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【試乗】ゴルフR最強伝説健在ナリ。加速性能はポルシェ911なみ、VWゴルフR(MT)に試乗

2017/07/17

ぼくの考える「最強」の車がゴルフR。フェイスリフト後も最強伝説は健在か?

フォルクスワーゲン・ゴルフRに試乗。
現行世代のゴルフRではフェイスリフト前に何度か試乗していますが、フェイスリフト後のモデルに試乗するのは初めて。
フェイスリフト後のゴルフRについて、出力は310馬力へとパワーアップし、0-100キロ加速は4.8秒から4.6秒へ。
4.6秒というのはターボエンジンを搭載するポルシェ911(991.2)カレラと同じ数字であり、これは驚愕としか言いようがないスペックです。

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まずはゴルフRのスペックを見てみよう

価格は6MTが5,499,000円、DSGで5,599,000円(価格はポルシェ911カレラの半額以下)。
駆動方式は4WD”4MOTION”(ハルデックス)を採用し、前後トルク配分は0:100まで無段階、つまり「後輪のみ駆動」という状態もありうるワケですね。

ドライブモード(アダプティブシャシーコントロール”DCC”)はタッチスクリーンで変更でき、「エコ」「ノーマル」「コンフォート」「カスタム」「レース(ゴルフR専用)」の5種類。
もちろんエンジンレスポンスやシフトプログラムも変化する他、ダンパーもモードに合わせて変化するなど「この価格としては異例の」装備を持つと言って良さそう。

サスペンションもゴルフR専用にチューンされ、車高は10ミリ低く。
ただし、「低く硬く」なっただけではなく、ハンドリングを重視した微妙なチューニングが施されているようですね。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は DSC00055.jpg です

その他にも電制デフ(XDC)、プログレッシブステアリング(可変ステアリングレシオ)など完全にクラスを超えた装備を持っており、この辺りポルシェやアウディ、ランボルギーニといった上位ブランドを有するフォルクスワーゲングループならではの恩恵を受けている、とも考えられます(もともとゴルフは戦略的に、性能に比して低い値付けがなされている)。

サイズは全長4,275×全幅1,800全高1,465ミリとコンパクトで、特に新型シビック・タイプRの全幅が「1,875ミリ」もあるということを考えると相当にコンパクト。
実際のところ最小回転半径は5.2メートル、とかなり小さくなっています。

加えて燃費はカタログ値でリッター13キロと非常に優秀な数値となり、5ドアハッチバックということを合わせて考えると「かなり使い勝手が良く、文字どおり街中からサーキットまでオールマイティに」使える車といえそうですね。

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外装はフェイスリフト前に比べるとフロントバンパー下部が最近のアウディやランボルギーニっぽい「ハの字」貴重となり、さらに直線的かつシャープに。
リアはテールランプの衣装が若干変更になり(シーケンシャル点灯式の”ダイナミック・ターンインジケーター”付)、リアディフューザー形状が変更となっているものの、その範囲は非常に小さい、と思います(パっと見ても新旧の判別ができない)。

一方で内装は大きく変わり、その大きな要因は「デジタルコックピット」。
これはアウディ、ランボルギーニが採用するものと同じで、やはりVWアウディグループならではの「恩恵」と言える部分。
加えてジェスチャーコントロールも採用されています。

安全性に関してはトラフィックアシスト、アダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシストシステム、ブラインドスポット・ディティクション、ダイナミックコーナリングライト、プリクラッシュブレーキシステム、リヤビューカメラ、リヤトラフィックアラート、パークディスタンスコントロールなどをひっくるめた「フォルクスワーゲン・オールイン・セーフティ」を装備。

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310馬力、4WDでサーキット走行対応が車としてこの価格はちょっと他になく、かつこれだけの安全装備と快適性を持つとなるとコストパフォーマンス的には「比類ない」レベル。
この辺りがぼくに「ゴルフR最強」と思わせるところですが、とにかく価格性能比となると「無敵」ではないかと考えています。

プラットフォームはVWキモ入りの「MQB」

なおベースとなる「ゴルフ7」そのものもこのセグメントでは「最強」と考えており、その理由は「プラットフォーム」。

ゴルフ)のプラットフォームは「MQB=Modulare Quer Baukasten」ですが、MQBは設計やパーツを共有することで車種間のコストを抑えること、最高レベルの強度確保を目的に開発されたフォルクスワーゲン・アウディグループのキモ入りプラットフォーム。
「コスト削減」と聞くといい気はしないかもしれないものの、別の視点から見ると「削減した分のコストで別の部分にコストを掛けることが出来る」、「下位モデルであれば上位モデルと同等のプラットフォームを使わせてもらえる」という利点も。

MQBが使用されるモデルはゴルフ7、ゴルフトゥーラン、B8パサート、AD1ティグアン、アトラス(北米専用)、最新モデルのアルテオン。
アウディでMQBを使用するのはQ2、8V型Q3、8S型TT、B9型A4。
つまりゴルフ7にとっては「上位モデルと同じプラットフォームが与えられた」ことになりますね(ゴルフ7はスポーツモデルのアウディTTと同じプラットフォームを使用している)。

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こういった感じでグループ内からの多大なる恩恵をもっとも受けているのが「ゴルフ」と考えており、そのためゴルフはほかメーカーの同価格帯の車に比べるとひとクラス以上「上」のポテンシャルや装備を持っている、と考えています(ほかメーカーの開発担当者から見るとゴルフは「反則」のように思えるかもしれない)。

ゴルフのコストパフォーマンスがいかに優れているかはどれだけでも語ることが出来ますが、あまりそこだけにフォーカスも出来ないので、とりあえず試乗に移りたいと思います。

内外装についてはこれまで試乗したゴルフやゴルフGTIと同様なので詳細について触れることはしませんが、やはりVWアウディグループならではの高い質感を誇っており、アルミ調パーツ、ピアノブラックのパーツについては高級感をぐっと高めている、と言えます。

なおゴルフRのテーマカラーともいえるべきものはゴルフGTIのレッドに対して「ブルー」となり、夜間はこの照明が非常に美しく、かなり雰囲気を盛り上げてくれますね。

さっそくゴルフRに試乗してみよう

今回の試乗車は「マニュアル」となり、よってこれまで以上にしっかりとシートポジションを合わせる必要がありますが、このポジションは「クラッチペダル」を踏み切れるかどうか、というところがベース。
DSGだと「クラッチ」は関係ないものの、マニュアル・トランスミッションだとクラッチとの関係が最も重要だとぼくは考えています。

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そうやってドライビングポジション、そしてミラーを合わせたのちはクラッチを踏んでエンジン始動。
結構太い音と共にエンジンが始動し、しかし車体が揺すられるような振動はなく、この辺り非常に堅牢な作りを感じるところ。
なおMT車でもアイドリングストップは装備され、エンジン停止時からの復帰は「クラッチを踏む」ことで行いますが、アイドリングストップ作動(エンジン停止/再始動)についてはほぼ意識させられることはなく、静粛性の高さが伺えます。

実際にしばらく走行してもその印象は変わらず、快適性、静粛性においては相当に高いレベルで、同門のアウディと同等レベルなのはまちがいない、と断言できるレベル。

サスペンションは「ノーマル」だと非常に柔らかく、段差や路面のうねりでも車体の揺れをしっかり抑えながらも柔らかく衝撃を吸収するセッティングで、これはフォルクスワーゲン・アウディグループの車に共通する美点ですね(これを「硬い」と感じる人はまずいないはず)。

スピードを上げても安定性は非常に高いままで、しかし乗り心地を損なわないのは特筆すべき点。
おおよそ「低速域で柔らかい」サスペンションはスピードを上げるとふわふわして「不安」に転じるものですが、ゴルフRではそれが一切ない、ということです。

コーナリングにおいてもそれは同じで、やはり4WD(4MOTION)の恩恵が大きく、どんなにラフに扱ってもしっかり曲がるという印象。
まさに路面に「吸い付く」という表現がぴったりの車であり、「ちょっとやそっとのことじゃラインを外さない」という印象がある車でもありますね。

ドライブモード変更によるエキゾーストサウンド、ステアリングレスポンスや重さ、アクセルレスポンスの変化について、その「幅」はかなりのもの。
これも「ゴルフR一台で」様々な楽しみ方をさせてくれるデバイスであり、設定次第で「快適なファミリーカー」から「スーパーカー顔負けのドライブフィール/サウンド」まで異なる表情を見せることになります。

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「マニュアル・トランスミッション」のフィーリングは?

マニュアル・トランスミッションについてもよくできており、走り始めこそはミッションオイルが硬くシフトが入りづらい場面もありますが、それもトランスミッションが温まればスコスコと入るように。
クラッチは踏みしろが大きく、慣れるまではミートポイントがわかりにくいものの、これも慣れれば「繋がる」ところが明確にわかるようになるので、ここに気を使わずに走れるようになると思います(そういえば昔の車は基本的にMTばかりだったので、メディアによる車評についてもトランスミッションやクラッチに関する部分に重点を置いていたような気がする)。

シフトダウン時に回転を合わせたり、追い越しの際にシフトダウンしてエンジン回転数を上げ、同時に気分を高めるというのはMTならではの部分で、久々にマニュアル・トランスミッション車を運転すると「やっぱりマニュアル・トランスミッションはいいなあ」と感じますね。
実際に速いかどうかは別として、やはりMTにはそれなりの楽しさがあり、そこが「ポルシェ911Rが”億”をつけた」理由でもある、とぼくは思います。

ただ、慣れの問題、ぼくの運転技術の問題もありますが、ゴルフRのスピードだと「確実にDSGの方が気持ちよく走れるだろう」と感じたのも間違いはなく、ゴルフRを購入するのであればDSGを選ぶ可能性が大(追ってDSGのゴルフRがやってくるので、その時に改めて比較したい)。

というのもゴルフRの出力は310馬力で、これは「かなり」のもの。
さらにエンジンレスポンスは鋭く、タコメーターの針をパワーバンドに閉じ込めておこうとなるとMTではかなりのスキルを要求されることになり、「その速度域でその動作を」行うのは効率から言ってDSGの方が間違いなく優れている、と言えます。

ぼくは直近だとミニクーパーS、ポルシェ・ボクスターS、ポルシェ911にてマニュアルを乗り継いでおり、しかしマニュアル信奉者ではないのも確か。
ミニクーパーSの馬力や速度域だとマニュアルの方が楽しく走れると思いますが、ポルシェ・ボクスター以上になると「デュアルクラッチ」の方がキビキビ走れる、と考えています。

つまり、「シフトチェンジにかかる時間に進む距離」の問題で、ミニクーパーSだとそんなに問題とならない距離でも、ポルシェ・ボクスター以上になると「かなり進んで」しまうので問題となることがある、ということですね。
よってひとくくりに「マニュアルがいい/悪い」という問題ではなく、マニュアル。トランスミッションがいいのかどうかは「車による」と考えていて、これはぼくの思うところだと「300馬力」が一つの境界線。

これ以下だとMTの方が楽しく(トヨタ86はこっち)、これ以上(ポルシェ・ボクスターはこっち)だとデュアルクラッチの方が楽しい、ということです。

ゴルフRの場合は310馬力なので境界線を超えており、ぼくの技術を勘案するとMTだとこれを速く走らせるのは難しいだろう、という判断となります。 関連投稿
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結局のところ、ゴルフRを試乗した印象は?

総括すると、ドライブモードを備えるため低速でも低く太いサウンドを楽しむことができ、かつドライブモードは「カスタム」ができるため、足回りは柔らかく、ステアリングレスポンスも緩めで、しかしサウンドだけはスポーティ、という設定も可能(サスペンションやステアリング、排気音などは個別に設定できる)。

さらにはコンパクトな車体、ドア5枚、低められたサスペンション、大きなタイヤ/ホイール、優れた燃費、高いパフォーマンス、快適な乗り心地、先進的な安全装備/ドライバーエイドを持った車で、この車にないものは「無い」んじゃないかと思えるほど。
しかも4WDでスタビリティが高いとなると「向かうところ敵なし」。

コストパフォーマンスを考えると、やはり「これ以外の選択は考えられない」という認識は今回の試乗でも全く変わらず、むしろ改めて確信させられるほどであり、ぼくの中での「ゴルフR最強伝説」がより強固になったと考えています。

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