| それだけさまざまな可能性が検討されているからだと思われるが、アップルカーに関する報道はどれが本当なのかわからない |
いかにアップルといえど完全自動運転の実現は難しいだろう
さて、様々な報道がなされているアップルカー。※画像はアップルが買収を検討したと言われるCanoo(カヌー)社のEV
話題にはなるものの、誰も目にしたことがないという意味で「アップルカーはユニコーンのようだ」とも表現されていますが、今回ブルームバーグが報じたところによると「完全自動運転」に焦点を当てて開発を進めている、とのこと。
この情報は「匿名の」関係者によってもたらされたといい、アップルウォッチのソフトウエアを担当したケビン・リンチ氏率いるプロジェクトによって「人間の介入を必要としない、完全な自動運転機能を備えた 」クルマの発売を「4年後」つまり2025年に発売することを目指しているもよう。
なお、この報道を受けてアップルの株価は最大で3.4%上昇しており、9/7以来の取引時間中最高値をつけ、これによって時価総額がマイクロソフトを抜いて世界一位となっています。
アップルは「2つの自動運転」を検討中
同じ報道によると、アップルは2種類の自動運転を検討しているといい、1つ目は「ステアリングと加速に焦点を当てた限定的な自動運転機能」で、これはアダプティブ・クルーズ・コントロールやレーンセンタリングといった比較的一般的な範囲の自動運転。
そして2つ目が上で述べた「完全自動運転(レベル4~5)」で、現在アップルが進めているのは2つ目の完全自動運転だといわれます。
もちろんこれは限りなく高いハードルではありますが、今どきレベル3程度の自動運転を搭載したとしても「後発のアップルが業界で優位に立てる」材料にはならず、そのためにレベル4~5を他の自動車メーカーよりも先に実現し、業界をひっくり返そうということなのかもしれません。
なお、アップルのエンジニアは「完全自動運転」について、実現できるのは2026~2028年だと予想しているとも報じられているので、実際に「2025年」に発売できるのかどうかはかなり怪しそう。
加えて、アップルは「ステアリングホイールやペダルのない」、室内がラウンジのようなデザイン、そして室内では乗員が向かい合って座るスタイルを持つクルマを目指しているともいいますが、さすがにこちらは(技術は別として)法的な問題で販売できない可能性もありそうです。
参考までに、アップルカーのデザインは、アップルが買収を検討したという米EVスタートアップ、「カヌー」の車両に似たスタイルになるとも言われています。
-
アップルはEVベンチャー「Canoo」の買収を考えていた!さらには百度やアップルの下請けもEV産業へと参入し、今後の自動車業界の勢力図が大きく変わりそう
| アップルコンピューターは自社での車両製造を考えていた? | さて、ヒュンダイの思わぬ発言によって明るみに出た「アップルカー(AppleCar / iCar)」ですが、今回はさらなる関連情報が登場。 ...
続きを見る
ただしアップルにはなんらかの目算があるようだ
こういった事情を考慮するに、アップルが思った通りの自動車を発売できるかどうかはまったくわかりませんが、ブルームバーグは「アップルの研究チームが、自動運転システムの開発において、重要なマイルストーンを達成し、第1世代のアップルカーに搭載するプロセッサーの設計を完成させた」とも紹介しているので、アップルは完全自動運転の実現に対してなんらかの根拠を持っているのかも。
さらにアップルはインフォテイメントシステムを車内の中心に据えるデザインを検討しているといい、iPad状の、しかしより大きなスクリーンが与えられ、アップル製品との乗り入れが可能になると予想されます。
なお、ちょっと前にはアルファロメオCEOが「我々が販売するのはiPadではなく、自ら運転する自動車である」とコメントしましたが、アップルカーについてはむしろ「我々が販売するのは、自分で運転するクルマではなく、走る(巨大な)iPadである」ということなのかもしれません。
加えて、アップルは自社の所有する69台のレクサス車にこれら自動運転技術を搭載してテストを行うといい、今後はあちこちでプロトタイプが見られるとも考えられます。
-
アルファロメオはほかブランドと逆に進むようだ!「我々は走るスマホやiPadを売るのではない。ディスプレイは極限まで少なくし、ドライバーズカーを作るのだ」
| アルファロメオは「ステランティス」が誕生したことによって大きくその方向性を変化させることに | 今後はより高級そしてプレミアムを目指すことになりそうだ さて、アルファロメオの新CEO、ジャン・フィ ...
続きを見る
合わせて読みたい、アップルカー関連投稿
-
トヨタが「アップルの自動車業化への参入は歓迎、ただし覚悟が必要」と言及。テスラについて語った時のように「なにもわかってない」と批判されそうだ
| トヨタの言いたいことは理解できるが、そもそもアップルは自動車メーカーになりたいわけではない | さて、トヨタ自動車の豊田章男社長がアップルの自動車業界参入に言及して話題に。これは豊田章男社長が3月 ...
続きを見る
-
「結局、アップルに興味を持つ会社は1社もなかった」。アップルはどこからも見放され、やむなく自社でアップルカーの開発を行うことにしたとの報道
| やはりアップルの要求はあまりに「アップル寄り」に過ぎたのかもしれない | アップルカーが発売されるにしても、今から4年はかかる模様 さて、アップルが自動車業界に参入すると報じられてはや6年。いった ...
続きを見る