| アルファロメオはこのトナーレに対し、なみなみならぬ期待をかけているようだ |
アルファロメオ「初」、自動車業界「初」が盛りだくさん
アルファロメオがかねてよりティーザーキャンペーンを行っていた新型SUV「トナーレ」を正式発表。
「トナーレ」とは「ステルヴィオ」同様に峠の名称を採用したもので、これはアルファロメオが「走るiPadではなく、ドライバビリティに特化したブランドになる」という意思を前面に押し出しているためだと考えて良さそう。
ポジションとしては「エントリーモデルとなる小型SUV」であり、これまでのジュリエッタが担っていた位置に取って代わる、と言われています。
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トナーレはアルファロメオ復活の鍵になる?
そしてこのトナーレは新世代のデザイン言語を採用しており、アルファロメオ復活の狼煙を上げる第一号。
アルファロメオはステランティスの中では「プレミアムスポーツ」を担当することになりますが、地元欧州でも(2021年の販売は)前年比で30%程度落ち込み、20年前の全盛期に比較するとわずか1/8程度に留まっているといわれます。
ライバルはアウディQ3、BMW X1、メルセデス・ベンツGLAあたりになると思われ、パワートレインについてはガソリン、ハイブリッド、そしてプラグインハイブリッド(PHEV)、そしてそれぞれにFFと4WD(AWD)が用意され、トランスミッションはATのみ。
ボディサイズは全長4530ミリ、全幅1840ミリ、全高1600ミリ、ホイールベースは2636ミリという(現代では)コンパクトなサイズを持ち、今年夏あたりから納車が始まるとされています。
価格については350万円くらいからと言われるものの、現時点では(日本での発売含め)公式な発表はなく、追って情報をお届けしたいと思います。
新型アルファロメオ・トナーレのデザインは完全に新世代
そしてトナーレのトピックの一つはその外観。
「3 x 3」をテーマにしており(なぜ”3”なのかはわからない。33ストラダーレを意識している?)、ヘッドライト内部にも「3」をモチーフにしたと思われるデイライトランニングランプが仕込まれます。
ちなみにこの「3つのブロック」はぼくに「アルファロメオSZ/RZ」を思い起こさせます。
リアもやはり3つの反復されるデザインに。
テールランプにはアルファロメオSZ/RZとの共通はなく、しかしこういった「一直線」なところは共通点といえば共通点なのかもしれません。
なお、このスタイリイングの多くは3年前に発表された「トナーレ・コンセプト」にて採用されたもので、ドアミラーやフラッシュマウントドアハンドルの採用は見送られたものの、フロントバンパーやヘッドライト、ホイールアーチのデザインなど、多くはそのコンセプトに忠実であることもわかります。
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新型アルファロメオ・トナーレは「走り」を意識
採用されるプラットフォームは新設計ではなく、ステランティスの持つ、ジープ・コンパス等にも採用されるFCAプラットフォームの改良版で、しかしアルミニウムの使用量を拡大したほか、PHEV化のための変更も行われた「トナーレ専用」になっている、とのこと。
なお、上述の通りアルファロメオは「ドライバーズカー」ブランドへと舵を切ることになりますが、それを証明するひとつが「ステアリングレシオ」。
トナーレではクラスでもっとも小さい13.6:1のレシオを持ち、ブレンボ製4ポットブレーキキャリパー、周波数選択式ダンピング(FSD)を採用したコニ製ショック(オプションではアダプティブサスペンションも選べる)を採用し、他社のSUVに比較すると「相当にスポーティな(もしくはスポーツカーでも持たないような)」装備が与えられています。
ちなみに電制デフこそ与えられていないものの、適宜4輪のブレーキを制御し、相対的に「トルクが必要な」タイヤにトルクを分配できるデバイスを装備しているようですね。
パワートレインに関して触れておくと、ハイブリッドバージョンだと1.5リッター4気筒ガソリンエンジンと48ボルト15kWという仕様のエレクトリックモーターを組み合わせ、7速デュアルクラッチトランスミッションを介して前輪のみを駆動する2種類のレギュラーハイブリッドがあり、ベースモデルだとガソリンエンジンの出力は128ps(130PS)、上位モデルだとVGT(可変ジオメトリーターボ)採用にて158ps(160PS)にまでパワーアップ(エレクトリックモーターに変更はない)。
両モデルとも、発進、巡航、駐車をエレクトリックパワーのみで行うことが可能です。
4WD版のQ4 PHEVでは、ハイブリッド車よりも小さな1.3リッターガソリンエンジン(ちょっと意外)を搭載して前輪を、そしてエレクトリックモーターにて後輪を駆動し、システムトータルにて275馬力を発生することで(ジープ コンパス 4XEのシステムと同様ではあるが、出力が向上している)0-100km/hを6.2秒で加速する、と発表されています(他のモデルの加速性能は公表されていない)。
アルファロメオ・トナーレQ4に搭載されるバッテリーパックは15.5kWh、そしてエレクトリックモードのみだと最大で80kmの走行が可能だといい、かなり高い実用性も備えているということになりますね。
ちなみに北米では、275馬力のPHEV Q4 AWDに加え256馬力を発生する2.0リッターターボ4気筒エンジンと9速オートマチック・トランスミッション、そして4WDを組み合わせたトナーレQ4 AWDを用意している、とのこと。
なお、アルファロメオはこのプラットフォームを流用して「ピュアEV版」トナーレを発売する計画についても言及しており、それが「2024年に登場するという、アルファロメオ初のEV」となるのかもしれません。
新型アルファロメオ・トナーレのインテリアはこうなっている
そしてこちらが新型アルファロメオ・トナーレのインテリア。
残念ながらマニュアル・トランスミッションの用意はないといい(その理由として、トナーレは”プレミアムカーだから”とされている)、しかしフェラーリのような大きなパドルにしてシフトチェンジを行うことが可能。
そのほかTFTメーター(12.5インチ)、アレクサ搭載のタブレット型インフォテイメントシステム(12.5インチ)の採用がトピックとなっています。
ちなみにデジタル化されたといえど、メーターは1960年代から続く「ダブルカウル」内に収められており、3つの表示パターンを選択できるうえ、そのうちのひとつは「レトロな」グラフィックを持つと紹介されています。
そのほか、おなじみDNAドライビングモードセレクターを備え、これによってステアリング、スロットル、アダプティブダンパー(オプション)の設定を変更できるほか、ハイブリッドモデルの場合、そのパワートレインの設定も変更できるようですね。
なお、アルファロメオは上述の通り「販売が芳しくない」状況ではありますが、この状況を脱するため、アルファロメオは車両保証期間を5年に延長し、ハイブリッドモデルの場合はバッテリーを8年または15万キロまで保証するうえ、残存価値を向上させるため、中古車購入者にも新車購入時と同様の保証を提供するとしています。
やはりそのブランドが長期に渡って成功を得られるかどうかは「中古相場の底上げ」が大きく関係しており、このあたりはフェラーリを参考としたのかもしれません。
さらにアルファロメオは独自の取り組みを見せ、メンテナンスに関しては「車両を預ける場合に行った説明以上の作業が必要となった場合」にはユーザーに対してその理由等を説明する動画を配信して理解を得る「ビデオチェックシステム」の導入をしたこと、車体への「自動車業界初」となるNFT(non-fungible token)技術の搭載についてもアピール。
車体にNFTとは一体?と思ったのですが、これは「顧客の同意を得て車に関する記録を残し、その車が適切にメンテナンスされていたことを証明する」ためのデータ保存だとされ、このデータをひとつの(中古車販売時の)付加価値とすることを考えているようですね。
とにかくこのトナーレはそのメカニズム、デザイン、販売やメンテナンスにおいてまで革新的な手法を取り入れているということになりますが、その販売動向については注視してゆきたいと思います。
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アルファロメオ・トナーレを紹介する公式動画はこちら
参照:Alfaromeo