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ポルシェはエンジンを「完成」させるまで内燃機関の可能性追求を諦めない。排熱をパワーに変える革新的な新特許が出願される

ポルシェ

| ポルシェの基本思想は内燃機関であろうがEVであろうが「効率」にある |

この記事の要点まとめ

  • エンジンの執念: ポルシェはEV全盛期でも、内燃機関(ICE)の極限を追求し続ける
  • 革新的な特許: インタークーラー内に「膨張タービン(ターボエキスパンダー)」を組み込む新発想
  • 排熱の再利用: 捨てられていた排気熱を機械エネルギーや電気エネルギーへ変換
  • 多大なメリット: 出力向上、レスポンス改善(アンチラグ効果)、さらにはパーツの長寿命化まで実現

「電気自動車(EV)への移行が加速する今、ガソリンエンジンの進化は止まった」――ほとんどの自動車メーカーにおいて、これは現実かもしれません。

しかし我らがポルシェにとっては「そうではなく」、彼らはエンジンの熱効率を「完璧」にするまでその歩みを止めるつもりはないことが改めて明らかに。

今回、ポルシェが「内燃機関の輝かしい未来」につながる特許技術を申請しており、その内容を見てみましょう。

Porsche (5)

Image:Porsche

ポルシェが挑む「熱の壁」:排気エネルギーの無駄をゼロに

現代のターボエンジンにおいて、エンジンの出力を制限しているのは「排気ガスのエネルギー不足」ではなく、実は「エンジンが受け入れられるブースト圧の限界」で、(限界を超えて)活用されていない排気ガスには、今のターボが使い切れないほどの熱エネルギーがまだ残っている、というのが今回の特許の起点です。

そこでポルシェのエンジニアたちが考えたのは「エンジンに押し込めない余剰なエネルギーを、別の形で回収すればいい」という、極めて合理的かつ挑戦的なアイデアというわけですね。

Porsche (7)

Image:Porsche

世界初?インタークーラーとタービンの「禁断の融合」

今回の特許の核心は、インタークーラーの中に「膨張タービン(ターボエキスパンダー)」を組み込むというもので、これは火力発電所や原子力発電所で蒸気を回転力に変えるために使われる技術を「自動車サイズ」にて応用したもの。

ポルシェ新特許の仕組みとスペック

構成要素役割・機能
高効率ターボ排気エネルギーを限界まで抽出。超高圧の過給気を生成。
膨張タービンインタークーラー内で過給気を「減圧・膨張」させ、エネルギーを回収。
出力変換回収したエネルギーをターボの回転補助(メカニカル)や発電(電気)に利用。
温度変化膨張時の断熱冷却により、吸気温度を劇的に低下させる。
制御機構可変ジオメトリ(VGT)を採用し、あらゆる走行シーンで最適化。

L1120575

この技術がもたらす「3つの革命的メリット」

これらによって単に効率が良くなるだけではなく、このシステムはスポーツカーとしての「走りの質」を劇的に変える可能性を秘めています。

  1. 究極のアンチラグ・システム
    アクセルオフ時でも、可変タービンを調整することでターボの回転数を高く維持。シフトダウン直後から即座にフルブーストをかけることが可能になる
  2. パワーと燃費の同時向上
    より冷たく密度の高い空気をシリンダーへ送れるため、ノッキングを抑えつつパワーを絞り出すことができ、それと同時に捨てていた熱を電気として回収し、ハイブリッドシステムの効率を高める
  3. 環境負荷の低減とパーツの保護
    排気からエネルギーを徹底的に奪うことで排気温度そのものが低下。触媒コンバーターの過熱を防ぎ、高価なパーツの寿命を延ばすことができる
Porsche-Engine

Image:Porsche

ポルシェ
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結論|ポルシェにとってエンジンは「文化」であり「挑戦」

ポルシェがこれほどまでに複雑な特許を出し続ける理由。それは、彼らが「内燃機関にはまだ魔法が残されている」と信じているから。

合成燃料(e-fuel)の開発と並行して、エンジンのハードウェアをここまで進化させる姿勢は、まさにスポーツカーの聖地・シュトゥットガルトの誇りと言えそうです。

「ガソリンエンジンの咆哮をいつまでも聞き続けたい」――そんなファンの願いを、ポルシェは最先端のエンジニアリングで叶えようとしており、ぼくらにとってこれ以上嬉しいことはないのかもしれません。

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参照:CARBUZZ, EUIPO

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