| ケーニグセグがパワートレーンを変更したワンオフモデルを製作することは非常に稀である |
オーダーしたのはFIA現会長のモハメド・ベン・スレイエム
さて、ケーニグセグが(9年前の)アゲーラRSをベースにしたワンオフモデル、「キメラ」を公開。
ケーニグセグの車両はいずれも固有の仕様を持っていますが、このキメラは単なる内外装の仕様をそのオーナー専用へと変更しただけのワンオフではなく、なんとアゲーラRSの車体に”ジェスコのエンジンとCCのトランスミッション”を組み込んだという前例のないクルマで、まさに「キメラ」の名がふさわしい一台となっています。※キメラとは一つの生命体の中に異なる生物の遺伝子が存在する異質同体、あるいは嵌合体のことである
ケーニグセグ・キメラはこんなクルマ
このケーニグセグ・キメラのオーナーはFIA現会長のモハメド・ベン・スレイエム氏であり、同氏が「2021年に発表されたジェスコ、2022年に(ケーニグセグの20周年記念として)発表されたCC850を見て、これらに採用される最新技術を自分のアゲーラRSへと取り入れたらどうなるか」と考えたのがことの発端だったのだそう。
ただ、パガーニが「現在と過去のデザインや技術を」一つのクルマに(顧客の要望に応じて)盛り込み、機能や形状的に異なるスペックを持つ個体を作るのに対し、ケーニグセグがそういった対応を行うことは稀であり、よってこのキメラは相当にレアな存在です。
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そしてモハメド・ベン・スレイエム氏がクリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏に依頼を行うに際しても「その説得は容易ではなかった」と見え、モハメド・ベン・スレイエム氏は自身のアゲーラRSを(5リッターV8ターボエンジンと)CC850用のマニュアル・トランスミッションの開発用車両として(ケーニグセグが)使用できるという条件を出し、これによってようやくこのキメラ計画が動き出したのだそう。
かくして実際に完成した「キメラ」はかなりユニークな仕様を持っており、6速マニュアル・トランスミッションを操作するための「ゲート式シフター」を備え、さらにはステアリングホイール裏面にもパドルを備えるため、ドライバーは「9速オート」「6速MT」「9速シーケンシャル」といった3通りのギアチェンジ手段を選べるわけですね。
ちなみにCC850は上述の通りケーニグセグの創立20周年記念として発売されていますが、そのルックスが「ケーニグセグが初めて発売したCC8」のオマージュであるだけではなく、「9速オートマチックと6速マニュアル」両方を内蔵するトランスミッションを持つことが大きな特徴。
そしてこのトランスミッションは「オートマチックにマニュアルのロジックを持たせた」ものではなく、MTとして操作するときは(クラッチが必要な)正真正銘のMTとして機能するという他に類を見ない構造を持っています。
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キメラはこの稀有なトランスミッションを持つ唯一のアゲーラRSということになりますが、もう一つ特筆すべき点は、ジェスコと同じエンジン(通常のガソリンで1,280馬力、レース用のE85燃料で1,600馬力)を持ちながら、なんとジェスコよりも車体が100kgも軽いこと。
これはジェスコに比較して大きなメリットとも言える点であり、モハメド・ベン・スレイエム氏がアゲーラRSをベースに選んだ(ジェスコやCC850を購入しなかった)理由なのかもしれませんね。
ケーニグセグ「キメラ」を紹介する動画はこちら
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