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フェラーリ初、そしてフェラーリ唯一の「グラスファイバー製ボディ」を持つ308GTB初期モデルが競売に。内外装は1975年発表時のイメージカラーへとレストア済み

フェラーリ初、そしてフェラーリ唯一の「グラスファイバー製ボディ」を持つ308GTS初期モデルが競売に。内外装は1975年発表時のイメージカラーへとレストア済み

| この時代、それ以前のフェラーリには相当数の「イレギュラー」が存在する |

フェラーリ308GTBの細部を見ると、その完成度の高さには驚かされる

さて、オークションハウス、RMサザビーズの開催する競売に、見事にレストアされたフェラーリ308GTBが登場予定。

さらにこの個体は(2,897台が生産されたうち)712台しか製造されなかった「ヴェトロレジーナ(Vetroresina)」ファイバーグラス製ボディを持つうちの一台であり、非常に高い希少性を誇ります。

ちなみにですが、ファイバーグラス製ボディを持つ個体が存在する理由は「当時活発化したイタリアでの労働争議のため、予定していたスチール製ボディが手に入らず、かわりにファイバーグラスを用いて製作した」から。

ただ、フェラーリによれば、308GTBは「今日に至るまで、フェラーリが大量生産モデルにファイバーグラスを(部分的にではなく)ボディ全体に使用した唯一のフェラーリ」となっており、その歴史的価値は非常に高い、と考えられます。

フェラーリ308GTBはこんなクルマ

フェラーリ308GTBの発表は1975年のパリ・サロンにて行われ、ボディデザインはピニンファリーナ、ボディ製作はスカリエッティ、搭載されるエンジンは2,926ccの排気量を持つV8エンジン(ドライサンプ)で、トランスミッションは5速マニュアル、最高速は252km/hというスペックを持っています。

Ferrari-308-GTB (3)

そのデザインはディーノ246GTの影響を強く受けており、ドアパネルの「抉り」そして丸形テールランプは顕著な部分。

ちなみにAピラーとルーフとの継ぎ目の有無によって「ファイバーグラスボディなのか、スチールボディなのか」を見分けることが可能です。

Ferrari-308-GTB (2)

なお、この個体は欧州仕様で、バンパーが「より軽快」なデザインを持つこと、クリアレンズを持つことから北米仕様との相違を確認可能。

ちなみにこの時代のミドシップフェラーリはまだ「伝統的な格子状のセンターグリル」を持っており、360モデナの登場によって廃止されています。

Ferrari-308-GTB (14)

ナンバープレート灯はリアスポイラーの内側に。

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ウインドウモールはちゃんと雨水を流す形状を持っていて、意外とよく考えられてるんだな、という印象(フェラーリはこういった日常性を無視しがちだと思いがちだが、むしろスーパーカーメーカーの中では高い日常性を持っている)。

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トランクは前後にあり、ともにジッパー開閉となっています。

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現代のFerrariエンブレムとはちょっとフォントが異なるようですね。

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いかにもスーパーカーらしいトンネルバックもディーノ246GTから受け継いだものと考えて良さそうです。

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このフェラーリ308GTBはこんな経歴を持っている

このフェラーリ308GTBは、1976年6月、ローマのフェラーリ正規ディーラー(Motor s.p.a Roma)より新車として納車され、ヨーロッパ仕様の「ティーポF106 AB100」と呼ばれるシャシーを持っています。

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横置きミッドマウントV8エンジンを搭載し、アメリカ向けモデルに要求された厳しい排気ガス規制の影響を受けておらず、(大きな北米仕様バンパーも装着されていないので)非常にスタイリッシュなことも評価されるかもしれません。

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ヨーロッパで10年間使用された後、1985年にミシガン州レイク・アンジェラスに住むアルド・スタニサヴリエヴィッチ氏によってアメリカに輸入され、2000年代初頭まで同氏の管理下にあり、その後はユタ州ケイズヴィルに住むクラース・フローディン氏に渡ることになりますが、さらにその後にはユタ州ソルトレイクシティのマイケル・コール氏が経営するカヴァリーノ・イクイップメント・グループに売却されることとなっています。

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マイケル・コール氏は3年にわたるレストアを行い、結果的に2017年末になってから次のオーナーのもとでようやくレストアが完了しますが、この際には数百枚の写真が記録として残されているのだそう。

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機械的な作業としては、エンジン、トランスアクスル、サスペンション、ブレーキ部品およびすべての補機類の完全な再構築が行われており、画像を見るとホイールナット(ボルト?)やエンブレム、バッジまでピカピカです。

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エンジンルーム、そしてエンジン本体も「まるで新車」。

なお、ボディ、エンジン、トランスミッションは”マッチングナンバー”。

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ちょっと面白いのは「メーター」で、グリーンの指針はもちろんのこと、おそらく「308GTB」のフォントとシンクロさせたであろうユニークな針(タコメーターとスピードメーター)のデザインを持っています。

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もちろんインテリアも完全にレストアされ、イタリアのルッピ・タッペゼリアからレザーとウィルトンウールカーペットを調達し、電気系統も完全にリコンディショニング済み(レストア費用は20万ドルを超えたらしい)。

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この時代のフェラーリでよく問題となる「樹脂のベタつき」もまったくなさそうで、金属(メッキ)パーツも美しく仕上げられています。

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そしてレストアの総仕上げは、工場出荷時のカラーである「アズーロ・メタリザート」による再塗装。

ちなみにインテリアは当時のペッレ・ブルーからペッレ・ベージュに変更され、ブラックのインサートとダークブルーのウィルトン・ウール・カーペットが装着されているそうで、このカラーリングは1975年のパリ・モーターショーに展示された車両に仕様を忠実に再現したものだと紹介されています。

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この車両は2019年にフェラーリのクラシックカー部門、フェラーリ・クラシケの認定を受けており、認定書(レッドブック)、ツール(工具)ロール、サービスブックレット、レザーウォレット付きのオーナーズマニュアルが付属し、コレクションとして非常に高い価値を持つ一台だと考えて良さそうですね。

Ferrari-308-GTB (4)

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参照:RM Sotherby's

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