| ポルシェはもっとも成功している自動車メーカーのひとつだが、その危機感は強い |
ポルシェの財務担当役員、ルッツ・メシュケ氏によれば、「今後、ポルシェは自動車を売るだけでは会社が成立しなくなるだろう」とのこと。
これは英国Autocarのインタビューに答えたもので、「現在、我々の顧客は2台、3台、4台と複数のポルシェを購入している。だが、今後クルマに代わる移動手段が普及したり、カーシェアが普及すると、その台数は1台もしくは2台となるかもしれない。よって、我々は、自動車を売る以外のビジネスにも投資しなくてはならない」。
ポルシェ自身は自動車メーカーとして、長期的なタームで渋滞を解消しなければならないと考えており、これについては継続的に取り組んでゆく意向。
たしかに、ポルシェは「最適な速度で走る」ことを目的とした自動運転の開発を以前にアナウンス済み。
これは「カーブを曲がる速度が遅すぎることで渋滞が引き起こされる」ということに着目し、クルマが「遅すぎず、速すぎない」速度にて自動でカーブを曲がるというもの。
この最適な速度はセンサー類によって算出されることになりますが、ほとんどの人は最適な速度よりも「遅く」走っているという前提となります。
なかなかカネになるビジネスは見つかるものではない
ただ、ポルシェによれば、「こういった渋滞解消方法は、十分な利益をもたらさない」。
利益という観点だと「カーシェア」も大きな利益を産まないとしており、もっと別のビジネスに投資する必要がある、と考えているということですね。
最近のポルシェの投資といえば「リマック」で、これはクロアチアのEVメーカー。
ピニンファリーナ初のエレクトリックハイパーカー「バッティスタ」のシステムを手掛けたり、その他にもブガッティ等フォルクスワーゲングループのエレクトリックカーに技術を提供する可能性も報じられています。
ポルシェがここに資金を投じる意味としては、その技術を得たいということに加え、リマックが得る利益から、株式の保有比率(15.5%)に応じた配当を得るための「投資」ということにもなりそうです。
つまり、ポルシェは、リマックがまだまだ伸びると考えており、リマックを「収入源」だと考えているということになりますね。
そのほかにもポルシェはソフトウェア会社、高級タワーマンション建設など様々な分野に投資しており、直近ではボーイングと共同し、「空飛ぶ車」事業にも参入。
加えて映画「スター・ウォーズ」とのパートナーシップ契約にて、「宇宙船をデザインする」という新ジャンルにも挑戦しています。
ポルシェ同様、将来に不安を抱える自動車メーカーも
こういった傾向を見るに、ポルシェは自動車業界の将来に対して非常に強い不安を抱えているということがわかり、「自動車以外」へと手を広げないと生き残れない、と考えているということですね。
なお、これと同じように考えるのは「トヨタ/レクサス」ですが、こちらはポルシェとは異なって「モビリティ」の範疇にてその活動範囲を広げる意向を示しています。
自動車の電動化はもちろん、船舶や航空機といったジャンルについても積極的に展開する方針を公表していますね。
ただ、ポルシェの現実としては、「有力なビジネス」についてただ今模索中といったところで、はちみつやワイン、動物園といった「変わり種」ビジネス(小規模)についても報じられており、まだまだ「次の柱」は見つかっていないのかもしれません。