
| 多くの場合、フェラーリは新型車の発表にあわせて「新色」を用意する |
一目で心を奪う「最高の一着」を求めて
フェラーリが新型車を世界に発表する瞬間、ぼくらの目に飛び込んでくるのは、完璧に磨き上げられたボディデザインとその「色」です。
かつてのフェラーリの新型車は「ロッソ・コルサ」、あるいはフェラーリ本社所在地を象徴する「ジャッロ・モデナ」とのコンビにて発表されることが通例であったものの、現代のフェラーリにとってのボディカラーは「そのクルマのキャラクターを定義し、ブランドの伝統と未来を繋ぐ”最高の衣装”」であると定義されています。
ここでマラネロのカラー&トリム・デザインチームを率いるシルビア・カプアーノ氏が語る「ボディカラーの誕生秘話、そしてフェラーリがこだわる”色彩の物語”」を紐解いてみましょう。
この記事の要約(ポイント)
- ローンチカラーの重要性: クルマの第一印象を決定づける「物語」を持った色
- 赤の多様性: スポーティな「ロッソ・イモラ」から、温かみのある「ロッソ・トラモント(夕暮れの赤)」へ
- グリーンの躍進: 最新トレンドとして、モデルの性格に合わせた多様な「緑」を展開
- 緻密な開発プロセス: 数千の選択肢から、サプライヤーと共に数ミリ単位の調整(調合)を経て誕生

モデルごとに使い分けられる「赤」と「緑」の解釈
フェラーリといえば「レッド(ロッソ)」というイメージではありますが、その解釈は年々進化し続けており、それと同時に最近のローンチでは「グリーン(ヴェルデ)」が重要なキーワードとなっています。
主要モデルとそのローンチカラー
| モデル名 | カラー名 | 特徴・由来 |
| 12チリンドリ | ロッソ・イモラ | 伝統的かつ攻撃的な、スポーツ性を強調した赤。 |
| アマルフィ・スパイダー | ロッソ・トラモント | 「夕暮れ」を意味し、黄色を帯びた温かく柔らかな赤。 |
| アマルフィ(クーペ) | ヴェルデ・コスティエラ | アマルフィ海岸を想起させる、青みがかった現代的な緑。 |
| 12チリンドリ・スパイダー | ヴェルデ・トスカーナ | エレガントなGT(グランドツーリング)を象徴する緑。 |
| 296 スペチアーレ | ヴェルデ・ニュルブルクリンク | 非常に彩度が高く、大胆でスポーティな緑。 |

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フェラーリの色彩が生まれるまで:感情と技術の融合
ではどうやって新しいボディカラーを決めるのか?
「新しい色」はムードボードの作成や文化的トレンドの調査から始まるといい、カラー&トリムチームはデザインチームと密接に連携してクルマの「形」と「表面」を最も引き立てる色を模索することから始まります。
- 試作と検証: 小さな金属板でのテストから始まり、ドアやバンパーなど大きなパーツを実際に塗装
- 厳しい光のテスト: 過酷な人工照明の下だけでなく、霧の日、晴天の日など、あらゆる屋外条件下で色の見え方を評価
- ミリ単位の調整: 「もう少し赤を強く、黄色を少し抑えて、青を隠し味に…」という、一般の人には気づかないような微調整が、最終的な美しさを決定づける
- サステナビリティ: 最新の塗装工程では、水性塗料や低温焼き付けプロセスを採用し、環境負荷の低減にも取り組んでいる

命名の重要性:色に魂を吹き込む最後のステップ
なお、色の名前が決まるのは開発の最終段階だそうで、開発中こそは愛称で呼ばれるものの、最終的にはその色が持つキャラクターを完璧に表現する名前が与えられる、と説明されています。
たとえば「アマルフィ」の場合だと、イタリアの美しい風景の中を旅するというコンセプトが明確だったため、「ロッソ・トラモント(夕暮れの赤)」や「ヴェルデ・コスティエラ(海岸の緑)」といった名前が与えられたといいます。
名称がボディカラーを補完し、ボディカラーがクルマを補完する。この一貫性こそがフェラーリの美学というわけですね。

フェラーリのボディカラーは、オーナーの感情を映し出す鏡
フェラーリのカラー開発は非常に複雑で技術的なプロセスですが、その目的は「いたってシンプル」。
それは、そのクルマを見た瞬間に「これしかない」と直感させることで、ぼくらがフェラーリの様々なボディカラーに惹かれるのは、それが「どのモデルにもマッチするように考えられた使い回しの色」ではなく、イタリアの景色、歴史、そしてエンジニアやデザイナーたちの情熱が「その固有のクルマ」に塗り込められているからに他なりません。
「色彩は直感的で、非常に主観的なものです」
シルビア・カプアーノ

「フェラーリ=ロッソ」という固定観念は、今や過去のものになりつつあり、最新の「アマルフィ」がグリーンや柔らかな赤を纏って登場したことは、フェラーリが「速さ」だけでなく「旅の情緒」や「現代的なライフスタイル」を重視し始めたサインでもあります。
次にフェラーリを街で見かけたら、その「ボディカラー」が何を語ろうとしているのか、耳を傾けてみるのもいいかもしれませんね。
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