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ホンダ「フィットに採用されるe:HEVはF1のハイブリッドにインスパイアされたものだ」。実際に共通点はあるものの、ホンダがそれを広く知らせないナゾ

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| ハードよりもソフトウエアにおける共通性が高いようだ |

honda-fit-f1

ホンダによると、新型フィットに採用されるハイブリッドシステム(e:HEV)と、F1マシンに採用されるハイブリッドシステムとは共通点がある、とのこと。

「え?」という感じですが、どうやらこれはメカニズム的な意味ではなく、「より少ない燃料にて、最大のパフォーマンスを発揮する」という概念を指しているようです。

現在のF1に採用されるパワーユニット(PU)は「ハイブリッド」を採用していて、これは「ガソリンエンジンに”ターボ+モーター”、そしてもう一個”出力時国モーター”を取り付けたもの。

ちょっとややこしいのですが、”ターボ+モーター”について説明すると、これはガソリンエンジンからの排気によってタービン(TC)とモーター(MGU-H)を回し、その回転によって発電を行うという構造を持ち、熱回生システムとも言われます。

発電した電力はリチウムイオンバッテリー(エナジーストア=ES)に蓄えられたのち、必要に応じてモーター(MGUーH)に送られ、排気流量が小さくタービンが十分に回らない時にこの駆動力でタービンを回してブースト圧を稼ぎます。

もう一つの出力軸モーター(MGU-K)の方ですが、これはエンジンのクランクシャフトに取り付けられたデバイスで、市販車のハイブリッドシステムと同じく、加速時には出力軸をアシストし、減速時には発電によって蓄電することが可能です。※ホンダのサイトに解説がある

熱回生ハイブリッドは市販車には使いにくい

現時点で市販車で熱回生ハイブリッドを採用した市販車はおそらく無いと思いますが、この理由は「エンジン回転数が低いと発電できない」ため。

レーシングカーのように常時一定以上のエンジン回転数(排気流量)を維持することが前提であればいいのですが、市販車のように低回転ばかりだったりすると(さらには運転する人、運転スタイルによって平均回転数が全く異なるため)、発電量がまったく読めず、ハイブリッドシステムとしてはほぼ使えないということになります。

ただ、日産はこの熱回生ハイブリッド(MGU-H)を市販車に採用する計画を持っているようで、「インフィニティQ60プロジェクト ブラックS」の発売を示唆していますね。

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加えてポルシェも新型ハイパーカーにMGU-H採用のエンジンを積む可能性について触れており、ただし現時点ではあくまでも「可能性の一つ」。

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F1用ハイブリッドとフィットのハイブリッドはここが共通する

現在ホンダはアストンマーティン・レッドブル・レーシング、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダに「RA620H」を供給していますが、もちろんフィットのハイブリッドには熱回生は組み込まれず、出力軸にモーターを組み込んだ「いわゆる普通のハイブリッド」。

ただしこれまでの1モーター式i-DCDから2モーター式のi-MMDへと変更され、その名称も「e:HEV」という新しいものが与えられています。

これは3つの走行モードを持つことが特徴であり、1つはモーターのみで走行するEVドライブモード。

2つ目はハイブリッドドライブモードで、これはガソリンエンジンとモーターとを併用して走るもの。

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そう聞くと一般的なハイブリッドのようにも思え、しかしe:HEVでは発電用モーターを備えることが特徴で、これによって走行中でも電力を蓄え、その電力でモーターを回すことが可能となったわけですね。

そして三つ目は高速走行時にエンジンの駆動力のみで走る(高速走行時にモーターを使用すると、発電量よりも電力消費量の方が大きくなる)エンジンドライブモード。

つまりは「F1用ハイブリッドとフィット用ハイブリッドは全然違うやん」ということになりますが、ホンダの言い分によると「F1では使用できる燃料と流量が限られており、その条件下で最大のパフォーマンスを発揮せねばならない。これはF1でも市販車でも同じだ」。

加えて、「F1であれば、その最適なバランスを達成するにはエンジニアとドライバーとの密接なコミュニケーションが必要であるものの、フィットであればどんなドライバーであっても、どんなドライビングスタイルやドライビングモードであっても、クルマが最適なバランスを実現してくれる」と語っており、F1で培ったガソリンエンジンとエレクトリックモーターとのバランス制御技術がフィットにも生きている、と話しています(たしかに言われるとその通りかもしれない)。

なぜ日本ではモータースポーツと市販車との関連性をアピールしない?

ちなみに今回の「F1とフィットとの共通性」は欧州において発表された内容で、日本向けとしてはなぜか公開されず。

欧州ではモータースポーツと市販車との関連性が強くプロモーションに使用されており、トヨタがルマンで勝った際にも「トヨタのハイブリッドが世界を制した」と大々的に告知していますが、日本ではそういった活動がなされず、ルマンで優勝したこともほぼニュースにならず(トヨタが広く発信しなかった)。※TS050ハイブリッドとプリウスとのハイブリッドシステムは全く異なるが、それは問題ではない

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そういった状況であればトヨタがル・マン24時間レースに出ていたことを知らない人が大半だと思われ、今回のホンダの件にしても、ホンダがF1チームにパワーユニットを供給していることを知る人もまた、一般に少ないとも考えられます。

そしてもちろん「F1の技術が市販車に生きている」こともアピールしなければ人々に伝わらないということになり、その辺りの「モータースポーツと市販車との関連性に対する温度感」は欧州と日本でかなり異なるようですね。

現在、日本ではモータースポーツが下火で、クルマも売れないとメーカーは嘆きますが、こういった現実を見るに、モータースポーツに参戦していることを周知していなかったり、世界での活躍をアピールできていないことにもその一因があるのでは、と考えたりもします。

実際に欧州のようなプロモーションを行えばクルマに興味を持ってもらったり売れるようになるとは限らないものの、少なくとも、何もしないよりはマシかもしれません(モータースポーツ活動への投資効率や、投資した資本の回収というビジネス的観点からも、日本での手法はあまり優れているとは言えない)。

さらに、スポーツカーを持っているメーカーであればなおのこと、モータースポーツ活動を前面に出さずにスポーツカーを売ろうという方がちょっと不思議にも思えます。

 

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