| ポルシェCEO、オリバー・ブルーメ氏はVWの意向に忠実だとされ、今後VWとポルシェは「イコール」となる可能性も |
フォルクスワーゲングループの人事はやっぱりあまりにもドライだった
さて、フォルクスワーゲングループがそのCEOを解任し、あらたにポルシェCEO、オリバー・ブルーメ氏を兼任にて指名したと発表。
なお、前CEOであったヘルベルト・ディース氏は内紛によって排除されたと考えてよく、フォルクスワーゲンは「双方の合意のもと」ヘルベルト・ディース氏が退任したと述べているものの、これは事実上の「クビ」ということになりそうです。
ちなみにですが、ヘルベルト・ディース氏がフォルクスワーゲングループCEOの就任したのはディーゼルゲート発覚の数ヶ月前であり、フォルクスワーゲンはディーゼルゲート関係者をすべて排出したいと考えていて、この影響も皆無ではないと考えられます(そのほかにも同氏は社内からの圧力を受け、権力が制限されていた)。
今後のフォルクスワーゲングループはこういった体制に
ポルシェのCEOであるオリバー・ブルーメ氏はこの人事によって9月1日からフォルクスワーゲングループのCEOも兼任し、さらに「長期的に」ポルシェのCEOにとどまる見込みで、ブランドの新規株式公開の可能性後もその地位は変わらないと報じられています。
そして同氏はポルシェとフォルクスワーゲン・グループの両方を率いることに興奮していると述べ、両者のCEOとして「顧客、ブランド、製品に焦点を当て続ける」ことについても言及することに。
オリバー・ブルーメ氏はボッシュ、BMWを経て1994年にVWグループに入社し、在職中にはアウディ、セアト、フォルクスワーゲン、ポルシェにてさまざまな管理職を歴任し、2015年にポルシェの取締役会に参加する前には生産とロジスティクスの責任者を務めていて、その後2018年からは、VWグループの取締役会の一員となっています(極めてフォルクスワーゲングループの意向に忠実な人物だと評されており、主体性よりも役員会の決定を忠実に遂行することが評価されているようだ)。
ちなみにですが、ポルシェのIPO(新規株式公開)について多くのアナリストが「ポルシェの独立性は低く、すべての行動はフォルクスワーゲンの成約を受ける」としてその評価額を下げており、この人事によってさらにその傾向が加速することになるのかもしれません。
フォルクスワーゲングループはやはり「合理主義」を貫く
フォルクスワーゲングループは素晴らしいクルマを作る反面、血も涙もない企業という認識をぼくは持っていて、たとえばVW日本法人の社長が「ちょっと販売を落としただけで」即座にクビになったこともあり(ただしその直後にディーゼル不正事件が発覚したので、結果的に最も大きな災厄を逃れているのでラッキーだったのかも)、そのほかにもクビを切られた人物が多数存在します。
今回の人事につき、監査役会会長のハンス・ディーター・ペッチ氏は「フォルクスワーゲンブランドの経営委員会会長およびグループ経営委員会会長として、ヘルベルト・ディースは在任中、会社の変革を進める上で重要な役割を果たしました。そのおかげでグループとそのブランドは将来にわたって存続し、その革新的な能力と収益力が強化されたのです。さらには極めて激動的な状況の中で会社の舵取りをしただけでなく、根本的に新しい戦略を実行しました」と一定の評価を述べることに。
さらにフォルクスワーゲン監査役会は、ヘルベルト・ディース氏が「多くの革新的な製品のアイデアを出し、製品ポートフォリオを再設計し、エレクトロモビリティに明確な焦点を当てることを確立し、画期的なプラットフォームベースのアプローチと、地域の独立性を高めた組織改革を行ったこと」も述べ、やはり(表面的には)高い評価を下しているようです。
ただし実際のところ、ヘルベルト・ディース氏は取締役会・監査役会から評価される一方、その4年間の在任中に多くの敵を作ってしまい、絶大な権力を影響力を持つなポルシェ家とピエヒ家が「経営陣の交代を迫った」とも。
ぼくとしては、ヘルベルト・ディース氏は非常に有能な人物であり中国やアメリカの自動車メーカーが彼を放っておくはずはなく、早々に別の自動車メーカーの経営者として返り咲き、フォルクスワーゲングループに対して「逆襲」を仕掛けるんじゃないかと考えています。
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