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「ホットV」ターボエンジンを発明したのはBMW。その後メルセデス・ベンツ、フェラーリ、トヨタも採用するに至った現代エンジン最強の秘密に迫る

「ホットV」ターボエンジンを発明したのはBMW。その後メルセデス・ベンツ、フェラーリ、トヨタも採用するに至った現代エンジン最強の秘密に迫る

Image:BMW

| さすがBMWは「エンジン製造会社」だけはある |

この記事のポイント

  • 「ホットV」とは、V型エンジンのバンク内にターボを配置する画期的な構造
  • BMWが2008年に「N63」エンジンで市販車として世界初採用し、業界の常識を塗り替えた
  • レスポンス向上、コンパクト化、効率改善を実現し、今やフェラーリやトヨタも採用する世界標準に

ターボの常識を覆した「ホットV」とは何か?

かつてツインターボエンジンといえば、巨大なカタツムリのようなターボチャージャーがエンジンの横側に鎮座しているのが当たり前で、しかしその配置を文字通り「ひっくり返した」のがBMW。

ここで採用された「ホットV(Hot-V)」とは、V型エンジンのシリンダーバンクの「内側(谷間)」にターボチャージャーを配置するレイアウトのことで、通常は外側に配置される排気ポートを内側に、吸気ポートを外側に持ってくるという逆転の発想を行ったのがBMWであり、「バイエルン発動機製造株式会社=Bayerische Motoren Werke AG(バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ・アーゲー)」の面目躍如といったところですね。

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Image:BMW

そしてこの「ホットV」は現代のパフォーマンスエンジンの姿を決定づけることとなるのですが、なぜこの構造がこれほどまでに支持され、競合他社がこぞって採用するようになったのか、その理由を掘り下げてみたいと思います。


ラグを消し去り、パワーを引き出す「最短ルート」の科学

従来のターボチャージャーの配置では、エンジンから出た排気ガスがターボに到達するまで「長い排気管」を通る必要があり、これが「ターボラグ(アクセルを踏んでから加速するまでの遅れ)」の大きな原因でとなっています。

しかしホットV構造には、エンジニアたちが喉から手が出るほど欲しがった3つのメリットが存在し・・・。

  1. 圧倒的なレスポンス向上: 排気ポートのすぐ横にターボがあるため、排気ガスが冷める間もなく、最短距離でタービンを回すことができる
  2. パッケージングのコンパクト化: エンジンの外側に巨大なターボや配管がはみ出さないため、エンジンルームを小さくでき、車体設計の自由度が高まる
  3. 吸気効率の改善: 熱源であるターボが中央に集約されるため、外側にある吸気マニホールドを熱から遠ざけ、より冷たく密度の高い空気をエンジンに送り込める
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Image:BMW


歴史を変えた一台:BMW N63エンジンの衝撃

このホットVを世界で初めて市販車(V8エンジン)に搭載したのが2008年に登場したBMW X6 xDrive50iで、搭載された「N63」エンジンは当時のSUVとしては異例のパフォーマンスを発揮したことでも知られます。

【スペック比較】ホットV採用の先駆け:2008年型 BMW X6 xDrive50i

項目スペック
エンジン型式4.4L V型8気筒 DOHC ツインターボ (N63)
最高出力400hp @ 5,500–6,400 rpm
最大トルク600Nm @ 1,750–4,500 rpm
0-60mph加速5.3秒
配置の特徴バンク内にターボを配置する「ホットV」を市販車初採用

さらにこのN63エンジンは最新バージョンの「T3」では530馬力 / 750Nmにも達しており、この成功を見てライバルたちも黙ってはいなかったというわけですね。

  • アウディ: 2012年、S6に4.0L ホットV V8を投入。同門のポルシェ、ベントレーも採用に至る
  • メルセデスAMG: 2014年、AMG GTに「M178」エンジンを採用
  • スーパーカー勢: その後、マクラーレン・アルトゥーラ(V6)やフェラーリ SF90系 / 266系、ランボルギーニ テメラリオもこの流れに追随
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ホットVはもはや「避けては通れない」業界標準へ

今日、ホットVは単なる「面白いアイデア」ではなく、高性能V型エンジンにおける「唯一の正解」に近い地位を築いています。

最新のモデルだとトヨタ GR GTにもV8のホットVエンジンが搭載されることが明かされており、たしかにGR GTのパッケージングは「ホットVでなければ」成り立たないのかもしれません。

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Image:TOYOTA

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参考:なぜ「ホット」Vなのか?

ターボチャージャーは非常に高温(800℃以上)になる部品であり、それをエンジンの中心部に閉じ込めるため、谷間部分が非常に「熱く(Hot)」なることからこの命名がなされており、冷却技術の進化があって初めて成立した「極限の設計」でもあるわけですね。

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Image:BMW


BMWが示した「走りの未来」

2008年にBMWが踏み出した一歩は、自動車業界におけるエンジンのダウンサイジングと高効率化の決定打となっており、複雑な配管を捨て、熱と向き合い、効率を突き詰めた結果が今のぼくらが享受している「ラグのない力強い加速」に繋がっています。

このあたり、上で示した通り、さすが「バイエルン発動機製造株式会社」という正式名称を持つBMW、そして「駆け抜ける歓び」をスローガンに掲げるBMWだけのことはある、というところでもありますね。

ただし「ホットV」も万能ではない?

しかしながらこの「ホットV」、すべてのハイパフォーマンスカーに採用されるわけではなく、たとえばマクラーレンは最新ハイパーカー「W1」にて”ホットVではない”横置きターボチャージャーを採用しています。

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さらにはジェネシスもル・マン24時間レースに参戦する新型ハイパーカーへと搭載するV8に「横置きターボ」を選択していますが、これらはもちろん妥協の産物ではなく、「そうしたほうがより優れたパフォーマンスが得られるから」。

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もちろんそのパフォーマンスは「車体の設計とセット」となっているわけですが、もっとも大きな理由は「重心の低さ」だと思われます。

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参照:CARBUZZ, BMW

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