
| フェラーリは「コレクター向け」の限定モデルを多数連発する計画なのかもしれない |
「一般向け」「コレクター向け」とでラインアップが二分されることになりそうだ
さて、米国自動車メディア『CarBuzz』報じたところによれば、フェラーリがイタリアの商標局に10種類近くにおよぶ新しいモデル名の商標出願を相次いで行ったことが明らかに。
出願されたリストには、ファンを歓喜させる「GTO」や「Challenge Stradale(チャレンジ・ストラダーレ)」といった、跳ね馬の黄金期を支えた伝説的な名作のバッジがずらりと並んでおり、これらがすべて個別の新車として発売されるわけではない(他社への牽制や名称確保の側面もある)ものの、フェラーリが水面下で計画している次世代スーパーカー / ハイパーカーの派生モデル、そして限定V12マシンの方向性を占う強力なヒントとなることは間違いものと思われます。
ここで今回出願された内容を見てみましょう。
この記事の要約
- フラッグシップの進化系か: 新型ハイパーカー「F80」にサーキット専用モデルを予感させる「F80XX」や「FXX80」が登場する可能性
- 待望のオープン版: 最新のタルガトップ特許を投入?「F80 Targa」や「F80 Roadster」がラインナップされる可能性
- 伝説の「GTO」復活か: 新世代V12フロントミッドシップ「12Cilindri(12チリンドリ)」に、超硬派モデル「12Cilindri GTO」追加の可能性
- 伝統の「MM」と「CS」: ミッレミリアを意味する「MM」を冠した12チリンドリや、296シリーズに「Challenge Stradale(チャレンジ・ストラダーレ)」が復活する可能性

1. 「F80」に早くもサーキット専用「XX」とオープン版「タルガ」の影
フェラーリのヒエラルキーの頂点に君臨するスペチアーレ(限定ハイパーカー)の系譜、”ビッグシックス”。
F40、F50、エンツォ、ラ・フェラーリに続く最新作として2024年に登場した「F80」ですが、やはりその先にある“究極の姿”が準備されているようです。
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サーキット専用プログラム「F80XX / FXX80」
今回、「Ferrari F80XX」および「Ferrari FXX80」という2つの商標出願が確認され、フェラーリはかつて、エンツォをベースにした「FXX」、599をベースにした「599XX」、ラ・フェラーリをベースにした「FXX-K」といった、選ばれた顧客のみがサーキット走行を楽しめる独自の「XXプログラム」を展開しています。
そして今回、最高出力1,200馬力を誇る3.0L V6ツインターボ+ハイブリッドを搭載するF80に”さらなる空力デバイスと軽量化”を施したサーキット専用モンスターが誕生することになるのかもしれません。

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タルガトップ特許との連動「F80 Targa / Roadster」
さらに見逃せないのが「Ferrari F80 Targa(タルガ)」と「F80 Roadster(ロードスター)」の存在で、ラ・フェラーリにおける「アペルタ」のように、歴代フラッグシップには必ずオープンモデルが用意されてきましたが、F80においては「タルガ」「ロードスター」の両方が登場するのか、あるいはこれらのうちひとつなのかはいまだ「ナゾ」。
フェラーリは直近の特許出願において、「オープン走行時のキャビンへの不快な風の巻き込みやドラッグ(空気抵抗)を画期的に低減する、可動式フラップを備えた新しいタルガトップ構造」の特許を申請したばかりなので、この新技術が「F80タルガ」に投入される可能性が極めて高いと考えられます。※直近で出願された特許のうち、ルーフマウント式ローンチコントロール、可動式ディスプレイはルーチェに採用されている
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2. V12フラッグシップに激震。「12チリンドリ GTO」と伝説の「MM」復活
フロントに自然吸気V12エンジンを搭載する「12Cilindri(12チリンドリ)」。
すでにクーペとスパイダーが発表されていますが、フェラーリのコアなコレクターたちを最も熱狂させそうな商標が出願されており・・・。
跳ね馬史上最上の聖域「GTO」の復活か
それは「12チリンドリ GTO」です。GTO(Gran Turismo Omologato=GTレースのホモロゲーション取得モデル)は、フェラーリの歴史においてわずか3度しか使われていない聖域のようなネーミングです。
- 250 GTO(1962年): 現在、自動車オークションで数十億円の値がつく歴史的傑作。
- 288 GTO(1984年): グループBレース参戦を見据え、のちのF40の道を開いたツインターボモンスター。
- 599 GTO(2010年): サーキット専用車「599XX」の技術を公道にフィードバックした超高回転V12限定車。
もし「12チリンドリ GTO」が実現すれば、599 GTO以来となるV12フロントミッドシップの系譜を受け継ぐ、究極のサーキット仕様となることは間違いなさそうですね。

ミッレミリアへのオマージュ「12チリンドリ MM Aperta」
もう一つの興味深い商標は「12チリンドリ MM」および「12チリンドリ MM Aperta」で、この「MM」は1950年代にフェラーリが伝説的な大レース「ミッレミリア(Mille Miglia)」を制したマシン(166 MM、250 MMなど)に由来します。
近年では2016年に、458GTBをベースにワンオフ(世界に1台)で製作された「458 MM スペチアーレ」という前例がありますが、既存の12チリンドリ・スパイダーとは異なる、そして12チリンドリGTOとはまた異なる方向性を採用し、独自のワンオフモデルや極少数限定のコンペティション仕様として、この美しい伝統のバッジが使われるのかもしれません。
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3. 「296 Challenge Stradale」伝説のロードレーサーが現代に甦る
ミッドシップV6ハイブリッドの「296 GTB」シリーズにもファン涙ものの名前が帰ってくる可能性が非常に高く、それが「Ferrari 296 Challenge Stradale(チャレンジ・ストラダーレ)」およびその略称である「296 CS」。
「チャレンジ・ストラダーレ(公道のレーシングカー)」という車名は、2003年に登場した「360モデナ」のハードコア仕様「360チャレンジ・ストラダーレ」において一度だけ使われた伝説的な名称ではありますが、ワンメイクレース用の「360チャレンジ」から多くのパーツを移植し、徹底的な軽量化と官能的なエキゾーストノートを実現したその思想が、ついに296シリーズで復活することになるわけですね。
すでに開発車両とみられるカモフラージュを纏ったプロトタイプが欧州のサーキット周辺で目撃されており、ワンメイクレース用車両のアップデート版を指すと思われる「296 Challenge Evo」の商標と同時に出願されていることからも、市販化への現実味が”非常に”高いと言えます。
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4. 今回商標が出願された注目モデルのベーススペック
今回商標が確認された各ベースモデル(F80、12チリンドリ、296GTB)の基本スペックを振り返ってみると以下の通り。
| 車種名 | エンジン形式 | 最高出力 (システム合計) | 駆動方式 | 特徴 |
| Ferrari F80 (ベース車) | 3.0L V6 ツインターボ + 3モーターハイブリッド | 1,200 hp | AWD (四輪駆動) | 跳ね馬の技術を結集した最新の限定ハイパーカー |
| Ferrari 12Cilindri (ベース車) | 6.5L V12 自然吸気 (NA) | 830 cv | RWD (後輪駆動) | 最高回転数 9,500 rpm を誇る純粋なV12フラッグシップ |
| Ferrari 296 GTB (ベース車) | 3.0L V6 ツインターボ + 1モータープラグインハイブリッド | 830 cv | RWD (後輪駆動) | 圧倒的な回頭性を誇る現代のミッドシップ・スポーツ |
フェラーリの「伝統と革新」はさらに加速する
今回の商標登録の波は、フェラーリが電動化やダウンサイジングといった「革新技術(F80のV6ハイブリッドなど)」を強力に推し進めつつも、「GTO」「Challenge Stradale」「MM」といった熱狂的なファンを持つ「伝統の記号」を巧みに融合させようとしている何よりの証拠ともいえるもの。
ブランドの歴史的価値を守りながら、常にファンの期待を超える限定車を最適なタイミングで投入してくるのがフェラーリの巧みな戦略であり、今回報じられた全ての名称が明日にでも発売されるわけではありませんが、コレクターのガレージへと、近いうちに美しくも過激な跳ね馬たちがやってくることだけは間違いなさそうです。

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