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ブガッティがチェントディエチの開発を終え、いよいよ生産にかかると発表。「日夜通して行われる5万キロのテストを終えた。その間、停止したのはドライバー交代と給油だけだ」

2022/03/30

ブガッティがチェントディエチの開発を終え、いよいよ生産にかかると発表。「日夜通して行われる5万キロのテストを終えた。その間、停止したのはドライバー交代と給油だけだ」

| ブガッティは自社のクルマを100年以上「新車と変わらぬパフォーマンスを維持し続けさせる」ために過酷なテストを行っている |

「それでもテストは行われる。それがブランドの哲学だからだ」

さて、ブガッティが10台のみ限定、その価格800万ユーロ(日本円で10億8000万円)というハイパーカー、チェントディエチの開発テストを終え、顧客へと納車する車両の生産に入る、と発表。

このチェントディエチはブガッティの設立110周年を迎えて製作される記念モデルで、ブガッティ創業者であるエットーレ・ブガッティの生誕110周年の折に発売された「EB110」へのオマージュとなっています。

車名の「チェントディエチ」はイタリア語で110を意味するといい、ブガッティにとってはラ・ヴォワチュール・ノワールに次ぐコーチビルドモデル第二弾という位置づけです。※ブガッティはフランスで設立された自動車メーカーだが、一族はもともとイタリアの出身でもある

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ブガッティ・チェントディエチのテストはイタリアのナルド・サーキットにて

今回チェントディエチの最終テストが行われたのはイタリアのナルド・サーキット。

ブガッティにて耐久テストを担当するステフェン・リヒト氏によれば「高速サーキットとハンドリングコースがあるナルドのテストセンターは、集中的な耐久テストに理想的な条件を備えています。全長12.6km、直径4kmの円形コースは、世界最速の自動車用サーキットと言われ、最高速度380kmを誇るチェントディエチには最適なコースであり、全長6.2kmのハンドリングコースでは、縦方向および横方向の運動性能や、最高レベルの荷重をかけたときの挙動を確認することができます。70ヘクタールを超えるナルドの広大な敷地には、70kmに及ぶ様々な路面があり、あらゆる車両のコンポーネントのテストとチェックが可能となるのです」とのこと。

そしてブガッティのテストドライバーとエンジニアは、何ヶ月にもわたってここナルドサーキットにてテクニカルデータを収集し、あわせて高速道路やサーキット、高速道路や市街地での貴重な経験を積み重ねたといいますが、その間に走った距離はなんと「合計5万キロ」。

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チェントディエチのテストはほぼ「ノンストップ」で行われる

ナルドサーキットでは3人のドライバーが昼夜問わず走り続けたとされ、停止するのは「ドライバー交代と給油時のみ」。

3人のドライバーが交代でチェントディエチの全機能をチェックしてどんな小さな異変も記録することに務め、異なるコースプロファイルにて、ストップ&ゴーからトップスピードまで、あらゆる速度域での走行を繰り返すことになりますが、耐久テストでは、ドライバーに対して卓越した技術的知識、最大限の集中力、繊細さ、そして車両を正確に操ることが要求されることになった、とも。

というのも、高速コースで何時間も走り続けたとしても、わずかな異音や動き、異変を感じ取ることができなければならならず、ステアリングの動き、ブレーキ、加速、コーナリングの負荷、ドライバーアシスタンスシステムの機能など、過酷なテスト中において、いかなる小さな問題であっても確実にそれを発見する能力が問われるわけですね。

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チェントディエチのテストは1日1,200kmにも及び、テストドライバーがクルマを走らせている間にもブガッティのエンジニアたちはエンジンと車両のデータを分析し、必要な調整を行うなど連携がとられつつ、文字通りのノンストップにて作業が進められており、これは一般に想像される「テストドライバー」よりもはるかにハードな仕事であったのは想像に難くありません。

ブガッティのワンオフプロジェクト担当であるカール・ハイレンケッター氏によると、「チェントディエチが生産される前に、機能性と耐久性に特に注意を払いながら、車両のすべての要素を評価せねばなりません。すべての部品が完璧に相互作用し、あらゆる種類の過負荷に耐えなければならないのです。また、最も過酷なハンドリング状況に置かれても、安定し、かつ安全な方法で調和していなければなりません」とされ、これはブガッティがその100年以上の歴史において「最高の品質基準を自社に製品に課している」というポリシーをまさに自分たち自身にて証明するための行動だとも言えそうです。

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ブガッティは自社製品を100年以上存続させることを想定している

ブガッティは、このレベルの品質を実現するために、法律にて規定される要件をはるかに超える自社ならではの基準を設けているわけですが、これを守り続けることで「時間が経過しようとも価値を維持できる」品質を担保することができ、そして今後100年が経過しようとも、新車時と変わらないパフォーマンスをオーナーへと提供することになるのかもしれません。

さらにカール・ハイレンケッター氏は「極限状態でも最高レベルのハンドリングを保証するために、車両は意図的に限界までプッシュされます。実際に納車されれば、ほとんどのクルマがこのレンジに入ることはないのですが、それでもテストは行われます。これがブランドの哲学であり、だからこそ、私たちはこのテストすべてに膨大な労力を費やしているのです。ブガッティは最高の品質基準、耐久性、そして顧客満足を約束します」と続けており、ここにまた「世界で最も高い水準の価値を持つクルマ」が誕生することになりそうですね。

おそらく、数カ月後には顧客へと納車される「完成済み」チェントディエチが公開されることになりそうですが、これまでにはホワイトのプロトタイプしか画像がリリースされておらず、しかし顧客向けのクルマは様々なカラーリングを持っているものと考えられ、続報にも期待したいと思います。

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参照:Bugatti

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