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ポルシェが出荷した「最後の空冷911」、”ラストワルツ”が1億円オーバーで落札される。パワーアップ含め様々なOPが装着済み、ポルシェによる「最後の空冷モデル」証明書も

ポルシェが出荷した「最後の空冷911」、”ラストワルツ”が1億円オーバーで落札される。パワーアップ含め様々なOPが装着済み、ポルシェによる「最後の空冷モデル」証明書も

Image:Bonhams

| 製造されたのは「空冷ポルシェの生産終了4日前」ではあるが、その後にポルシェによるカスタムがなされたため「出荷ベース」での最後の個体に |

おそらくこの落札価格は993世代のポルシェとしては2番目に高い金額だと目される

さて、993世代のポルシェ911ターボが614,200ポンド(現在の為替レートにて1億1730万円)という高額で落札され、おそらくは「993ターボで2番目に高い」個体になったと報じられています。

ちなみに「一番高価な993ターボ」はポルシェが自ら(20台のみが生産された993ターボクラシックシリーズをベースとして)レストモッドを行った”プロジェクトゴールド”で、こちらの価格は今後しばらくは抜かれそうにない3,415,000ドル(約4億8930万円)。※この売却価格はチャリティに充てられている

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なぜこのポルシェ911ターボは高額で落札されたのか

なお、993は空冷では「最後」の世代であり、964や930、911世代に比較すると「相場は低め」。

それでもこの993ターボがここまで高値で落札されたのは「ポルシェの工場から出荷された最後の911」だと言われているからで、シャーシ番号 WP0ZZZ99ZWS370750、そして空冷ポルシェ生産終了予定日のわずか4日前の1998年3月27日に生産されています(ちょっとややこしいが、最後に”生産”された空冷911はコメディアン俳優にして高名なポルシェコレクター、ジェリー・サインフェルドに販売された911カレラ4Sで、今回落札されたのは最後に”出荷”された個体である)。

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そして最後の製造でないにもかかわらず「最後に出荷」されたのは”製造後にカスタムがなされたから”。

ここも説明を要するところではありますが、当時のポルシェは(996の初期まで)「カスタム仕様」で注文を受けていたとしても、「まず通常の仕様で車両を生産し」、そこからパーソナリゼーション部門”エクスクルーシブ”へと車両を送ってカスタムを行うという手間のかかる方法を採用していて、たとえばカタログにない範囲のカラーを持つカーペットを指定して注文した場合、たとえばカタログカラーのカーペットにて生産され、その後エクスクルーシブが車両を受け取り、シートやら何やらを外してカーペットを剥がして張り替えるということを行っていたわけですね。

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よって、このポルシェ911(993)ターボもまた、普通のポルシェ911ターボとして生産された後、エクスクルーシブへと移送され、そこで「内装が分解されて」ナイトブルーのレザーへと張り替えられ、メーターもバラバラにされて文字盤がブルーへと変更されたほか、ダッシュボードには「In Memoriam Prof. Ferry Porsche」というプレート、キックプレートには「The Last Waltz」というフレーズが誇らしげに刻まれています。

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さらにこの911ターボには希少な「WLS2アップグレード(エンジンが444 馬力にパワーアップする)」が組み込まれ、さらにこのアップグレードにはストラットブレース、ツイン テールパイプ、追加オイルクーラー、92リットル(大容量)燃料タンクも含まれており、この車両を単なるコレクター アイテムではなく、”真のパフォーマー”たらしめています。※機械的なアップグレードに関してもすべて「後付け」されることになる。よって当時のポルシェのオプションはとんでもなく高価であった

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そのほかにも数々のオプションが盛り込まれ、かくしてこの911ターボは改装に時間を要し、オーナーに向けて出荷されたのが製造から約半年が経過した1998年9月5日となったわけですが、この車両には「工場から出荷された最後の空冷911であることを証明するレター」が付属しているのだそう。

参考までに、オークション開催前には「70万ポンド~80万ポンドでの落札」というエスティメイトが出されており、よって614,200ポンドというのは予想を下回る金額となってしまっていますが、これまでに落札された(プロジェクト・ゴールド以外の)993ターボ(ターボSを除く)の最高落札額である324,000ポンドを軽々と超えており、その特異性から今後も価値を維持し、上げ続けることは間違いないと見られています。

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参照:Hagerty, Bonhams

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