| あまりの高価さにわずか30台しか生産されていない |
スーパーカー史上もっともレアなクルマのひとつ、イズデラ・インペレーター108iが競売に登場。
ちなみにぼくはチゼータV16T、ベクターW8、ジウジアーロ・アズテック、フェラーリ・ミトスらと並んでこのインペレーター108iを「古今東西、お気に入りのレアなスーパーカー」として愛しているわけですが、まさかこの売り物が出てこようとは・・・と驚かされています。
「イズデラ」はこんな自動車メーカー
自動車メーカーとしてのイズデラ(ISDERA)はメルセデス・ベンツのエンジニア、エーベルハルト・シュルツ氏によって設立されており、このインペレーター(Imperator)108iは1984~1993年にかけて30台(20台説もある)が製造されたスーパーカー。
今でこそ「億」というプライスタグを掲げるクルマは珍しくないものの、このイズデラ・インペレーターは1984年当時に1億2000万円という価格設定を行っており、つまりは常識はずれだったクルマ。
それでよく20台もしくは30台も売れたなという驚きもありますが、おそらく販売の助けとなったのは「ベースがメルセデス・ベンツ製のコンセプトカーだったから」。
もともとは個人的プロジェクトから誕生したクルマだった
メルセデス・ベンツは1978年に「CW311」なるコンセプトカーを発表しており、これはエーベルハルト・シュルツ氏が(メルセデス・ベンツ在籍時に)開発したクルマで、エンジンはメルセデス・ベンツ製、ステアリングホイールやメーター類、足回りはポルシェ928からの流用、という一風変わったモデル。
同氏がポルシェでも働いていたということ、当時ポルシェとメルセデス・ベンツとの関係がかなり近かったことからこういったコンセプトカーが誕生することになったのだと思われますが、今ではとうてい考えられないコラボレーションであり、そしてエーベルハルト・シュルツ氏が自由にこういったコンセプトカーを製作できたというのもまた驚きですね。
ただ、最終的にメルセデス・ベンツはこのCW311を市販しないと決めたため、エーベルハルト・シュルツ氏が自身にて「イズデラ社」を設立し、メルセデス・ベンツからCW311に関する権利を譲り受け、そこでさらなる開発、そして発売を行ったのがこの「イズデラインペレーター108i」。
なお、「イズデラ」は「Ingenieurburo fur Styling, DEsign und Racing」の略で、「エンジニアリング、スタイリング、デザイン、レーシング、という意味を持っています。
今回販売されるのは「5リッターエンジン」搭載モデル
このイズデラ・インペレーターに搭載されるエンジンには4種類が存在し、5リッターV8/5.6リッターV8(ともにM117型)、そして後期(1991年~)にはAMG製の5.6リッター/6リッターV8を搭載。
なお、インペレーター108iはその生産過程においてデザインが変遷しており、初期モデルはフロントグリルにメルセデス・ベンツのスリーポインテッドスターを持ち、ヘッドライトが固定式。
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ただし後期モデルではヘッドライトが(コンセプトカー時代同様の)ポップアップ式へと変更され、角ばっていたデザインが「やや丸く」アレンジされています。
この個体に搭載されるのは5リッターV8だとされ、なぜか後期型であるにもかかわらず、エンジンがAMG製ではないということに。
なお、トランスミッションはZF製の5速マニュアル、駆動輪は後輪のみ。
0-100km/h加速は5.0秒、最高速は283km/hとアナウンスされています。
このエキゾーストパイプはあまりに特徴的で、全体的なデザインを見るに、「現代でも余裕で通用する」と思います。
ちなみにインペレーター108iのデザインはジウジアーロ・アズテックにも通じるところがあり、ぼくはやっぱりこういった未来的なクルマが好きなんだな、と改めて実感させられます。
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イズデラ・インペレーター108iのインテリアはこうなっている
そしてこちらがイズデラ・インペレーター108iのインテリア。
完全にドライバーオリエンテッドで、助手席の人は蚊帳の外といった感じですね。
ちなみに5速MTは「ゲート式」。
アゼスト製のカーオーディオも取り付けられており、快適性も重視されている模様。
このイズデラ・インペレーター108iにつき、予想落札価格は最高で9000万円程度になるだろうと見られており、この価格を見ると、「正しく評価されているんだな」という印象を受けます。
なお、イズデラはつい最近復活を発表していますが、そのデザインが「ちょっと普通」になってしまったのが残念でなりません。
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参照: Bonhams