| ターボ化は考えず、フリクションと給排気ロスの低下によって高回転化を狙う |
ポルシェはつい一ヶ月ほど前に「718ケイマンGT4」を発表した掛かりですが、さらに過激な「RSS」モデルを発売するのでは、というウワサ。
これは今回ポルシェのボクサーエンジン開発責任者であるマークス・バウマン氏がオーストラリアのカーメディア「Carsales」に対して語ったもので、新しくケイマンGT4/ボクスター・スパイダーのために開発された6気筒ボクサーエンジンは「ターボ無しでも」まだまだ高出力化できる、とのこと。
718ケイマンGT4/ボクスター・スパイダーのエンジンには出力向上余地が残されている
なお、先日公表されたとおり、ケイマンGT4に積まれるエンジン(420馬力)は911GT3に積まれるエンジン(500馬力)とは別モノで、これは911カレラに積まれる「ターボつきの3リッター・フラットシックス」のターボを外して4リッター化したもの。
順当に考えると、そこまで面倒なことをしなくても「911GT3のエンジンをデチューンしたらいいんじゃないの」と考えがち。
ただ、ポルシェによれば911GT3のエンジンにはチタンコンロッドなど「非常に高価な」パーツが採用され、かつ手作業で組み立てられるのでコストが高く、これをケイマンGT4に積むと「車両価格も非常に高くなる」ために採用を見送ったとしています。
そして今回、そのケイマンGT4のエンジンについて「まだまだパワーを出せる」という発言がポルシェのエンジン開発担当者から直接出てきたということになりますが、その手法としては「911GT3のエンジンに採用されるパーツを部分的に使用する」等で実現可能だそう。
ただ、ぼくは自然吸気エンジンのパワーアップは非常に難しいと認識していて、パーツの交換でそこまで出力が変わるのかと訝ってしまうものの、ポルシェのエンジン開発担当者が「できる」というからには間違いないのだと思われます。
なお、ポルシェによると出力を向上させるには「いくつかの」方法があるといい、ひとつは「フリクション(摩擦)を低減すること。
そのほかは給排気のロスを低減することで、これらによってピストンスピードを向上させ、許容回転数を引き上げて出力を向上させるのだと語っています。
つまり718ケイマンGT4に採用されるエンジンのレブリミットは8000回転ですが、これをもっと「上げることができる」ということなのでしょうね。
マークス・バウマン氏いわく、「エンジニアにとって、もっとも(718ケイマンGT4のエンジン開発で)ハードルが高かったのはレブリミットの引き上げだった」といい、実際に718ケイマンGT4のエンジンは981世代のケイマンGT4に比較して200回転の「高回転化」がなされていますが、この200回転が難しかった、ということに。
それを考えると「さらなる高回転化」もまた高いハードルということになりますが、常に「自ら上げたハードルを」乗り越えてきたポルシェなので、いかに困難であっても必ず乗り越えてきそうですね。
なお、マークス・バウマン氏いわく「戦略上の理由で、911GT3とケイマンGT4には一定の馬力差がなくてはならない」とも語っており、これは「価格と馬力の差」ではなく、実際にサーキットを走ったときのタイム差に序列ができるのに十分な馬力差と考えるのが妥当。
つまり718ケイマンGT4は現時点で「意図的に高出力化を一定レベルで止めている」ということにもなり、「911GT3」が992世代へと移行した際には、さらに出力を向上させた「718ケイマンGT4 RS」が登場するのかもしれませんね。
Source: Carsales.com.au