| フェラーリは1970年にこんな未来的な車を作っていた |
以前に「ストラトスHFゼロ」を紹介しましたが、ストラトスHFゼロと当時双璧をなしたコンセプトカー、「フェラーリ・モデューロ(Ferrari Module)」もまた忘れてはならない存在。
正式名称は「フェラーリ PF 512 S モデューロ」で、発表は1970年のジュネーブ・モーターショー。
発表時はブラックにレッドのラインが入ったデザインでしたが、その後ホワイトにペイントされて1970年に大阪で開催された万博にも展示されたことで知られます。
モデューロのモチーフは宇宙船
「モデューロ」はイタリア語で宇宙船のキャビン(モジュール)を指すとされますが、まさにそのスタイルは宇宙船そのもの。
シャシーはフェラーリ612P、ボディはピニンファリーナ(パオロ・マルティン)によるデザインとなっています。
画像でモデューロの後ろにあるのは「木型」。
当時はこれにスチールやアルミの板をあてがい、その上からハンマーで叩いてボディパネルを成形していたわけですね。
モデューロは5000cc/V12エンジンをミドシップマウントし、トランスミッションは5MT、駆動輪は後輪のみ。
全長4480ミリ、全幅2048ミリ、全高はわずか935ミリ。
ベルトーネ「ストラトスHFゼロ」の830ミリには及ばないものの、かなり低い車であることがわかります。
なお形状も独特ですが、「キャノピー」がスライド開閉することもこの車ならではの構造で、当時はこういった「ドアの無い」コンセプトカーが流行りだったのかもしれません。
大阪万博に展示れた際にはケン・オクヤマ氏もこれを見に訪れたとされており、2017年にランボルギーニ・アヴェンタドールをベースにカスタムされた「Kode 0」はストラトス・ゼロ、フェラーリ・モデューロを現代に蘇らせたものであるとも語っていて、加えてこの時期のコンセプトカーがもっと「コンセプトカーらしかった」とも。
たしかにこの時代のコンセプトカーはいずれも「未来」を感じさせるもので、この「フェラーリ・モデューロ」も本来自動車にあるべきヘッドライトやウインカー、ストップランプなどを(ある意味ではタイヤさえも)極力目立たないようにデザインしています。
ずっとピニンファリーナ本社にて保管されていたものの、2014年には競売にかけられ、「スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス」を立ち上げたカーコレクターにして映画監督のジェームズ・グリッケンハウス氏がこれを購入。
同氏は最近もスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)よりスーパースポーツカー「SCG004S」を発表していますが、これはフェラーリP4/5風のスタイリングを持つ車。
グリッケンハウス氏はこれまでにもフェラーリ(もしくはピニンファリーナ?)を通じてエンツォ・フェラーリベースのP4/5ピニンファリーナ、フェラーリF430ベースでP4/5コンペティツィオーネを制作しており、相当にフェラーリやピニンファリーナに対して思い入れがあるようですね。