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え?あの中国では煽り運転がゼロ?その理由、社会的システムを考える

2020/08/18

| 現在の中国は、「監視」と「処罰」を恐れて交通違反が極端に減っている |

さて、「くるまのニュース」にて、中国の高速道路では「あおり運転がゼロ」という記事。

この理由については「車線ごとに走ることができる車種と最低・最高速度が決められている(トラックは速度設定の高いレーンを走れない)」こと、「日本の追い越し車線に相当するレーンでは、最高速度が120km/hに制限されるが、最低速度も110km/hに設定される(遅いクルマが追い越し車線を走ることはない)」こと、「この速度制限や決まりがしっかり守られている」ことを挙げています。

実際に中国を訪問してみると、たしかにこのとおりだという印象を受け、記事にあるとおり、日本も”見習うべき部分”がありそうです。

なぜ中国では法律を守るのか?

なお、中国というと「無法地帯」というイメージもあり、法律がきっちり守られているというのはかなり意外でもありますが、この理由についてぼくは2つあると考えていて、まずひとつは「監視社会」。

中国はいたるところに監視カメラがあり、このカメラがたえず人々を監視しています。

そして、法を犯すと一瞬で個人が特定されてしまい、処罰を受けるわけですね。

たとえば現地でタクシーに乗っていて、「(そこが停車禁止だと知らずに)あ、そこで停めて」と言ったとしても、そこが停車禁止場所であれば、運転主は必ず「監視カメラがあるからダメだ」といい、停車可能な場所で降ろされることになります。※このカメラの性能はかなりいいらしい

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そしてこの「監視カメラ」は歩行者に対しても作用していて、たとえば一部の横断歩道では、「向かい側」に監視カメラがあり、信号無視をして横断歩道を渡る人をしっかり捉え、しかもそれをモニターに映し出したりするわけですね(中国ではこういった”公開処刑”がたびたび問題視されている)。

ちなみに下の画像の青く信号が光っているポールのようなものの中にカメラがあり、その下に液晶モニターにて撮影風景を公開しているのですが、横断歩道(地面)そのものにもライトが埋め込まれていて、かなり先進的なインフラを持つこともわかります。

もちろん本題の「あおり運転」についても即座に発見され特定されることになり、こういった”整った”環境のため「あおり運転を行うと自分にとって不利益になる」という認識が浸透している模様。※ただしパッシングについては処罰規定がないのか、パッシングは頻繁に行われている

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中国では法律を守らないとどうなるのか?

そしてもう一つの理由が「処罰」。

中国では法律を守らなければ「社会的に抹殺」されるも同様であり、というのも国民を格付けする「信用システム」が存在するから。

中国は信用情報機関「芝麻信用」を保有していますが、この信用システムは「身分特質」「履約能力」「信用歴史」「人脈関係」「行為偏好」の5項目にて中国国民(人民)の点数を算出して評価を行うもの。※自分のスコアを簡単にスマホで知ることができる

文字を見ても分かる通り、その人の社会的地位や経済力/資産、購入や支払履歴、交友関係、個人的嗜好までを数値化するもので、協力機関や警察など国家機関とも連動しており、その人を丸裸にできるほどの情報収集力を誇ります。

この数値は350点~950点で採点され、分類は下記の通り。

350-550:較差
550-600:中等
600-650:良好
650-700:優秀
700-950:極好

これによってその人の生活が優遇されたり、逆に「制限」されることになり、優遇だとその一部は下記の通り。※基本的に中国は人民の信用度が低く、何をするにも保証金が必要

650点以上だとシェアサイクルの保証金が不要
600点以上だと雨傘が無料で借りられる
650点以上だとEVレンタルの保証金が不要
650点以上だと色々なところで料金後払いが可能に

そしてこのスコア(信用)が低いと「公共交通機関の予約ができない」「移動が制限される」「飲食店の予約も不可能」等の不利益を被ることになり、就職や結婚においても大きく影響が出るため、人々はこのスコアを上げようと躍起になっているわけですが(スコアの上げ方を伝授する中国版ユーチューバーも人気らしい)、この信用システムのせいで人々は「決まりを守る」ということになります。

なお、Wallstreet journalによると、こういった評価は非常に細かいところでもなされ、「信号無視」は減点、「ネットでデマを拡散」も減点、逆に「ゴミを拾う」は加点、といった具合になる模様。

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そして点数の低い人とつるんでいると自分の点数も低くなりますし、エロDVDばかりを購入しても点数が低くなり、ローンの滞納も減点対象(お金を返さない人を特定し、マップ上に表示させるアプリもある・・・)。

さらに中国で販売されるクルマには「その人の行動ログ」が記録されるので、いつどこで何をしたのかも筒抜けであり、銀行口座や所得も100%把握されているために脱税もすぐに見つかり、不透明な使途のお金も一発でバレるということに。

こういった状況があるために中国では「法律が守られている」わけですが、ちょっとやりすぎな気がしないでもありません。※この麻芝信用は調べれば調べるほど恐ろしくなる

参考までに、ソフトバンクは「Yahoo!スコア」を運用していますが、おそらく将来的には中国の麻芝信用同様のシステムを構築したいのだと考えていて、というのも麻芝信用を運用するアリババにソフトバンクが出資しているため。

そのほか、PayPayのロゴが「アリペイ」に似ているのも両者の関係を示す例だと認識していますが、その意味でもぼくはソフトバンクとYahoo!スコアに強い反発と警戒心を抱いています。

参照:くるまのニュース

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