| フェラーリはあらゆる面において車両のパフォーマンスを向上させること、そしてドライバーがより速く的確にクルマを走らせることができるようにすることを考えている |
そのためには荒唐無稽に思えるような特許も出願されているが、すべての目的はひとつである
さて、フェラーリはクルマの性能を向上させるものはもちろん、「クルマとドライバーとのエンゲージメント」に関する特許を多数出願していますが、今回は「排気音」に関するパテントが出願されたことが明らかに。
なお、この「排気音」はスポーツドライビングにおいてエンジンの状況を知るための重要な要素であり、フェラーリにとってのサウンドはそのパフォーマンス、そしてドライバビリティと密接に結びついていると考えていいのかもしれません。
今回の特許は「フロントエンジン車」のみに対応?
この特許は簡単に言うならば「排気を一部バイパスし、それをトランペット状のテールパイプに誘導してサウンド品質を向上させるとともに、なんらかのエアロダイナミクス効果(ブロウンディフューザーのようなイメージ?)を発生させるというもの。
なお、この排気システムに関する特許は比較的長い排気ルートと可変デバイスを持つテールパイプ部を持つためにミドシップ車には装着が難しく、おそらくはフロントエンジン車にのみ適合するものと見られます。
なお、テールパイプ形状は812コンペティツォーネそっくりのように見え、これとなんらかの関連性があるのかもしれず、そしてフェラーリがテストしている新型V12モデルにも謎デバイスが(テールパイプに)取り付けられているケースも散見されるため、非常に近い将来には「今回の特許」を実装したスーパーカーが登場するのかもしれません。
ちなみにですが、テールパイプ形状の工夫によって優れたサウンドを実現した例としてはケーニグセグ・レゲーラ(アクラポヴィッチとの共同開発によるフィッシュテール)、ホンダ・シビック・タイプR(3本テールパイプのうちの真ん中)といった例がありますね。
フェラーリの新しい特許はどう作動するのか
今回のフェラーリの新しい特許はおそらく「高回転、あるいはサーキット走行」を前提としているように見え、しかしいかなる状況でも触媒コンバーター、GPF、またはその他の排出装置をバイパスしたり、除外したりといった不正な行為を行うことを記しておらず、つまりもちろん「完全に合法」。
この特許では、始動時や市街地などの通常の使用だと、排気は比較的小さいものの十分な大きさのチャネルを通って、ラビリンス(今回の特許で示される新型サイレンサーの特許用語)を備えたチャンバーに分流されることに。
このサイレンサーは、トランペットのような形をした、そしてF12コンペティツォーネのテールパイプによく似た大きなテールパイプ(リアタイヤの後ろに位置している)に入り、このテールパイプの内側には可変式のフラップがあるため、これを可動させてサウンドや空力のコントロールを行うようですね。※812コンペティツォーネでもフラップが内蔵されるが、これは可動しない
現時点ではその原理については(難解なため)わからないことも多く、しかしそう遠くない未来には市販車に実装され、その機能が明らかになるのかもしれません。
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参照:CARBUZZ