| ポルシェは「935」同様、「959」を復活させてくれないものか |
さて、959というとポルシェにとって大きな意味を持つスポーツカー。
ポルシェ959は1986年に発表された「スーパーカー」ですが、当時最速の加速を誇り、最先端の技術を盛り込んだ割に「見た目がポルシェ911とあまり変わらない」ことで一般には過小評価されてしまったクルマ(同時期に発表された、そして性能的に近かったフェラーリF40が過激なルックスを持つことで話題になったのと対照的でもある)。※959は、ベースとなった930型911のイメージを色濃く残している
ただしそのパッケージングやコンポーネントはのちのポルシェ、ひいては自動車業界を大きく変えたと言っても過言ではなく、ポルシェファナティックにとっては「金字塔」として認識されているというのもまた紛れもない事実です。
そして今回、CGアーティストのルカ・サラフィネ氏が公開したのが現代版959、「ポルシェ959コンセプト」のレンダリング。
そして今回の959コンセプトもまた、現代のポルシェ911(992)と良く似たルックスを採用しており、しかし959を959たらしめている要因は見事に再現。
たとえば前後バンパーに設けられたスリット、リアフード一体型のウイング、前後フェンダーと融合したサイドステップはそういった部分の一例です(しかしベース車両は992ではなく991.2のようだ)。
ポルシェ959はこういったクルマ
ポルシェ959最大のトピックは「トルクスプリット4WD」を装備することで、日産R32 GT-Rに採用されたアテーサE-TSがこれをモデルにした、というのは有名な話。
ただ、ポルシェ959に搭載される4WDシステムはあまりにコストが嵩み、ポルシェが「(限定ではない)普通の市販モデルにこれを採用することはできない」としたものを日産は500万円以下の車に搭載してきた、というのは注目に値するところです。
これ(GT-Rの登場)によってモータースポーツの歴史が完全に書き換えられしてしまうことになるわけですが、R32 GT-Rに対するひとつのポルシェセンター北大阪からの回答が、4WDシステムを搭載したハイテクマシンではなく、「ちょっとのパワーアップに、軽量化と足回りを固めた後輪駆動のシンプルなマシン」、つまり964RSだったのは興味深いところ(ポルシェは、自らの提案したハイテク装備ではなく、トラディショナルな手法を用いてGT-Rに対抗した)。
参考までにですが、日産はポルシェ959登場以前から4WDスーパーカー「MID4」の開発を行なっており、このスタートは1986年のポルシェ959発売よりも2年早い1984年。
日産はMID4の市販化を検討しており、開発過程においてはその4WD技術を参考にするためポルシェを訪れたと言われ、しかしポルシェに本気でMID4を発売する「覚悟」を問われた際にビビって帰ってきてしまったという話も(その後、なんらかの事情によってMID4ではなくGT-Rが登場することになる。そう考えると、日産はトルクスプッリット4WDではなくミドシップカーの製作に躊躇したということになる)。
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それはさておき、ポルシェ959に搭載されるエンジンは2.85リッター・フラットシックス・ツインターボ、出力は450馬力、トランスミッションは6速マニュアル。
ボディパネルはカーボンやケブラー、そしてアルミニウムを使用した軽量構造を持ち、「コンフォート」「スポーツ」といったグレードが用意され、総生産台数は283台、という記録が残ります(新車時の価格は4600万円くらい)。
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ポルシェ959の多くは中東にて販売されたと言われますが、中東のシークが注文した「ゴールド」の959はかなり有名な個体。
そのためか、ルカ・セラフィネ氏はこの959をイメージしたレンダリングも作成して公開しています。
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なお、959は現在でも高い人気を誇り、北米にて959の輸入販売を担当していたカネパ・レーシングは現代の技術水準によって製造されたパーツを組み込み、レストアした959、「ポルシェ959リイマジンド」を販売していますね。
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ポルシェのスペシャリストが959をレストア&カスタムして50台のみ限定発売!「カネパ・ポルシェ959リイマンジンドSC」
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参照:Luca Serafini