中止
業界全体が法的責任やコストが跳ね上がる「レベル3」の壁に突き当たり、まずは「高度なレベル2(レベル2+)」で市場を固める方向へとシフトしているというわけですね。
結論:ユーザーにとって「レベル2」こそが正解か
BMWのこの決断は技術的な敗北ではなく「市場への適合」。
100万円を払って特定の高速道路でしか使えない機能を手に入れるよりも、25万円で日常のドライブを劇的に楽にする機能を選ぶ——。
2027年、新しく生まれ変わる7シリーズは、ノイエ・クラッセ譲りの先進的なルックスとともに、より多くの人が手に届く「現実的なハイテク」を提示することになりそうですね。
参考:「レベル2」と「レベル3」の決定的な違い
自動運転のレベル分けにおいて、最も大きな壁は「責任の所在」です。
- レベル2: 責任は常にドライバーにあり、よそ見は厳禁
- レベル3: システム作動中、責任はメーカー(車両)に移る
この「メーカーが責任を負う」ための認証コストとバックアップシステムの構築が車両価格を大きく跳ね上げさせてしまう要因となっており、現在の需要と普及率では「コスパが見合わない」という判断が下されつつあるというのが”自動運転の現在地”です。
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参照:CARSCOOPS
















