
| ポルシェのトップが認めた「EVシフト」の誤算 |
数年前のフォルクスワーゲングループは全体的に「客観的な判断を欠いていた」
「あの時の判断は、今の状況では正しくなかった」——。
2026年1月1日付でポルシェのCEOを退任したオリバー・ブルーメ氏(現在はフォルクスワーゲングループCEOに専念)が、ドイツ紙のインタビューで驚くべき本音を明かしたことが明らかに。
ポルシェのベストセラーSUVである「マカン」を次世代からEV専用モデルに絞り込み、ガソリン車(ICE)モデルを段階的に廃止するという決定について、同氏は事実上の「失策」であったと認めています。
そして実際のところ、EV市場の減速と根強いガソリン車需要という「現実」を前に、ポルシェは今、劇的なUターンを始めているわけですね。
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この記事の要約
- 前CEOの告白: オリバー・ブルーメ氏がマカンの「EV一本化」判断の誤りを認める。
- 新型ガソリンSUV: 2028年に、マカンの実質的な後継となる新型ガソリン/ハイブリッドSUVを投入決定
- 718も存続: EV化が予定されていた「718ボクスター/ケイマン」も、エンジン車併売へ方針転換か
- 新体制へ: 元マクラーレンCEOのマイケル・ライターズ氏がポルシェの新トップに就任
なぜポルシェは「間違い」を認めたのか?
ポルシェが強気に進めていたEVシフトにブレーキがかかった理由は、主に3つの要因があります。
- 市場の冷え込み: 特に米国や中国市場において、高級EVの需要が当初の予測を大幅に下回った
- サイバーセキュリティ規制の壁: 欧州では2024年に現行ガソリン車マカンが規制(GSR2)により販売終了となり、しかし世界市場では依然としてガソリン車の注文が絶えなかった
- インフラの遅れ: プレミアムセグメントの顧客であっても、長距離移動における充電の不便さを嫌う層が予想以上に多かった
こういった背景をもとに、オリバー・ブルーメ氏は、「当時はEVマカンがその穴を埋めると確信していたが、今の状況は違う」と、市場の変容に柔軟に対応する姿勢を示しているのがポルシェの現在地です。
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今後の製品戦略:2028年に「マカン後継」ガソリン車が復活
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ポルシェ、電動化から方向転換。2028年にマカン後継となるガソリン/ハイブリッドSUVを投入へ
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1. 2028年登場の「新型ガソリンSUV」
現行マカンの生産は2026年半ばに終了し、しかし2028年にはそのセグメントに全く新しい内燃機関(ICE)搭載のクロスオーバーが投入されることが決定しています。
- 名称: 「マカン」の名はEV専用となるため、別の名前になる可能性が高い
- プラットフォーム: 新型アウディQ5と共有する「PPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバッション)」を採用
- パワートレイン: 最新のガソリンターボおよびプラグインハイブリッド(PHEV)が中心
2. 718ボクスター/ケイマンの「エンジン継続」
これまで「次期型はEVのみ」とされていた718シリーズも、エンジン車を併売する方向で再設計が進められていおり、EV専用設計だったプラットフォームを、急遽ガソリンエンジンも搭載できるように「逆エンジニアリング」するという異例の事態となっています。
なお、718ボクスター・ケイマンの「ガソリンエンジン搭載モデル」についてはまだ詳細が明らかになっておらず(ポルシェ内部でも議論が戦わされているのかもしれない)、「トップグレードのみ」にとどまるというウワサも出ていますね。
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ポルシェのパワートレイン戦略(2026年以降の予測)
| 車種 | EV (電気自動車) | ICE / PHEV (エンジン・ハイブリッド) |
| マカン | 第2世代(販売中) | 2028年に別名モデルとして復活 |
| 718シリーズ | 2026年頃登場予定 | 現行継続または新型へのエンジン搭載 |
| カイエン | 2020年代後半にEV版登場 | 2030年代までエンジン車を併売 |
| 911 | ハイブリッド化 (EV化は当面なし) | エンジンの聖域として存続 |
新CEOマイケル・ライターズ氏の役割
2026年から新しいポルシェCEOとして舵を取るマイケル・ライターズ氏は、フェラーリのCTOやマクラーレンのCEOを歴任した「生粋のスーパーカー屋」。
同氏はかつてポルシェでカイエンやマカンの開発責任者を務めていた経緯もあり(エンジニアリング畑出身である)、今回の「エンジン車回帰」という難しい、そして様々な技術的要件をクリアせねばならない状況での舵取りを任されるにふさわしい人物と言えます。
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もちろん電動化を諦めたわけではなく、しかしシャオミはじめ「直接競合する」中華EVが次々と現れる中、ポルシェは「エンジンの鼓動」という独自のブランド価値を再定義しようとしており、2028年、再びガソリンの匂いとともに登場する「新しいSUV」が、ポルシェの正解を証明することになるのかもしれません。
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参照:Motor1


















