| セルジオ・マルキオンネならやりかねない |
フェラーリCEO、セルジオ・マルキオンネ氏が、あの「フェラーリ250GTO」を復活させるという案について語った模様。
これは「250GTOを現代風の新型車として」ではなく、「当時のままの姿で、当時の技法によって」生産するというプランで、ジャガーがE-TypeやD-Typeで採用した手法と同じですね。
実際にマルキオンネ氏はジャガーが行ったことについて「クレバー」だと表現しており、これだと新しいモデルを開発するコストは不要で、かつ過去のイメージも(ニューモデルが)崩すことはない、と考えているようです。
「復刻」は今後各社のビジネスモデルのひとつに?
なお、「ジャガーが行った手法」とは、1954年にジャガーが製造するはずだった、しかし工場が火事になって製造できなかった「D-Type」「XKSS」を当時の工作機械や材料、製造方法にて新しく製造して販売したことを指しており、もしフェラーリ250GTOが復活するならば、同じ手法を採用することになりそう。
ちなみに「コブラ」も同様の方法で復刻されていますね。
ジャガーが1957年当時「作り残した」25台のD-Typeを生産すると発表。当時の技術と製法で正確に再現
ジャガーが1954年モデルXKSSを「新車」として製造販売。当時と同じ工法にて9台のみ製造
当時の製造方法で蘇ると言われたACコブラ追加情報。エンジンはV8/6.2L、出力は最高で550馬力
フェラーリ250GTOはこんな車
フェラーリ250GTOは合計39台のみが製造されていますが、250GT「SWB」から発展したモデルだとされ、ホイールベースは2400ミリ。
シャシーは細めの鋼管を使用したティーポ539/62Comp.(後期は539/64Comp.)、エンジンは3リッターV12(300馬力)、トランスミッションは5速MT、4輪ディスクブレーキ装備、重量880キロ、ボディはスカリエッティ。
GTOとは「GTO"はGran Turismo Omologato(グラン・ツーリスモ・オモロガート)」の略で、GT選手権のホモロゲーション取得用という意味となり、要は「レーシングカーに近い公道走行車」「レーシングカーの公道走行版」ということになります。
その意味からフェラーリのハードコアバージョンの登場がウワサされるたびに「GTO」という呼ばれ方がなされることになっているわけですね(誰もその名称で登場するとは考えていないものの、”わかりやすい”ためで、ランボルギーニの「イオタ」みたいなもの)。
フェラーリ250GTは当時無双を誇るジャガーE-Typeへの対抗として計画されたことに端を発しており、初登場は1961年9月のモンツァ。
この時点ではプロトタイプに過ぎず、レースのデビューは1962年3月のセブリングだと記録されています(GTカテゴリで優勝)。
生産は1964年まで継続されますが、330LMベルリネッタ風ボディを持つワンオフモデル、250LM風のピニンファリーナデザインの個体も存在するとのことで、さらには初期型のうち4台が「後期型ボディ」へと換装されているようですね。
戦績も華々しく、トゥール・ド・フランスでの優勝(1963/1964年)、タルガ・フローリオGTクラスでの優勝(1962/1963/1964年)、ル・マンGTカテゴリーでの優勝(1962/1963年)、ニュルブルクリンク1000kmGTカテゴリーでの優勝(1963/1964年)など。
フェラーリいわく「ロードカーとレーシングカーのふたつの目的をもって製作されたおそらく最後のクルマ」とのことで、実際にその価値は広く認められ、オークションでは自動車として史上最高額の58億円で落札されたことも。
フェラーリの収益をほかメーカーとは比較にならないレベルまで押し上げているのは「ワンオフ車両ビジネス」だと言われますが、今回のマルキオンネ発言はそこを認識したものだと思われ、「儲かる」ということが前提にあるのでしょうね(マルキオンネCEOはかつて、フェラーリブランドの人気を活用し、安価な”フェラリーナ”ブランドを作りたいと公言したことも)。
もちろん現段階では具体性のある話ではなく、実現したとしても相当な少量生産になるのは間違いなさそうですが、「一台数億円」で顧客に販売されることになるのは想像に難くなく、たしかに「儲かりそう」ではありますね。
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