| ケーニグセグに積まれるエンジンは自然吸気5リッターV8、出力は600馬力 |
落札価格は最高で7億3500万円だと見られているが、その希少性を考慮するに、もっと高価にて落札される可能性も
さて、世界中から熱狂的な自動車ファンが集まる一大イベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」。
ここでは毎年様々なプログラムが提供され、「ヒルクライム」のほかにも新型車の発表そして希少車のオークションなどもりだくさん。
とくにグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにて競売にかけられるクルマは「レアもの揃い」として知られますが、今回はレア中のレア、ケーニグセグが唯一製作したレーシングがカーが出品されるとアナウンスされています。
ケーニグセグは当初、モータースポーツへの参戦を計画していた
ケーニグセグは第一号車であるCC8Sを発売したのち、様々なモデルそして様々な場において「記録」を塗り替えてきましたが、最近だとリマックの「0-400-0km/h」記録を破ったことが広く報じられ、そして「ギネス」に限っては今でも世界最速記録を保有していることでも知られます。
つまりケーニグセグのクルマは「ほぼ無敵」といえるほどのパフォーマンスを持っていると理解して良く、しかし現在に至るまでモータースポーツには未参戦。
そして今回、この「ケーニグセグCCGT」とともに、なぜケーニグセグがモータースポーツに参戦していないのかという知られざるストーリーが語られることとなっています。
ケーニグセグ「CCGT」は悲運のレーシングカーだった
なお、(現在モータースポーツに参戦していないからといって)ケーニグセグが当初からモータースポーツに興味がなかったわけではなく、最初の市販車であるCC8Sを発売したときから「参戦計画」があったもよう。
このCC8Sは2000年に発表され、2002年に市販されていますが、その翌年である2003年には「CCGTプログラム」が立ち上げられることとなっています。
その後も順調に開発が進み、2007年には今回出品されるCCGTが製作され、GT1クラスへの参戦がアナウンスされるものの、なんとシェイクダウンを開始してわずか2週間後にACO(=Automobile Club de l'Ouest、ル・マン24時間レースの運営団体)がGT1競争のルールを変更し、それまでの「ベース車につき、数年で20台の生産がなされればOK」とされていたルールを「1年間に350台の生産が必要」という内容へと変更することに。
ケーニグセグは非常に生産台数が少なく、それが希少性(ひいては高い市場価値)を生み出しているわけですが、ケーニグセグにとってこの「350台」というのは途方もない数です。
というのも、実際のところCC8Sそのものがモデルライフ通じて8台しか製造されていないためで、その状況ではどうやっても350台を制作し販売することなど全く不可能。
加えて「カーボンモノコックシャシーの使用禁止」までもが決定されてしまい、そしてケーニグセグはこの決定を受け入れることができず、結果的にこのCCGTが1台作られたのみでケーニグセグの「モータースポーツ参戦計画」が霧散してしまったわけですね。
なお、当時このCCGTをテストしたドライバーたちの間では「とんでもなく速い」「非常に競争力がある」と話題になっており、これはその後のケーニグセグが打ち立てた数々の記録を見ても十分にうなずけるところです。
搭載されるのは5リッター「自然吸気」V8エンジン、そしてトランスミッションはレース用のシーケンシャル。
車体重量はわずか1,100kg、エンジン出力は600馬力だというので非常に痛快な走りを見せるであろうことは疑う余地がなく、その希少性や歴史的背景、さらにこれまでケーニグセグが達成してきた偉業の数々を考慮すると、とんでもなく価値があるレーシングカーだとも考えられます。
実際のところ、予想落札価格は最高で400万ポンド(現在の為替レートにて)7億3500万円だというエスティメイトが出されており、しかしこれを超える額で落札されたとしても誰も驚かないかもしれません。
レギュレーション変更によって参戦の機会を奪われてしまった悲運のレーシングカーではありますが、仮に参戦が実現していたならば、モータースポーツの歴史が大きく変わり、そしてケーニグセグのあり方も今とは全く異なるものとなっていたかもしれませんね。
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参照:Bonhams