| これほどまでに輝かしい歴史を持つフェラーリのレーシングカーも珍しい |
ある意味でこのフェラーリを所有することはモータースポーツの歴史を共有することでもある
さて、今年のモントレー・カーウィークでは様々な希少車がオークションにかけられていますが、そのうち「フェラーリ410スポーツ・スパイダー 」がもっとも高額で落札されたクルマになった、とのこと。
その価格は2200万5000ドル(日本円だと約30億2000万円)という驚愕のハンマープライスですが、「キャロル・シェルビーがもっとも多くの勝利をあげた」「ファン・マヌエル・ファンジオもドライブ」「二台しか作られていない」「当時エンツォ・フェラーリが”これまででもっとも優れたフェラーリ”だと言った」クルマだということを考えると当然だったのかもしれません。
ちなみに近年ではモータースポーツに参戦し、そこで優れた成績を上げたクルマほど高額になる傾向があり、今回もまたその例にもれなかったわけですね。
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製造わずか二台のみ、ファンジオやシェルビーがドライブし、エンツォ・フェラーリが「最高のフェラーリ」と称した410スポーツが競売に。当時のトロフィーやエンツォの電報も付属
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キャロル・シェルビーはこのクルマで8回の優勝を記録
上述の通り、キャロル・シェルビーは自身の華やかなキャリアの中において、このフェラーリ410スポーツスパイダーにて最も多くの勝利を飾っていて、その回数はなんと8回(表彰台は10回)。
当時はモデナ・モンスターとも呼ばれ、キャロル・シェルビーとフェラーリ410スポーツスパイダーとの組み合わせは手がつけられないほどの速さだったといいますが、今回のオークション出品に際しては、1956年にこの車で初優勝し、1958年に最後の勝利を収めた際のトロフィー、1957年のナッソー・レーシング・ナンバープレートも付属しており、それがさらに付加価値を上げているのは間違いなさそう。
そのキャリアの最初こそは「悲運」だったが
なお、このフェラーリ410スポーツスパイダーは、欧州のサーキットとは異なり、荒れた路面を走るカレラ・パナメリカーナに参戦するために新しく設計され、しかし同年(1955年)のレースは(メルセデス・ベンツがル・マン24時間にて83人が死亡する大事故を起こしてしまったため)中止になり、よってフェラーリ410スポーツスパイダーは参戦の場を失うことに。
その後、アメリカのプライベートチーム代表のジョン・エドガーがこのマシンを買い取り、アメリカを主戦場として活動することになりますが、1956年から1958年にかけて40戦近くのレースに参戦参戦し、結果として11勝という素晴らしい成績を残します(キャロル・シェルビー以外もドライブしている)。
さらにその後、ジョン・エドガーは財政的な理由、そのほか様々な理由にてモータースポーツ活動を引き払い、1960年にこのフェラーリ410スポーツはルイジ・キネッティへと売却され、そこでもいくつかのモータースポーツに参戦。
ただし当時のレギュレーション変更によってハードトップを装着せざるを得なくなり、そのためにトップスピードやバランスを失ってしまい、結果として1963年にこのフェラーリ410スポーツはレースから引退することとなっています(ここからはフェラーリ250GTOの時代を迎える)。
1980年にルイジ・キネッティが売却した後、このフェラーリ410スポーツスパイダーは5人のオーナーの間を渡り歩きますが、様々なクラシックカーイベントに参加するうち2006年にキャロル・シェルビーとこのフェラーリ410スポーツはついに再会を果たし、その際に「Mr.Ferrari told me that this is the best Ferrari he ever built(フェラーリ氏は、このクルマがこれまでで最高のフェラーリだと言ってくれました)」という文字をタンクに書き込んだ、という「伝説」も。
こういった経緯を持ち、キャロル・シェルビーが「自身が運転した中ではもっとも優れたフェラーリ」だといい、エンツォ・フェラーリもまた「最高のフェラーリ」と称した一台ということに加え、様々な記録、さらにはその証拠とともに販売されたとあって今回の高額落札も納得ではありますが、今後もこの個体につき、度々この記録が塗り替えられた、というニュースを聞くことができそうですね。
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