| フォーミュラE独自のシステム「アタックモード」「ファンブースト」にももちろん対応 |
ポルシェがタイカンの発表に先駆け、「フォーミュラE」参戦のためのレーシングカー、”99Xエレクトリック”を発表。
ポルシェはル・マンから撤退した後にフォーミュラEへの参戦を発表していますが、今度はこのマシンで「世界一」を目指すということに。
なお、ネーミングの「99」という部分について、ポルシェにとっての重要な数字である「9」を2つ繰り返すことで、いかにフォーミュラEに注力しているかを表現している、と語っています。
ポルシェ99Xエレクトリックはこんなクルマ
まず99Xのカラーリングを見ると、ポルシェがレーシングカーに用いる「ブラック、ホワイト、レッド」をメインに使用。
参戦パートナーはタグ・ホイヤー
大きくタグ・ホイヤーのロゴがありますが、これはチーム名自体が「 TAG Heuer Porsche Formula E」だからで、つまり参戦にあたってのパートナーはタグ・ホイヤーだということに。
なお、タグ・ホイヤーはアストンマーティンとパートナーシップ契約を締結しているものの、ライバル関係にあるポルシェとも協業関係にある、ということになりますね(最新のアストンマーティンDBXプロトタイプにもタグ・ホイヤーのロゴがあるので、アストンマーティンと手を切ったわけではない)。
なお、ポルシェとタグ・ホイヤーとの関係というと、1980年代のマクラーレンF1マシンに積まれていた TAG-Porsche(タグ・ポルシェ)V6ターボエンジン=TTE P01が思い出され、両者の関係は「浅からず」、今回のフォーミュラEにおいても高い競争力を発揮しそうです。
ちなみに現在の「タグ・ホイヤー」となったのは1985年からで、TAGグループが腕時計メーカーのホイヤーを買収したため。
ただしその後TAGグループ(現Techniques d'Avant Garde)は腕時計部門のタグホイヤーをルイ・ヴィトングループ(LVMH)に売却しており、1980年代の「TAGポルシェ」と現在の「タグ・ホイヤーとポルシェ」との関係はちょっと異なる、ということにもなりますね。
ドライブシステムは「チームごとに開発」
そしてフォーミュラEの規定に従い、シャシーとバッテリーには自由度がないものの(ワンメイク)、ドライブシステムはチームごとに自由が認められており、ポルシェはLMP1クラスに919ハイブリッドにて参戦した経験を活かした、とコメント。
99Xエレクトリックのボディサイズは全長5,160ミリ、全幅1,770ミリ、全高1,050ミリ。
車体重量は900キロで、そのうち385キロがバッテリー。
予選モードでは340PSを発生し、レース(本戦)モードでは272PS。
最高速度は280km/h、0-100km/h加速は2.8秒、タイヤはミシュラン製の18インチ、ブレーキはブレンボ製(リアブレーキは”ブレーキ・バイ・ワイヤ”)というスペックです。
ポルシェは「今回のフォーミュラE参戦は、我々にとって大きな第一歩だ。フォーミュラE参戦を通じて得たノウハウは、市販車にもフィードバックする」とコメントしており、今後の「ポルシェ製エレクトリックカー」に期待したいところですね。
そのほかのスポンサーはBOSS、ミシュラン、ボーダフォン、モービル、プーマ。
919ハイブリッドで共に戦った「ショパール」「アディダス」「DMG MORI」のロゴはないようですね。※ポルシェが長年つ連れ添ったアディダスを切り捨ててプーマに移行したということになるのかも
フォーミュラEならではの「アタックモード」「ファンブースト」とは?
ちなみにフォーミュラEにはレースを盛り上げるために「アタックモード」「ファンブースト」なるものが存在しますが、アタックモードはコース上にある「アクティベーションゾーン」通過時、ドライバーがスイッチにてこれを起動させることができ、これによって99Xエレクトリックのパワーは一時的に320PSにまで増強可能。
ただ、このアクティベーションゾーンはレーシングラインから外れて「わざわざそこに行かないと」ならないため、タイムロスしてもパワーアップを狙うかどうかはその状況次第です。
まさにゲームのような仕掛けですが、これの作動中はハロに装着されたLEDがブルーに点灯することで確認でき、よって観客もその動作を知ることができることになり、けっこう盛り上がる仕掛けではありますね。※しかもアタックモードの使用制限回数、持続時間はレース開始まで発表されない
もうひとつの「ファンブースト」はSNS上の人気投票にて選ばれた上位数名(現在は5名)のドライバーのみが使用できるもので、ただしレース開始後一定期間経過後、さらにはアタックモード作動中のみという条件付き(このモード作動中、LEDは赤く光る)。
このあたり、ファン参加型、そしてドライバーとしてもファンサービスを日頃から心がけてフォーミュラE自体を盛り上げてゆかねばならない環境を作っており、なかなかに面白い試みだと言えそうです。