| ポルシェは1955年に4WDオフローダーを作っていた |
ポルシェは現在「カイエン」「マカン」というオフローダーを持ちますが、今回オフィシャル動画として「597 Jagdwagen(ヤクトワーゲン)」にまつわるストーリーを公開。
これは当時ドイツ政府が各自動車メーカーに対してオフローダー開発の命を出し、それに応じてポルシェが軍用車として設計されたものですが、その頃はまだポルシェはオフローダーに関してのノウハウはなく、しかし「ポルシェらしく」一切の妥協無しに作ったクルマ。
ポルシェは軍用車でも高価だった
もちろんポルシェは真剣にこれを設計したので価格が高くなってしまい、そのため正式採用には至らなかったようですが、しかしドイツ政府は50台を買い上げた、とされています。
結局のところ生産台数は71台にとどまり、ポルシェは開発にかかったコストを回収するためかイギリス軍とフランス軍に対してもこの597ヤクトワーゲンのプレゼンテーションを行ったようですが、その後ドイツ政府はポルシェに対して(他国にこれが渡るのを恐れて?)生産中止を指示し、そのため現在は「非常に希少」なモデルに。※現存台数は不明。10台以下と言われる
なおエンジンは1600cc、トランスミッションは4速、出力は50馬力、最高時速は100km/h。
これはポルシェの公開した動画のキャプチャですが、こんな感じで雪だろうがなんだろうがバンバン走行。
そして水にも浮くことができたので、こんな芸当も可能。
それでは動画を見てみよう
こちらがポルシェによるオフローダーのルーツ、ヤクトワーゲンを紹介する動画、「Porsche Type 597 “Jagdwagen”: The story behind the floating Porsche all-terrain vehicle」。
ポルシェの軍用車といえば「キューベルワーゲン」
なお、このヤクトワーゲンのほか、ポルシェは「キューベルワーゲン(Type82、そのほかのバリエーションも)」も設計。
これはフォルクスワーゲン・Type1、つまりビートルを軍用車に転用したもので、1940年から1945年までにじつに5万台以上が生産されています。
終戦後は世界各地に「払い下げ(もしくは横流し)」されたようで、以前にバリ島を訪れた時にやたら走っていたことを思い出しますが、それだけ「頑丈」ということですね。
ビートルがベースなので後輪駆動となり、つまり4WDではないものの、リアエンジンのためトラクションがかかりやすく、どのような地形でも走破できた、とも言われます。
加えて空冷なのでラジエター液がいらず寒冷地でも(ラジエター液が)凍らない、構造が簡単なので整備も楽、というメリットがあった模様。
そのために兵士からの信頼も厚かったといいますが、ポルシェはこのほか「戦車」や「月面走行車」の設計も行なっていて、昔から「技術的なチャレンジ」「要望があればなんでも設計した」ということもわかりますね。
VIA : 911magazine