| トヨタ・スープラは今とは異なる姿になっていた可能性も |
英国TopGearが報じたところでは、新型トヨタ・スープラの開発担当そしてGazooRacing Company GR開発統括部チーフエンジニアである多田哲哉氏の言として「新型スープラは、今とは全く異なるクルマとして発売される可能性もあった」模様。
さらにこの「全く異なる」というのは「ミドシップレイアウト採用」を具体的に指しており、つまり新型スープラは「ミドシップスポーツカーとして発表されていたかもしれなかった」ということになりますね。
BMWもミドシップには乗り気
そして多田氏は「新型スープラの企画段階で、ミドシップスポーツカーを開発するというプランが実際に存在し、共同開発が決まっていたBMWもそれに乗り気だったが、豊田章男社長にそれを提案したところ、NOとなった」とも語っています。
トヨタはパッケージングを決めないままに開発パートナーとしてBMWを選んだということもわかりますが、なぜ豊田章男社長がこれを拒否したのかは不明。
多田氏は「ミドシップカーはフロントエンジン搭載車に比べ、バランスなど多くの面でメリットがある」としながらも「しかし我々はフィーリング、そしてコントロール性の観点からもフロントエンジンにこだわった。実際に我々はそのノウハウも持っていた」と述べているので、これがおそらく豊田章男社長の意図でもあり、トヨタは新型スープラをエキゾチックなスポーツカーにしたかったのではなく、「誰もが安心して楽しめる」スポーツカーにしたかったのでしょうね。
ミドシップスポーツは利点も多いが開発が難しい
なお、ミドシップスポーツは多田氏のいうとおり、スポーツカーとしてはメリットの大きいレイアウト。
重量物を車体中央に集中させるという意味でロールセンターを適正化でき、なによりも後輪のトラクションを稼ぐことも可能。
ただし、開発における「スイートスポット」が狭いようで、つまり「ミドシップにすればバランスが良くなる」わけではなく、「ちゃんと走るミドシップスポーツを作るのはかなり難しい」模様。
アストンマーティンがミドシップスポーツを新規開発するのにフェラーリの主要エンジニアを引き抜いたり、古くはBMWがミドシップスポーツの開発を行うに際し、自社でそれを行うのではなく「ランボルギーニに投げた」ことでもその難しさがわかります。
要はスポーツカーメーカー、スポーツモデルやレーシングカーを作りなれたメーカーであっても、ミドシップスポーツをつくるのは相当に困難だ、ということですね。
なお、トヨタはMR-2やMR-Sにてそれなりのミドシップに関するノウハウを持つものの、そのレベルでは、仮想ライバルであったポルシェ718ケイマンに対抗するのは難しく、よって経験のあるFRを選んだ、ということもありそうです。
ちなみに「BMWがミドシップスポーツ開発に乗り気だった」というのもちょっと驚きで、となるとBMWはどこかのタイミングでミドシップスポーツを出してくるのかもしれませんね(過去に何度はウワサは出ている)。