| もともとはメルセデスAMG GT 4ドアクーペに積まれると考えられていたシステムか |
さて、9月2日のワールドプレミアに向けてチョコチョコと情報が小出しにされている新型メルセデス・ベンツSクラス。
先日はその内装の画像が公開されており、「ヴィジョンEQS」そっくりな先進的なデザインを持つことも明らかになっています。
そしてつい先日、メルセデス・ベンツは各メディアを招いて新型Sクラスの試乗会を執り行ったようですが、そこで出てきた話が「フラッグシップモデルのメルセデスAMG S63eは800馬力以上を発生する」というもの。
4リッターV8ツインターボは603馬力
これはCar Magazineが報じたもので、4リッターV8ツインターボエンジンは603馬力、エレクトリックモーター(後輪を駆動するらしい)は201馬力を発生し、これによって0-100km/h加速は3.5秒をマークする、と言われています。
この3.5秒というのはフェラーリ・ローマの3.4秒とほぼ同じタイムで、つまりは「スーパーカーと同じ領域」。
AMG S63eは相当な重量級だと思われるものの、それでもこのタイムを記録できるのは「瞬時に、かつ停止状態からでも最大トルクを発生させることができる」エレクトリックモーターのおかげだと思われます。
なお、ハイブリッドシステムはバッテリーの重量が嵩むため、もともと車体の軽いスポーツカーやスーパーカーとは相性が良くないと言われ(重量増加分を回収できるだけのパフォーマンスを得にくい)、しかしもともと重いSUVやセダンに積むと一気にパフォーマンスを改善できるというメリットも(エレクトリックモーターの強大なトルクによって重い車体を軽々と動かすことができる)。※スポーツカーやスーパーカーの場合は、ハイブリッドのトルクやパワーに頼るよりも、さらなる軽量化やエンジンのパワーアップを行った方が効率がいい
ちなみにポルシェは現行911(992)にハイブリッドを追加すると公言しているものの、これについては「予期したほどの効果が得られていない」とも言われ、開発には相当に苦労している、とも言われています。
そして「ハイパフォーマンスなハイブリッド」の開発に手こずったのはメルセデス・ベンツも同じだと見え、というのもこの「800馬力のハイブリッド」はメルセデスAMG GT 4ドアクーペに搭載されてデビューされると言われていたため。
ただしメルセデス・ベンツはAMG GT 4ドアクーペにこれを積むことは叶わず、よって現在の(AMG GT 4ドアクーペの)トップレンジはガソリンエンジンを積む「AMG GT 63S 4MATIC+」となっているわけですね(639馬力、0-100km/h加速3.5秒)。
それでも今回、新型Sクラスに「AMG S63e」を設定するということは、ついに「800馬力のハイブリッドシステム」開発に成功したということになり、もしかするとこれは新型SLや、次世代AMG GTに搭載される可能性もありそうです。
いずれにせよ、エレクトリックパワーは、「鈍重だ」とされてきたセダンやSUVのパフォーマンスを一気にスーパーカーレベルとへと押し上げることになり、加速だけではなくコーナリング性能においても「トルクベクタリング」によってこれまでの常識であったパッケージング上の不利を一気にひっくり返してしまうことになるのかもしれません。
そう思うと、テクノロジーの進歩は常識や「物理の法則」すらもねじ曲げてしまう可能性も秘めていて、今後の「エレクトリック化前提」で設計されたセダンやSUVのパフォーマンスは「これまででは到達できなかった」領域に達することになりそうです。
参照:Car Magazine