| たった1年前でさえ、BYDがここまで成長すると誰が想像しただろう |
ただし低価格帯はともかく、高価格帯の中国製EVがどこまで中国市場で受け入れられるかはわからない
さて、飛ぶ鳥を落とす勢いの中国BYDですが、その高級ブランドである仰望(Yang Wang=ヤンワン)からニューモデルである「U6」を発売する計画を持っており、その空気抵抗値が世界でもっとも低いクルマとなるもよう。
現時点では正式に発売がなされたわけではないものの、このU6のCd値は0.195であるとされ、これは現在「もっとも空気抵抗が低いクルマ」であるルシード・エアの0.197をわずかに下回る数字です。※参考までに、ルシード・エアの次に空気抵抗が低いのはメルセデス・ベンツEQSの0.202
BYDはあらゆる方面から攻勢に出る
なお、BYDというと「コストパフォーマンスに優れるクルマ」、つまり安価なEVというイメージがあり、実際のところその圧倒的価格優位性によって中国市場を席巻中。
ただし今のところ中国以外ではあまり存在感を発揮できておらず、しかし国外市場においても本腰を入れたならば「その国や地域の市場を勢力図を塗り替えるのは間違いない」とも言われています。
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しかしながらBYDの恐ろしいところは「安価なファミリーカーやコンパクトカー」のみではなく、スポーツカーや高級車市場にも触手を伸ばし始めていること。
そして上位市場を狙うのがこの仰望ブランドということになりますが、すでに高級SUVの「U8」を発表しており・・・。
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ただ、U8やU9、そしてU6というラインアップを見ても分かる通り、仰望はけして特定のセグメントに特化するわけでもなく、シリアスなスーパースポーツを追求するわけでもないものと考えられ、しかし顧客にそれなりの対価を支払わせるために「わかりやすい」機能を取り入れているように思えます。
たとえばU8であれば「タンクターン」、U9だと「0-100km/h加速2秒以下」「ダンスやジャンプができる」、そしてU6だと「世界で最もエアロダイナミクスに優れる」。
つまりは消費者が「他の人に自慢できる何か」をそれぞれのクルマに与えるという戦略を取っていると思われるのがこの仰望であり、もしかするとこれが「メンツ」を重要視すると言われる中国国民の性質にピタリとマッチするのかもしれません(これまでにも、BYDは様々な優れたストラテジーを導入し、それによって成功の道を辿っている)。
加えて、中国の富裕層は(メルセデス・ベンツやBMW、キャデラックなど)欧米の自動車ブランドを好む傾向が強いと言われますが、そういった人々に対してBYDのクルマを販売しようとなると、欧米のクルマの真似ではなく、それらを”超える”何かが必要になるのだと思われます。
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なお、現時点ではU6に関する技術仕様は公開されておらず、わかっているのはパテントとして出願されたこのイラスト、そして中国で開催されたというプレゼンテーションでの一コマから判明したCd値くらい。
ただし現地メディアによれば、このU6はBYD得意の「ブレード」バッテリーを採用することで航続距離600キロ(CLTC)以上を実現し、かつ1,180馬力以上を発生するクワッドモーターを搭載する可能性があると報じる向きが多いもよう。
なお、このクワッドモーターはU8とU9にも搭載されており、かつ上述の通り「他社との差別化」「購入を決断させる理由」としても機能する可能性が高いため、現地での価格が1600万円と言われる高額なU6にも採用されるであろう、と考えています。
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