
Image:NISSAN
| 日産車に採用されるブレーキキャリパーのカラーは一種の「メッセージ」であった |
意外と知らない、ブレーキキャリパーに隠された「意味」
スポーツカー乗りであれば気になるのが「ブレーキキャリパーのカラー」。
ポルシェのブレーキキャリパーが「グレード」「ローターの素材」によって分けられているのは有名ですが、日産「フェアレディZ」や「GT-R」といったスポーツカーを街で見かけたとき、ホイールの隙間からのぞくブレーキキャリパーのカラーにいくつかのバリエーションがあることに気づくかと思います。
これらにつき、「単なるドレスアップ」「モデルの違いを際立たせるカラーリング」と考えてしまいがちではあるものの、実は日産車に採用されるブレーキキャリパーの色は「そのクルマが持つ制動性能と走行性能のレベルを示す意図的なサイン(暗号)」であることが北米日産の公式コンテンツから明らかになっています。
シルバーから定番のレッド、鮮烈なライトレッド(ブライトレッド)、伝統のゴールド、そして超希少なイエローまで、色が意味する性能の違いと採用モデルの系譜をここでざっと見てみましょう。
30秒でわかる。日産ブレーキキャリパー色の意味と要約
- シルバー:日常走行に最適な標準ブレーキ(キックスやフェアレディZのベーシックグレードなど)
- レッド:スポーツ走行向け高耐圧モデル。対向ピストン&アルミ製(Z Performance、アルマーダNISMOなど)
- ブライトレッド:サーキット対応の熱対策済み高精度モデル。GT-R由来のローターを採用(2027年型 フェアレディZ NISMO)
- ゴールド:伝説のBrembo(ブレンボ)製システム搭載の証(R34 GT-R、350Z Track、R35 GT-Rなど)
- イエロー:1,000℃超えに耐える超希少な「カーボンセラミックブレーキ」搭載の最高峰証(GT-R NISMOなど)
- 例外モデル:限定車(Z Proto SpecやGT-R-50)では特別仕様の配色が存在

ブレーキキャリパーの色別特徴とスペック比較
スポーツカーファンや日産オーナーにとって、1つのグレードや特別仕様車を見分ける細部のこだわりは格好の関心事かもしれません。
その表現方法の原点となったのが日産のハイパフォーマンスモデルの象徴である「GT-R」であったといい、日産で製品企画を担当するデレク・クレイマー氏によると、日産のブレーキキャリパーカラーは「パフォーマンスは体感するだけでなく、一目で見てわかるべきだ」という一貫した哲学のもとで割り振られています。
近年では、Z(フェアレディZ)のグレード拡大や、フルサイズSUV「アルマーダ NISMO」の登場などに伴い、この「カラーコード(色分けのルール)」がより明確にラインナップ全体へと広がりを見せているといい、その内容は以下の通り。
日産ブレーキキャリパーカラー別・性能スペック比較表
| カラー | 代表的な採用車種 | システムメーカー | フロント構造 / ローター径 | 主な特徴・対象用途 |
| シルバー | Kicks(キックス)、フェアレディZ Sport など | 純正 | 2ピストン(鋳鉄) / 12.6インチ | 街乗り・日常走行に最適化された標準制動システム |
| レッド | 2027 Z Performance、Armada NISMO | Akebono(曙ブレーキ) | 4ピストン(アルミ) / 14.0インチ | スポーツ走行向け。軽量&大径ローターで制動力UP |
| ブライトレッド | 2027 Z NISMO | Akebono(GT-R由来) | 2ピース(鉄・アルミ) / 15.0インチ | サーキット対応。高耐熱塗装&GT-R譲りの2ピースローター |
| ゴールド | R34 GT-R、350Z Track、R35 GT-R | Brembo(ブレンボ) | 6ピストン(R35)など / 専用設計 | 日産スポーツの象徴。ブレンボ製ハイパフォーマンスの証 |
| イエロー | 2020 GT-R NISMO、GT-R Track Edition | Brembo | 6ピストン / カーボンセラミック | 最上位スペック。1,000℃以上に耐えフェード現象を防止 |
各カラーが意味する性能とモデル解説
1. シルバー:日常の走りに応える標準スペック
日産のラインナップで最も広く採用されているのがシルバー(無塗装)で、最新のSUV「キックス」から「Z Sport」まで幅広く使われており、どんな状況でもスムーズで安定した制動力を提供するよう最適化されているものの、サーキットのような限界走行用ではなく日常使いをターゲットとしています。

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2. レッド:本格スポーツ走行へのステップアップ
レッドキャリパーは、ハイパフォーマンスモデルであることを明確に主張する記号であり、「Z Performance」ではベースのSport(鋳鉄製2ピストン)から「Akebono製アルミ対向4ピストン」へアップグレード。
ローター径もフロント14インチ、リヤ13.8インチへと大型化され、19インチRAYS製鍛造ホイールの奥で存在感を放つこととなり、同じシステムは大型SUVの「アルマーダ NISMO」にも採用されています。

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3. ブライトレッド:サーキットの負荷に耐える新世代NISMO専用色
2027年型の「Z NISMO」には、Z Performanceよりも一段と鮮烈な「ブライトレッド」が採用されており、GT-R譲りのアイアン×アルミの2ピース構造ローター(15インチ)と組み合わされ、連続する高負荷走行でも塗膜が耐えられる特別な高耐熱クリア塗装が施されています。

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4. ゴールド:伝統の「Brembo(ブレンボ)」搭載のステータス
ゴールドは名門Brembo製ブレーキシステムを搭載したモデルにのみ許された伝統のカラーという位置づけで、1999年の「スカイラインGT-R(R34)」で初めて採用されて以来、日産のハイパフォーマンスの代名詞ともいうべき存在に。
アメリカ市場では「350Z Track(フェアレディZ)」や「R35 GT-R」に引き継がれ、一目で「ブレンボが入っている」と解るアイコンです。

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5. イエロー:1,000℃に耐える超高額「カーボンセラミック」の極致
ラインナップの中で最も希少なのがイエロー。
これは最高峰の「カーボンセラミックブレーキ」を搭載している証であり、「2020 GT-R NISMO」などに採用され、サーキット走行時の激しい熱(1,000℃以上)でも退色しない特殊な塗料が使われています。
連続周回でも制動力が衰えない(フェードしない)究極のサーキットスペックを持つ「証」とも言うべき存在でもありますね。

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知っておきたい関連知識:ルールを破った「例外モデル」の面白さ
日産には基本のカラーコードを守りつつも、あえてルールを破ることで特別感を演出した「限定モデル」が存在します。
- GT-R-50 by Italdesign(2020年)本来ブレンボ製ブレーキ=ゴールドの原則ではあるものの、イタリアの名門イタルデザインとコラボしたこの超限定スーパーカーには特別に「レッドのBremboキャリパー」が装着される
- Z Proto Spec(2023年)新型Zの登場を記念した限定車「Proto Spec」には、Akebono製ブレーキでありながら「イエロー」のキャリパーが採用。これはカーボンセラミック製ではないものの、プロトタイプ(プロトコンセプト)のイエローボディに合わせた特別な遊び心を表現したもの
このように、基本ルールを知っておくことで「なぜこの限定車はあえてこの色なのか?」という深い背景まで理解できるようになり、「デザインの奥深さ」もわかろうというものですね。

結論
日産のブレーキキャリパーカラーは”見た目の装飾”というわけではなく、「そのクルマがどの領域で走るために作られたのか」を解読するための視覚的言語ともいうべき存在で・・・。
- シルバー=日常
- レッド=スポーツ
- ブライトレッド=本格サーキット(Z NISMO)
- ゴールド=Brembo搭載の伝統
- イエロー=カーボンセラミックの究極
愛車や街で見かける日産車のホイールの隙間を覗いたとき、その色を知っていればエンジニアたちのこだわりやクルマの潜在能力が即座に理解でき、次に街なかで日産のスポーツモデルを見かけたとき、足元の「色」に注目してみると新しい発見があるのかもしれません。
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