| 軽量化の効果は信じられないほど大きかった |
パワーアップは重量増加や効率の悪化を招く「負のループ」に突入することも
さて、スコットランドのレーシングドライバー、スコット・マンセル(ナイジェル・マンセルとは無関係)が運営するYoutubeチャンネル”ドリブンメディア”にて「スポーツカーにとって、いかに軽さが重要なのか」という動画が公開に。
スコット・マンセルはEUROBoss参戦中、ブランズハッチ、ドニントン、シルバーストンでもコースレコードを叩き出したことがあるほどの実力派ですが、今回は年季の入ったスバル・インプレッサWRX(ワゴン)を、いかにお金をかけずに安くサーキットウエポンに仕立て上げるかという企画を動画内で実行しているわけですね。
ちなみにF1マシンだと、10kg軽くなればサーキット1周あたり0.3秒速く走ることができるとも言われており、それだけ軽量化というのは重要だと考えられます。
最も安価なタイム向上施策は軽量化
タイムを向上させる方法には様々な手法があり、パワーアップ、より大きなエンジンやターボチャージャーへのスワップなどが代表例かと思いますが、そうなるとクーリングを追加、さらにはストッピングパワー強化のためにブレーキも大容量へと交換する必要が出てきたりといった具合でどこまでもお金がかかり、そしてどこまでも重くなってゆきます。
そこでドリブンメディアはお金をかけずにこのスバル・インプレッサWRXスポーツワゴンを速くしようと考え、もっともお金がかからない方法として「軽量化」を選ぶことに。
ただし軽量化といっても、カーボンファイバーのような軽量素材を使用するととんでもなくコストがかかってしまうので、今回選択したのは「走行に関係のないパーツを全部取り除く」ということ。
インテリアでは内張りやカーペット、運転席以外のすべてのシート、吸音材や制振材を取り除き、1,430kgから1,295kgへ、つまり135kgのダイエットに成功しています。
そしてコースインしてまず遭遇したのはポルシェ911GT3RS。
いくらなんでも抜くのは難しいだろう・・・と思ったものの、リアにぴったりと張り付き、たまらずポルシェ911GT3RSはウインカーを出してコースを譲り・・・。
インプレッサWRXスポーツワゴンはあっさりとこれをパス。
傍から見ると「まさか・・・」という光景となっており、ポルシェ911GT3RSのドライバーからすると悪夢のような出来事なのかもしれません。
まさかのフェラーリ488ピスタをサーキット上でパス
さらにフェラーリ488ピスタに張り付き・・・。
これもウインカーを出して道を譲ります。
サクっとフェラーリ488ピスタをパス。
488ピスタのドライバーからすると、「このワゴンはいったい何なんだ・・・」と思っているのかも。
そして今度はラディカルに遭遇。
さすがにスコット・マンセルであってもこれは抜けないだろうと思っていたものの・・・。
どんどん差を詰め・・・。
抜いたーー!
そしてこの笑顔!
もちろん今回のごぼう抜きについて、スコット・マンセルの腕が大きく関係しているのは言うまでもありませんが、当日は雨が降っており、さらにスキルの差が顕著に出たであろうこと、インプレッサWRXスポーツワゴンのAWDシステムが大きく貢献したことは間違いないものと思われます。
ただ、動画を見る限りでは、車高やタイヤ/ホイールはノーマルのようなので、足回りを交換して車高を落とし、ハイグリップタイヤを装着するだけで大きくその戦闘力が向上しそう。
なお、仮にパワーアップという手法を用いて今回のように並み居るスポーツカーを抜こうとすれば、相当な馬力が必要になるのかもしれず(軽量化後と同等のパワーウエイトレシオを達成する必要があり、かつ軽量化後と同等のコーナリングGに耐えうる足回りが必要)やはり軽量化が「速く走るにはもっとも効率的な方法」なのかもしれませんね。
軽量化されたスバル・インプレッサWRXが次々スーパーカーを抜いてゆく動画はこちら
参照:Driven Media