| 通常のステアリングホイールでは操作が難しく、タイヤの回転方向をどう制御するのかにも課題が残る |
実際には専用の操作デバイスを使用するのがベターかも
さて、ヒョンデのプロジェクトのひとつ、「ヒョンデ・モービス」が最新バージョンとなるeコーナー・モジュールを発表(現段階ではまだコンセプトにとどまる)。
このeコーナー・モジュールはステアリング、ブレーキ、サスペンション、駆動システムを各ホイールに統合したもので、最初のコンセプトは2018年に発表され、そして今回同社の人気EV、アイオニック5へと搭載されたプロトタイプが公開されたわけですね。
ヒョンデ eコーナー・モジュールはこういった特徴を持っている
そこで今回、このeコーナー・モジュールを装着したヒョンデ・アイオニック5がどういった動きをするのか紹介してみたいと思いますが、4輪ともども「最大90度まで」車輪を切ることが可能となっており、4輪を車両の前後方向に対して90度に切れば、文字通りの「カニ歩き」が可能となります。
これは「クラブモード」を備えるハマーEVとは比較にならないほどの真横に移動する「カニ歩き」で、文字通りクルマが左右にスライドするように動くわけですね。
そしてこちらはタイヤを90度とまではゆかず、85度くらいに切った状態にて360度ターンを行う「ゼロターン」なる機能であり、これも多くのEVが実装を目指してきた機能です。
そしてこのゼロターンは、別名タンクターンと呼ばれますが、リビアンR1Tやメルセデス・ベンツGQEコンセプトではここまでタイヤを切ることができないので「タイヤを空転させながら」でないと実現できないという問題も(つまり、ミューが高い路面だと実行できず、でなくともタイヤを盛大に消費する)。※リビアンR1Tについては、結局市販モデルにこれは実装されていないと聞いている
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そしてちょっとおもしろいのが「ピボットターン」なる機能で、動画だと後輪を90度まで切り、前輪はそのままにして「前輪を軸に」後輪による駆動力にて円を書くように車体を回転させるもの(これとは逆に、後輪を軸にすることもできるのだと思う)。
そしてもうひとつ紹介されているのが「ダイヤゴナル・ドライビング」。
これは4輪を「同じ向き、同じ角度」に切ることでクルマがそのまま「斜めに」移動するというモードです。
いずれのモードも「90度までタイヤを切ることができる」ほか、それぞれのホイールにモーターを内蔵し、個別に回転方法(正回転・逆回転)を調整できるからこそ可能な動きだと言えそうですね。
ヒョンデはこの実用性に自信を見せるが
なお、ヒョンデはこれらの機能を活用することで「縦列駐車や狭いスペースでの移動が楽になる」としているものの、この機能にはまだまだ課題が多く、まずは「操作系」の問題。
ステアリングホイールだけで全後輪の角度を操作したりその回転方向をコントロールすることは困難であり、かつ速度についても制限を設けておかないと思わぬ事故につながりそう。
そして最も大きな問題は「ドライバーがこれに慣れていないと操作がむしろ難しく、狭い場所でこれをやると事故を招く可能性が高い」こと。ただしヒョンデはこの装着を進めて「狭い場所でも優雅に移動できるように」することが最終目的だと述べており、実際に車両に装着することを検討しているようですね。
ちなみにメルセデス・ベンツは「タンクターンは、自分のクルマを自慢するとき以外は全く役に立たない」とコメントしており、このあたりメーカーによって捉え方が異なるのが面白いところです。
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