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【シャオミ・雷軍CEOが異例の投稿】SU7をめぐる騒動と心労、「創業以来、最も厳しい1カ月だった」

【シャオミ・雷軍CEOが異例の投稿】SU7をめぐる騒動と心労、「創業以来、最も厳しい1カ月だった」

Image:Xiaomi

| 雷軍CEOの投稿:「精神的にも肉体的にも限界だった」 |

2024年3月に納車が始まった小米(シャオミ)の電気自動車「SU7」シリーズ。

好調なセールスを記録する一方、その最上位モデル「SU7 Ultra」を巡る一連の問題が波紋を広げ、創業者でありCEOの雷軍(Lei Jun)氏が2025年5月10日、自身のWeiboアカウントへ「創業以来、最も厳しい1カ月だった」と現在の心境を吐露して話題に。

▶ SU7 ウルトラの“性能制限アップデート”が物議を醸す

雷軍氏は今回の投稿にて過去1カ月についてこう語り・・・。

「創業以来、最も困難な時期だった。気持ちが沈み、会議をキャンセルし、出張も延期、SNSからも距離を置いていた。
静かな時間ができたことで、深く内省し、多くの気づきを得ることができた。」

多くのユーザーや関係者から届いた励ましの言葉に感謝を述べ、「少しずつ元気を取り戻している」ともコメントしています。

シャオミ、1,548馬力のEV「SU7 Ultra」に対する性能制限を導入するものの「直後に撤回」。「ソフト定義車両」の問題が浮き彫りに
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問題の発端となったのは、SU7 ウルトラのパフォーマンスに関するソフトウェアアップデートで、このアップデートによって通常走行時の出力が1548馬力 → 約900馬力に制限される仕様へと変更され、しかもフルパワーを発揮するには「ランキングモード」でサーキット走行1周を完了し規定以内のタイムを記録する必要が生じたわけですね。※ここではユーザーへの告知なしに、一方的に変更を行ったことが問題視さて反感を買ってしまった

  • ユーザーからは「広告と実際が違う」「透明性に欠ける」と批判が殺到
  • シャオミは「安全のため」と説明するも、後にアップデートを撤回
  • 今後のアップデートでは事前の説明強化を約束
1500馬力オーバーのスーパーEV、シャオミSU7ウルトラが「初」のクラッシュ。この事故を受けシャオミは「オーナーは公式トレーニングを受けるよう」声明を発表
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▶ オプションパーツ「カーボンフード」の「過剰な表現」にも批判

加えて、「カーボンファイバー製デュアルダクトフード」の性能に関しても疑問の声が上がり、このオプションは非常に高価であるにも関わらず、実際には「軽い」以外の(謳われていたエアロダイナミクス高価などの)機能はなく、つまりは”見せかけのみ、しかも過剰広告”であったことが問題に。

  • 一部ユーザーは「機能を過大に誇張している」と指摘
  • 小米は軽量化の効果が1.2kgであることを認める
  • 対応:
    • 未納車の注文は通常フードへの変更可
    • 既存ユーザーには2万元(約27.7万円)相当のロイヤルティポイントを提供
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▶ シャオミSU7にて3名死亡の重大事故も発生、安全性に疑問の声

さらに2024年3月29日には安徽省銅陵市でSU7の衝突・炎上事故が発生し、乗員3名が死亡するという痛ましい事故となりましたが、この事故の翌日(3月30日)、雷軍氏は控えめなビデオ投稿を行っており、それ以降しばらくSNSから姿を消していたということも。

  • 高速道路の防護壁に衝突し、炎上
  • ドアロック機構・運転支援アラート・バッテリー安全性が議論に

▶ シャオミ経営者としてのプレッシャーと今後の焦点

今回のWeiboへの投稿は、雷軍氏が個人的な心の内と経営者としての苦悩を明かした極めて異例のものであり、SU7という大きなプロジェクトの舵を取る中において、ブランド価値と顧客信頼をどう守ってゆくかが大きな課題となるとともに、今後は以下のポイントに注目が集まります。

  • ソフトウェア制御に関する透明性の確保
  • ユーザー対応の迅速化と信頼回復
  • 車両安全性に関する改善と情報開示
  • EV市場におけるリーダーシップの維持
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Image:Xiaomi

▶ まとめ:挑戦の先にある信頼再構築へ

シャオミにとって初のEV事業は、華々しいスタートとともに想定以上の逆風にも直面してしまい、今回の雷軍CEOの投稿は、そうした苦境を真正面から受け止めている姿勢の表れとも捉えられるのかもしれません。

一連の問題に対して企業がどれだけ真摯かつ迅速に対応できるか——それこそが、SU7の真価を左右する最大のカギとなりそうです。

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