| マツダの「いいクルマを作りたい」という情熱は理解できるが |
マツダは次期(フルモデルチェンジ版)「MAZDA6」をFR化し、プレミアムセダン化すると言われていますが、これには現在開発中の直6エンジンが搭載されることになるのままず間違いなさそう。
そして今回、その直6エンジンについては「新世代技術」採用のSKYACTIV-Xとなり、かつ48ボルト・マイルドハイブリッドと組みわせられるとの報道がなされています。
要はMAZDA3に搭載されるSKYACTV-Xの4気筒が6気筒へシリンダー数が増えるというイメージではあるものの、これはつまり次期MAZDA6は相当に高価なクルマになる可能性がある、ということを意味しているのかも。
MAZDA3において、SKYACTIV-GとSKYACTIV-Xとの価格差は約70万円ですが、少なくとも新型MAZDA6ではそのぶん価格が上昇し、かつプラットフォームが刷新されるため、そのコスト増も当然車両価格に反映されることになりそう。
もちろん、新型MAZDA6にもSKYACTIV-X以外の選択肢が設けられるとは思うものの、現在のマツダの方向性からすると新生代エンジンを中心としたラインアップとなるであろうことも想像でき、いっそうの「プレミアム化」が進められることになるものと思われます。
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ただしマツダのプレムアム化は「消費者がついてきていない」
反面、マツダのプレミアム戦略は思うように進んでいないとも言われ、実際のところSKYACTIV-X搭載車の国内における販売比率はわずか10%。
マツダ渾身のSKYACTIV-X搭載車が売れず、販売比率は10%。「高価」すぎるためと思われるが、なぜ高価なのか誰も理解できないのが問題だ
さらにマツダはここ最近、MAZDA3やCX-30のような「新世代商品」、そしてMX-30といったEVの開発、様々な新技術や新型プラットフォームを開発しており、つまり「コストが非常に掛かっている」状態です。
実際のところマツダの営業利益率は日産に続く「国内自動車メーカーではワースト2」となっていて、ほぼ利益が出ていない状態。
加えて、本来利益を稼ぐはずだった新世代商品が不発となると開発コストを吸収することが難しく、さらなる窮地へと追い込まれる可能性も出てきます。
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マツダはトヨタと協力してコストを平準化
なお、新開発の直6エンジンだけではなく、MAZDA6に採用される新型プラットフォームをレクサスにも使用するという話も今回出ていて(具体的にはISとRC)、これはやはり「コストを吸収(平準化)するための戦略と考えて良さそう。
これはほかメディアも報じている内容ではありますが、複数の、そして日米のメディアで報じられているため、信憑性が高いと言えるのかもしれません。
現在トヨタとマツダは提携関係にあり、北米だと共同で建設したり、そして北米の「トヨタ・ヤリス」はMAZDA2のOEMである、という事実も。
そしてトヨタはホンダと日産を除くスバル、ダイハツ、スズキ、そしてマツダを巻き込んでの「生き残り」を目論んでおり、トヨタが”日本の自動車産業を救わねばならい” ”日本の自動車産業を盛り上げてゆかねばならない”という使命を強く感じていることもわかります。
よって、トヨタは自社の開発コストを抑える意味で、そして「同盟」内で競合したり重複する開発をしないよう、さらには盟友を助けるという意味でマツダのプラットフォーム、エンジンを自社のクルマに使用するのかもしれません。
ちょっと興味深いのは、マツダの新型プラットフォームは「レクサスのほか、トヨタブランドのクルマにも採用される」と言われるのに対し、マツダの新型直6エンジンは「レクサスに採用される」ものの「トヨタに採用される」とは報じられていないこと。
これはつまり、マツダの新型直6エンジンは「トヨタブランドのクルマに積むと高くなりすぎる」「レクサスに搭載できるほどの品質を持つ」「レクサスほどの価格帯でないと搭載は難しい」ということなのかも。
もしそうであれば、やはりマツダの新型直6エンジンは(SKYACTIV-X同様)かなりコストが高い、ということになるのかもしれませんね。
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話を新型MAZDA6に戻すと、デザイン的には「マツダ・ヴィジョン・クーペ・コンセプト」に近いものとなり、長いルーフを持つ、エレガントなクーペスタイルセダンへと変貌を遂げる、とも。
そして驚きなのは「2ドアクーペ版が発売される可能性」も報じられていること。
ただし、これも「もし次期レクサスRCがマツダの設計したFR用プラットフォームを採用するならば」そちらとコストを按分できる可能性も出てくるわけですね。
現在、スポーツクーペにとっては冬の時代でもあり、更に上のセグメントにおいてはメルセデス・ベンツSクラス・クーペが販売終了となったり、BMW 8シリーズが全く売れていないという現状もあるため、この新型クーペについてはどこまで実現性があるのかは「謎」。
ただし北米ではレクサスRCが「意外と売れている」ということもあり、そこにマツダが魅力を感じてもおかしくはないのかもしれません。
VIA:Car and Driver