| ボクとしては、前に進むためにはアナログ式タコメーターを切り捨てるしかないとは考えているが |
しかし多くのポルシェ・ファナティックはそれに反発するだろう
さて、ポルシェは4月18日にカイエンのフェイスリフト(マイナーチェンジ)バージョンを発表する予定ですが、すでにティーザー画像がいくつか公開されており、その中で話題となったのが「ついに(ガソリンモデルとしてははじめて)アナログ式タコメーターがなくなった」こと。
(モーターの)回転数がさほど意味を持たないピュアエレクトリックモデルのタイカンでは、すでに同様の「フルデジタル」メーターが採用されているものの、回転数が重要視される燃焼式エンジン搭載モデルにおいてアナログ式タコメーターを廃止するというのはいささか衝撃的であり、ホンダが初代オデッセイにタコメーターを搭載せずに発売し、当時の(F1やスポーツイメージの強かった)ホンダの決断に驚かされたことを思い出します。※ショックを受けているだけであって、ぼくはメーターのデジタル化には肯定的である
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ただし、ポルシェはタコメーター廃止になんら抵抗しなかったわけではない
なお、この「アナログタコメーター廃止」について、ぼくがショッキングだと考えるのは「タコメーターがデジタルになる」ということではなく、タコメーターを表示しない画面を選択できるということで、たとえば全画面カーナビ表示といった具合に、回転数が(おそらく)どこにも出てこないようなメーター表示モードもあるんじゃないかと考えているわけですね。
ポルシェは伝統的に「5連」「3連」メーターを持っており、いずれの場合でもその中央はタコメーターとなっていて、つまりポルシェはそれだけタコメーターを重視しており、992世代の911において、メーターの他の部分をすべてデジタル化したとしても「タコメーターだけは」アナログで残したほどです。
ただ、ポルシェとして何ら抵抗なくアナログ式タコメーターを廃止したわけではなく、今回の「アナログメーター廃止」に至るまでには大きな、そして熱い議論が戦わされたもよう。
ポルシェのUXデザイン責任者であるイヴォ・ヴァン・フルトン氏によれば、「社内では、かなり激しい議論が交わされました。アナログ式レブカウンターを搭載することは、私たちにとって大きな遺産であると理解していました。実際のところ、昔の911を見ると、5つのアナログダイヤルがありますしね。ただ、ドイツ流に言うならば、最終的には論理が感情に勝ったのです」。
この「理論」とは、もちろんコストやデザイン的自由度を優先したものだと思われ、「アナログと液晶を組み合わせたよりも」液晶だけのほうがシンプルでコストが安く、そして液晶パネルのみとしたほうが薄くシンプルにメーターを作ることができるという事実を指しているものと思われます(実際、新型カイエンのメーターはタブレット状となっている。これによってメーターやダッシュボードのデザイン的自由度が向上したことは間違いない)。
イヴォ・ヴァン・フルトン氏はこの(最終的に採用された)デジタルメーターにつき、”公正を期すために”デジタルタコメーターを本来の位置であるセンターに置くクラシックモードを内蔵しており、これによって従来の5連メーターと同じ表示を再現できるとしていますが、このほかにも多くの「スキン」を持つことについて触れており、これは今後アップデートによって「どんどん追加」されてゆくであろうことについても触れています。
そして同氏は「ある時、私たちはこの(オールデジタル)ディスプレイが、将来に向けてより柔軟な解決策を与えてくれることに気づきました。デジタルな方法でこれを解決するクールな方法は、実はたくさんあるのです。もし、誰か、あるいは何かを責めるのであれば、それはタイカンです。ポルシェ初のEVを設計していたとき、デザイナーたちは初めてフルデジタルの可能性に触れました。ただ、タイカンは私たちを少し解放してくれたようにも思います」。
上述のとおり、ぼくはこのフルデジタルメーターについては賛成なのですが、自動車というものは「理論」だけによる製品ではなく、その選択にはなにがしかの「感情」が入るものと考えられます。
でなければ、ぼくらはポルシェではなく、もっと安価で維持費の安いクルマを選ぶべきで(そのほうが理論的に正しい)、ただしポルシェを選ぶということは、そこになんらかのエモーショナルなものを求めているからなのかもしれません。
もちろんポルシェもそれを理解しているからこそ911GT3にマニュアル・トランスミッションを復活させたり、過去を連想させる仕様やデザインを持つクルマを発売しているわけですが、問題は「将来の911において、アナログ式タコメーターを廃止する勇気を持っているかどうか」であり、これについては現在ポルシェ内部でも喧々諤々な状況なんだろうな、と想像しています。
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参照:The Drive