| しかも今回出てきたフェラーリ・テスタロッサ・スパイダーは「未登録の新車」 |
ブルネイ王室は7台のテスタロッサ・スパイダーを、それぞれ異なる仕様にてピニンファリーナにオーダーしたという
さて、ぼくの知る限りでは2台しか世界に存在しないはずの「フェラーリ・テスタロッサ」スパイダー。
しかし今回その「3台目」が競売に登場し、さらには「まだほかに6台以上が存在する」というトンデモ情報が明らかになっています。
なお、1台目のテスタロッサ・スパイダーについては、フェラーリがフィアット創業者であるジャンニ・アニエッリのためにワンオフで製作した個体であり、この1台のために専用の電動開閉機構を作ったり、足の悪いジャンニ・アニエッリのためにロボタイズドクラッチを開発したりという手間がかけられたもの。
これは滅多にお目にかかれない、そして伝説クラスのクルマということで、コレクターの間では「ユニコーン」として位置づけられていることで知られていますね。
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そしてもう一台はマイケル・ジャクソンが出演するペプシのコマーシャルのために製作された個体ですが、こちらはフェラーリによるコーチビルドではなく、アメリカのショップによってカスタムされた個体です(それでも、そのバックグラウンドを考慮すると大変な価値がある)。
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そして3台目のフェラーリ・テスタロッサ・スパイダーはピニンファリーナによってカスタムされていた
そして今回競売に登場するのが「3台目」のフェラーリ・テスタロッサ・スパイダーで、出品情報によると、ブルネイ王室がピニンファリーナにオーダーして製作させたものだといい、なんと「7台も」同時に作ったと言われます。
ちなみにブルネイ王室はピニンファリーナの重要顧客であり、フェラーリF40を11台もカスタムさせたり、フェラーリ456を「ワゴン」「オープン」に改造させたりといったオーダーを行ったことでも知られていますね。
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さらには、そのコレクションが3,000台(大丈夫、桁は間違ってない)以上、そしてマクラーレンF1を10台以上もまとめて購入したとも言われているので、ブルネイ王室が「フェラーリ・テスタロッサ・スパイダーを7台オーダーした」と聞いても驚くには値しないかもしれません。
このテスタロッサ・スパイダーについては1989年11月、新車購入とともに7台がピニンファリーナへと「スパイダー化」が依頼されたそうですが、フェラーリF40、マクラーレンF1のときと同様、テスタロッサ・スパイダーもまた「7台それぞれのインテリア / エクステリアが異なる仕様」でオーダーされたといい、しかも驚くべきことに「このブルネイ王室向けの7台のほか、数台がピニンファリーナの重要顧客のために作られた」と伝えられています。
このフェラーリ・テスタロッサ・スパイダーは「未登録の新車」
このフェラーリ・テスタロッサ・スパイダーにはいくつか特筆すべき点があり、まずは「独自の車台番号を持つこと」。
なぜかはわからないものの、ピニンファリーナはフェラーリの発行した17桁の車台番号を切り詰めて新しい車台番号を作成したとされ、その理由はナゾのまま。
そしてこのクルマは一度も共登録されたことがない新車で、走行距離はなんと415km(オドメーターがセンターコンソールにある)。
加えてもともとの登録書類がないため、購入者が登録しようとする地域によっては「登録できない」可能性もあるので注意が必要だとアナウンスがなされています。
この個体は現在英国にあるそうですが、一時的な輸入保証で英国に運び込まれているといい、この保証を解除するには、承認された船荷証券と通関書類を用いて英国外に輸出するか、該当する付加価値税と輸入税を支払って英国内に留置する必要があるもよう。
フェラーリ・テスタロッサ・スパイダーは2021年にレストアが施される
このフェラーリ・テスタロッサは一度も登録されず、ブルネイ王室のコレクションルームにそのまま保管されていたということになりますが、2021年になって2つの工場にわたりレストアがなされていて、まず、2021年3月にピニンファリーナに戻り、カンビアーノ工場の技術者がソフトトップを修理し、開閉機構を復帰させるとともに、フルリペイントを施した、とのこと。
その1ヵ月後には、インテリアのリフレッシュも行われ、ピニンファリーナによるレストアの総額は、94,300ユーロにのぼるとされています。
そして2021年11月には、フェラーリがテーラーメイド、ICONAなどスペシャルモデルの仕上げと塗装に使用しているマラネッロのカロッツェリア・ザナシに運ばれてメカニカルパートのリコディショニングが行われ、ここではクラッチと燃料ポンプの交換に加え、エンジンとサスペンションの分解、洗浄、修復が行われることに。
そしてここでのレストア費用は、83,170ユーロに及んだといい、これらだけでも相当な金額となっています。
レストア前の状態がどの程度であったのかはわかりませんが、ブルネイは高温多湿であり、これまでに出てきた売り物のコンディションはさほど良くなかったという話もあるので、このテスタロッサ・スパイダーについても、それなりに劣化が進んでいた可能性も。
もちろんブルネイ王室には専任のメカニック、専用の工場があるといいますが、コレクションが3,000台以上も存在するのであれば、なかなかすべての個体を満足が行くように整備することは困難だったのかもしれません。
ただし今回は内外装、メカニズムともに万全の状態へと戻されており、よってコレクション価値としては「非常に高い」と考えてよく、入札が開始されれば熾烈な争いとなることも容易に想像できますね。
注文の経緯はともかく、どういった理由でコレクションから出されることになったのかは非常に気になるものの、こういったレアカーが流通し、その存在が明らかとなるのはそれなりにいいことだと思います。
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参照:RM Sotheby's