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長安汽車「アバター(AVTR)07」が発売後20時間で1.2万台の受注を集める大ヒットに。デザインと実用性、快適性とパフォーマンスの両立がその成功の要因か

長安汽車「アバター(AVTR)07」が発売後20時間で1.2万台の受注を集める大ヒットに。デザインと実用性、快適性とパフォーマンスの両立がその成功の要因か

Image:AVATR

| さらには非常に高いコストパフォーマンスも見逃せず、日米欧の自動車メーカーはさらに苦しい戦いを強いられるであろう |

現実問題として、中国の自動車メーカーの優位性は「価格」のみではなく「デザイン」「パフォーマンス」「機能」「コネクティビティ」といったところにまで拡大している

さて、マツダ等との合弁企業展開で知られる長安汽車(中国の”ビッグ5”のうちのひとつ)が保有する自社ブランドの一つが「AVATR(アバター)」。

このほかにもディーパル(Deepal)、ネヴォ(NEVO)、チャンアン(Changan)、カイチャン(Kaicheng)といったブランドを展開していますが、この中だとアバターは「スマートで未来的なデザインを持つ」クルマを展開していることでも知られます。

そして今回、その最新モデルであるAVATR 07(SUV)が発売からわずか20時間で11,673台の受注を集めたと報じられ、非常に好調な滑り出しとなったことが明らかに。

アバター07の価格は279,900元(約560万円)から

このアバター07は純電動バージョン(BEV)とレンジエクステンダーつきEV(EREV)との両方が用意され、開始価格は279,900元(現在の為替レートだと約560万円)というミッドサイズSUV。

そして「実用性とデザイン性」「パフォーマンスと快適性」とのバランスが非常に高いとされ、アバターが強調するのはこの「長くフラットなルーフ」。

これによって車両の洗練されたプロファイルが改善され、後部の積載容量が増加し、より大きな荷物や機器を運ぶのに適したクルマになっていると説明しています。

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AVATR

ボディサイズは全長4,825ミリ、全幅1,980ミリ、全高1,620ミリ、ホイールベース2,940ミリで、フロントはアバターブランド共通の「ツルッとしたフェイスに細長いLEDライトを組み込んでおり、さらにはフラシュマウントドアハンドルにグラスルーフといった中国で人気のスタイルを採用していますが、従来の鏡面を持つドアミラーの代わりに「カメラ」を備えることも見逃せない点(テクノロジー大好きな中国市場では大きな訴求力を持つ)。※このカメラはオプション扱い

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AVATR

アバター07のインテリアもまた「先進的」

そしてこのアバター07は非常に先進的なインテリアを持ち、デュアルスクリーンを核としたセットアップがなされていますが、このシステムは直感的に操作できるユーザーフレンドリーなもので、すっきりとしたインターフェースを提供します。

中心となるのは15.6インチの大型センターコントロールスクリーンで、これを通じドライバーと乗客は車両コントロールとインフォテインメントシステムにアクセスできますが、ダッシュボード全幅に広がる35.4 インチの 4K ディスプレイはエンターテイメント情報を提供し、(オプションの)デジタル サイドミラーが捉えた映像をここへと表示することが可能です。

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そのほか長距離旅行で優れたサポートを提供する”ゼログラビティシート(これは中国車の新たなスタンダードになりつつある)”によって強化され、25スピーカーによって駆動されるメリディアン・オーディオ製サウンドシステムといった高級装備も見られます。

さらに後部座席には十分なスペースがあり、快適で広々とした環境を提供しますが、この後部座席の後ろには500リットルの収納スペースがあり、座席を折りたたむと1,325リットルにまで拡張可能。

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AVATR

アバター07は前後に1つづつのエレクトリックモーターを内蔵する4WDを基本パッケージとしていますが、フロントモーターは131kW(178馬力)、リアモーターは231kW(314馬力)を発生させ、スムーズで力強い走りを実現するほか、足回りにはアクティブエアサスペンションが採用されています。

さらにアバター07には、ファーウエイが開発したQiankun ADS 3.0システムが搭載され、これによって高度な自動運転機能を備えていますが、詳細な地図を必要とせずにナビゲートでき、交通量や道路レイアウトが頻繁に変化する都市部に特に適している、と説明されています(様々なレポートを見ていると、混雑した路上においても非常に優秀な制御を行うようだ)。

このほかにも両の検出機能を向上させる次世代LiDAR 技術とアダプティブクルーズコントロール、車線維持支援、自動緊急ブレーキなどの先進運転支援システム (ADAS) 、360度カメラほか様々なデバイスが搭載されているそうですが、これらに装備、そしてこのデザインを見るに、やはり中国では「中国車に勝るコストパフォーマンスを(日米欧の自動車メーカーが)発揮することは難しいのかもしれません。

「アバター」はこんなブランド

そこでこの「アバター」についておさらいしておくと、アバターの公式サイトでは以下のように(ブランドについての)説明がなされています。

アバターは、未来志向の人間中心のモビリティ技術を探求し、温かく知的なユーザー体験を創造することにコミットしています。「AVATR」という名称は、古代英語の「アバター」に由来し、具現化を意味します。アバターは、この意味をより深い含意を持って受け入れ、自己の喜びを様々な並行世界に反映させ、「あなたの最も感情的で知的な伴侶」になることを目指しています。

スマート電動車(SEV)の新しい領域における探求者として、アバターは国際的な高級SEVブランドの構築に取り組んでいます。長安汽車、ファーウェイ、CATLからの支援を受け、車両の研究開発や知能製造、知能車両ソリューション、そして知能エネルギーエコロジーに取り組んでおり、共同で構築されたシナジー効果を最大限に活用しています。これにより、「新しいアーキテクチャ、強力な計算能力、高電圧充電能力」を備えた全く新しいSEVアーキテクチャを実現しています。新しい協力モデルに基づき、アバターはSEV産業のコアコンピタンスを習得し、中国国内での完全な自律を達成しました。アバターは、中国の重慶に本社を構え、上海とドイツのミュンヘンに支社があります。

なお、このアバターには、17年間BMWに在籍し、i8ロードスター、iNextコンセプト、X3、X4、6シリーズクーペ / グランクーペ / コンバーチブル等のコンセプトカーや主要製品をデザインしたナダー・ファギザデ氏が加わっており、その製品の「高いデザインレベル」にも納得ですね。

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