| さすがブルネイ王族、このクルマも所有していたとは |
ブルネイの王族が所有していたチゼータV16が中古市場に登場してちょっとした話題に。
正直言うと、ぼくが「スーパーカー」と聞いて連想するのはランボルギーニ・カウンタックでもフェラーリ512BBでもなくこのチゼータV16。
これはランボルギーニ・ウラッコのV8エンジンを2基連結したV16エンジンを搭載し、カウンタックのデザインで知られるマルチェロ・ガンディーニがデザインしたボディを架装した車です。
チゼータV16Tはこんなクルマ
なお、このV16エンジンは縦ではなく「横置き」、そしてトランスミッションは「縦置き」なので、上からドライブトレーンを見ると「T」字に見え、そこで「V16T」と命名されたようですね。
車体はオリジナル設計を持ち、シャシーはチューブラーフレームを採用。
ボディサイズは全長4443ミリ、全幅2060ミリ、全高1242ミリ(エンジン横置きなので幅広)。
エンジン出力は540馬力、0-100キロ加速は4.4秒、最高時速は328キロという「(発表された)1989年当時としては」相当に高いスペックを持っています。
そしてなんといっても特徴的なのはこのリトラクタブル・ヘッドライト。
しかもダブル!
リトラクタブルヘッドライトを持つクルマは世界に多々あれど、おそらく「ダブル」で開くのはチゼータV16Tくらいなんじゃないかと思います。
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なお、驚くべきことにこのチゼータV16Tを企画したクラウディオ・ザンポーリ氏によると、「工作機械は残してあるので、注文さえあれば今でも制作が可能」とのこと。
ちなみに発売当時は7000万円という驚異の値付けを行っており、販売されたのはわずか9台だと言われています(そのうち少なくとも1台がブルネイへ、そして2台が日本に販売されている)。
V16エンジンを積むクルマは意外と多かった
なお、現代では想像すらできないV16エンジンですが、かつてはけっこう注目されていたようで、いくつかのメーカーがこれに取り組んでいます。
かのBMWも実はV16エンジンをテストしたことも。
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近代だとやはりデヴェル・シックスティーンが有名ですね(ブガッティはW型だが16気筒)。
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チゼータV16Tは「ディアブロがこうあるべき姿」だった?
なお、チゼータV16Tのデザインがマルチェロ・ガンディーニであるのは上で述べたとおりですが、時を同じくしてランボルギーニはディアブロを開発しており、ボディデザインを同氏に依頼。
しかし出来上がってきたデザイン案が「あまりに角ばっていたため」、当時のランボルギーニの親会社であったクライスラーがこれに難色を示し、そこでクライスラーのデザイナーによって手直しされたのが実際に発売されたディアブロだと言われます。
ただ、マルチェロ・ガンディーニはこれに納得がゆかず、もともとディアブロに採用したかったデザインをチゼータV16Tに転用した、とも報じられています(けっこう自身のデザインに対して誇りを持つ人だったようで、ブガッティEB110のデザインについても、ブガッティからフロントグリルのホースシュー再現につきデザイン修正を求められ、それが嫌で途中で降り、EB110のデザイナーとしての名前も出してくれるなという三行半を叩きつけたと言われている)。
チゼータV16Tのインテリアはこうなっている
そしてこちらはチゼータV16Tのインテリア。
ボディと同系色のレザーで覆われますが、おそらくこれはブルネイ国王の「好み」。
これまでにも何度かブルネイ王族のコレクションが公開されたり売却されていますが、そのうちの多くは「内外装とも同系色」を持っていて、もちろんブルネイ王族の指定によってカスタムされたものだと思われます。
センターコンソールは「昔のスーパーカー風」。
こういったスイッチ類も現代ではもう見られないものですね。
メーターはなんと400km/hスケール。
ドア内張りの「斜めのステッチ」もいにしえのスーパーカー、といった感じですね。
ブルネイには驚くべきカーコレクションが存在する
そしてブルネイには驚きのカーコレクションがあるといい、フェラーリF40を11台も「イッキ買い」したことも。
ただしフェラーリはロッソ(レッド)のF40しか製造しなかったので、ピニンファリーナに依頼してカスタムしたと報じられています。
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ちなみにそのコレクションは3,000台以上ある、とも言われていますね。
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参照:Curated