| 実現できる?フォード対フェラーリの映画 |
20世紀フォックスがマット・デイモンとクリスチャン・ベール主演にて1966年のル・マン24時間を題材とした映画を制作する、と発表。
なお公開は2019年6月28に決定していると報じられています。
ストーリーの核となるのはマット・デイモン演じるキャロル・シェルビー、そしてクリスチェン・ベール演じるケン・マイルズ。
1966年のル・マンと言うとフォードGT40が1-2-3フィニッシュを決めた年で、「打倒フェラーリ」を果たした(フォードにとって)記念すべき年でもあります。
この闘いを映画化するということになりますが、今のところタイトルは(仮で)ズバリ「フォード対フェラーリ( Ford vs. Ferrari)」。
描かれるのは人間模様
ストーリーとしてはレースよりも人間模様に焦点を当ててものとなるようで、キャロル・シェルビーとケン・マイルズがどうやってル・マンで勝てるマシンを作り上げたのか、というところが描かれる、と報じられています。
ただ、気になるのは「本当に制作されるのか」。
これまでも数々の自動車業界の偉人(エンツォ・フェラーリやフェルッチョ・ランボルギーニなど)の映画化について話が持ち上がったものの、いずれも日の目を見ず(小規模なものは制作されたかもしれない)。
本作に関してもトム・クルーズの制作会社が制作を行うと言われた時期もあり(2013年)、ブラッド・ピットが主演しマイケル・マンが監督を務めると言われたことも。
クリスチャン・ベール自身も2015年にはエンツォ・フェラーリの伝記映画にてエンツォ本人を演じると報じられたこともあって、しかしこれもプロジェクトが進んでいないようで、今回の「Ford vs. Ferrari」についても慎重に見守る必要があるのかもしれません。
なぜ1966年のル・マンが「物語」に?
上述の通り1966年のル・マンはフォードがフェラーリを破った年ではありますが、この背景には様々なストーリーが存在します。
まずは1960年前後からフェラーリの経営状態が悪化。
それと前後してフェラーリ内部でも大量辞職(エンツォ・フェラーリが反乱を理由に解雇)が起こり、商品面でも様々なチャレンジを行うも効果が出ず、当時フェラーリはやむなくフォードへ身売りというところにまで発展しています。
実際に1963年には話がまとまって、いざ契約書に調印というところまで行ったものの、土壇場でエンツォ・フェラーリが売却を撤回したと言われ、これに怒り心頭となったのがフォード。
↓当時、フェラーリ250GTOは圧倒的な強だった
そこでフォードが「打倒フェラーリ」を掲げて制作したのがフォードGT40で、しかし開発期間が短かったためにデビューイヤーでは成績を残せず。
そこで「出番」となったのがキャロル・シェルビー。
フォードはシェルビーにマシン改良を依頼し、シェルビーはエンジンを載せ替えるなどして1965年のル・マンではコースレコードを更新するもリタイヤ。
しかし1966年には満を持して3台が出走し、1-2-3フィニッシュを成し遂げて「それまで6連覇中であった」フェラーリに一矢報いることになります。
↓これは実際に3位でフィニッシュした個体。正式名称は「フォードGT」で、フォード「GT40」と呼ばれるのは車高が40インチしかなかったから
なお、シェルビーは自動車ビジネスそのものには興味がなく、レースにしか興味がなかったようで、シェルビーのイメージを利用して販売を伸ばしたかったフォードと反目して袂を分かったとされていますね。
おなじクルマ人であっても、ビジネスとしての自動車が好きな人(フェルッチョ・ランボルギーニ、アンディ・パーマーはこちらかもしれない)、レースにしか興味がない人(エンツォ・フェラーリやキャロル・シェルビー)、クルマの普及を通じて社会に貢献したい人(フェルディナント・ポルシェやイーロン・マスクが近いかも)、人々に喜ばれる車を作りたい人(ボブ・ラッツとか)、車を通じて自己実現したい人(ジェームズ・グリッケンハウス)など、まさに様々ですね。
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VIA:Variety