ポルシェは先日「今後、911にはレトロな限定モデルを発売」というアナウンスを行いましたが、クリストフォーラス最新号にはもっと踏み込んだ記載があり、ここで紹介してみようと思います。
まず、ポルシェによると、今後の911には50年代、60年代、70年代、80年代のヘリテージデザインを取り入れる、とのこと。
これは限定モデルとして採用されるほか、通常のオプションとしても利用可能となるのは先日公開されたとおり。
今後は「昔のカラー」も復活?
なお、ポルシェではこのために「それぞれの年代にあわせたボディカラー、エンブレム、ステッカー等を組み合わせてゆく」研究を続けており、特に”カラー、素材、手触り”を重要視している、とのこと。
ちなみに「レトロ」の火付け役となったのは、ポルシェが「創業70周年記念」の一環として発表した「911スピードスター・コンセプト」。
これには917「ヴァイザッハ」風のカラーリングや、レトロなレザーが内装に採用されていましたが、(この仕様については)もともと「単なるコンセプト」止まりであったものの、その反響が非常に大きく、よってこれを(911スピードスター市販時に)「オプションパッケージ」として用意したようですね。
このヘリテージ・パッケージについて、単に内外装のカラーリングを変更しただけではなく、圧延式の金属バッジを採用するなど、「昔の技術」を復活させた部分も。
エンブレムも現行のものとはちょっと異なる「レトロな」ものが使用されているように見えます。
ポルシェは過去と未来とを融合させようとしている
なお、ヘリテージ・パッケージの根底にあるのは下記の思想(カラー&トリム・デザイナーのシュテファニー・クライベーマー氏による)。
「伝説と崇められるかつてのポルシェのプロダクトを見ていると、心象風景にポルシェの哲学や美学のようなものが浮かんできます。それをお客様に追体験していただきたいという思いでヘリテージデザインパッケージの開発に取り組みました」
そして、この仕様を実現したポルシェのカスタム部門、「ポルシェ・エクスクルーシブ・マヌファクトゥア」の担当責任者、ボリス・アーペンブリンク氏によれば、911スピードスター「ヘリテージ・パッケージ」にはこういったメッセージが込められている、とのこと。
「911 スピードスターは伝統とイノベーションを融合させたモデルです。ポルシェが初の EV スポーツカーとなるタイカンで新時代に足を踏み入れたとしても、我々はそのルーツを決して忘れないという強いメッセージをこのスピードスターで表現しているのです」
加えてポルシェは単に「レトロなクルマ」を作ろうとしているわけではなく、そこの使用される技術や理論は最新のものであることも強調しています。
つまりはそのルーツをしっかり認識して「外観」として反映させるとともに、その内側には最新のテクノロジーを内包させており、前出のボリス・アーペンブリンク氏によれば「 私たちはクラシカルな要素を残しつつ、最新技術を惜しみなく盛り込んでいきました。新型スピードスターは過去に囚われず、未来に視線を向けたモデルなのです」 。
ちょうどフェラーリも新シリーズ「ICONA」をスタートさせており、これも911スピードスター同様に、「過去のヘリテージをデザイン要素として取り入れながらも最新技術を使用したモデル」。
現在は多くの新興メーカーが登場し、また既存メーカーでもそのパフォーマンスを向上させている場合が多く、ポルシェやフェラーリは「ヘリテージ」をもってこれらに対抗しよう、ということなのかもしれませんね。
VIA:Porsche