
| フェラーリがこの状況を打開するには「まさか」の選択を行うしかない |
さて、好調な業績とは裏腹に「中古相場の低迷」「株価の低迷」に悩まされるフェラーリ。
この苦境を切り開くための策の一つが先日インテリアが公開された新型EV「ルーチェ」ですが、今回は「驚きの」もうひとつのプランが報じられています。
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フェラーリの中古市場が「崩壊」?SF90や296系ハイブリッドモデルの驚異的な下落、一方でF355 / 458など買うべき/あるいは慎重になるべきモデルとは【動画】
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この記事のポイント(30秒でわかる要約)
- 伝説の名称: 2003年の「360」以来となる「チャレンジ・ストラダーレ」が296ベースで復活の兆し
- 脱・ハイブリッド: 噂では電動システムを排除。軽量化を突き詰めた「純V6」モデルになる可能性
- 過激なエアロ: スパイショットでは巨大な吊り下げ(スワンネック)式リアウィングを確認可能
- 2026年発表へ: EV「ルーチェ」と並び、フェラーリが今年放つ5つの隠し玉の一つか
マラネロの公道を走る「巨大な翼」の正体
フェラーリの本拠地、マラネロ周辺で目撃されたテスト車両が、世界中のティフォシ(熱狂的ファン)を騒がせることに。
その姿はすでに発表されている「296 スペチアーレ」よりも遥かに攻撃的で、最大の特徴はレーシングバージョン「296 チャレンジ」を彷彿とさせる巨大なトップマウント(スワンネック / 吊り下げ式)リアウィング。
さらにフロントフードには標準モデルにはない冷却ベントが設けられており、ただならぬパフォーマンスを予感させます。
あえて「パワーダウン」という贅沢?
ただし最も衝撃的なトピックは「プラグインハイブリッド(PHEV)システムを廃止する」という説で、これまでの296シリーズはV6エンジンと電気モーターの組み合わせによって800馬力を超える出力を誇ってきたものの、今回ウワサされる「チャレンジストラダーレ」においてはPHEVを捨てて「軽さとダイレクト感」を追求する、と言われています。
296シリーズ スペック比較(予想含む)
| 項目 | 296 GTB | 296 Speciale | 296 Challenge Stradale (仮) |
| パワートレイン | 3.0L V6 + モーター | 3.0L V6 + モーター | 3.0L V6 純内燃機関? |
| システム最高出力 | 830 hp | 880 hp | 700 hp+ (エンジン単体) |
| 駆動方式 | RWD | RWD | RWD |
| 主要装備 | アクティブスポイラー | 軽量化・パワーアップ | 固定式巨大ウィング・専用足回り |
イメージとしては、(ハイブリッドシステムを排除した)296チャレンジあるいは296GT3のロードバージョンということになりそうですが、モーターとバッテリーを排除すれば相当な軽量化が期待でき、「ピッコロV12(小さなV12)」と称されるフェラーリ製V6エンジンの咆哮を、雑味なしで楽しめる一台になるのかもしれません。
参考までに、296シリーズ各モデルの重量を並べて見ると以下の通りで、もし296チャレンジが実現するとなると296スペチアーレより「さらに100kg」くらい軽くなるのかもしれませんね。
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Image:Ferrari
| モデル名 | カテゴリ | 乾燥重量 | 1馬力あたりの重さ |
| 296 GT3 | レース(GT3) | 1,250 kg | 2.08 kg/cv (※600cv時) |
| 296 チャレンジ | ワンメイクレース | 1,330 kg | 1.90 kg/cv |
| 296 スペチアーレ | 公道(限定) | 1,410 kg | 1.60 kg/cv |
| 296 GTB | 公道(標準) | 1,470 kg | 1.77 kg/cv |
ハイブリッドの「功罪」
なお、フェラーリがロードカーにハイブリッドシステムを使用するのは、モータースポーツからの技術的フィードバック、あるいは「逆」フィードバックに加え、「環境規制への対応」が主な側面だと考えられます。
ただ、ハイブリッドシステムは重量がかさみ、これはスポーツカーとしては致命的ともいえるもので、しかしフェラーリはその「重量」を正当化するための免罪符としてSF90ストラダーレにて「1,000馬力」を達成し、296GTBにおいても、それまでのミドシップフェラーリを大きく超える830馬力に到達したのだと考えており、「驚異的な出力と優れたパワーウエイトレシオ」によってファンを納得させようとしたのかもしれません。※本来、そこまでの馬力は不必要ではあるが、ガソリンエンジンをはるかに超える出力でなければ他なる環境性能向上車になってしまう
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しかしそれでも(4気筒+ハイブリッドシステムによって強大なパワーを獲得したメルセデスAMG C63が受け容れられなかったように)ファンを納得させることは難しかったのだと見受けられ、しかしこれはフェラーリの責任ではなく、一つの時代の終焉、そして新しい時代の始まりによく見られる現象であり、「世の中の常識がまだついてこれないだけ」なのだとも考えています。
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実際のところ、ぼくらの実生活においても「長い時間をかけ」人々の常識がようやく変革されたという事実も数多く存在しますが、それらの例を見るに、常識が入れ替わるには「一世代」をまたぐ必要があるのかもしれません。
いずれにせよ、現在の自動車業界において「ハイブリッド」はいかにクルマの性能を向上させたとしても(実際にハイブリッドを積む296シリーズのパワーウエイトレシオは非常に優れている)「お荷物」としか捉えられず、ガソリンエンジンの強みを「より活かすため」の存在としては受け止められていないのが現状で、「ハイブリッド=エコ、ハイブリッドを積んだスポーツカー=日和ったクルマ」という図式が一般的なのだと思われます。※WECやF1でいかにハイブリッドの導入を進めたとしても、なかなか固定概念を覆せない
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そしてこういった過渡期にあっては、フェラーリがハイブリッド含む電動化を推し進めることについて疑問を持つ向きも少なくないという状況は火を見るよりも明らかで、そこでフェラーリはそういった誤解を解くため、そして「まだ事情が許すうちに」ガソリンエンジンオンリーとなるハードコアモデルを送り出そうと考えたのかもしれません。
なお、このクルマが実現するとして、要注目なのは「V6エンジンを維持するであろうこと」。
296GTBの車体はV6搭載を前提にホイールベースが切り詰められており、いかにハイブリッドシステムを取り除いたとしてもV8を収めることは難しいだろうと考えていて、よって「V6一択」だと考えているのですが、さらにはフェラーリが「ハイブリッドを否定する姿勢を見せたとしても、V6エンジンは否定しない」という意思表示のためにもV6を捨てることはないであろうとも考えています。
しかしながら、296シリーズに積まれるV6エンジンは「ハイブリッドありき」で設計されていて、低回転時のトルクとパワーをエレクトリックモーターにて補い、その一方でガソリンエンジンはそれが「得意な」高回転域で思いっきりパワーを絞り出すという設定を持っているため、ガソリンエンジンオンリーでは不足する可能性が高い低速域のトルクを補うべく設定の変更を行う必要がありそうですね(ピーキーな特性のまま発売する可能性も否定できないが、それー高回転を維持しなければ走れないーは今の環境が許さないであろう)。
レーシングテクノロジーのフィードバック
フェラーリは近年、ル・マン24時間レースでの勝利など、モータースポーツでの成功を市販車に強く反映させています。
今回の新型モデルは、公道仕様のレーシングカーというポジションにとどまらず、「サーキット専用車を公道で走らせる」という、かつての499P モディフィカータに近い哲学で開発されていると考えられ、内装は剥き出しのカーボンファイバーメイン、サスペンションはより硬くなり、ブレーキがさらに強化されることは間違いなさそう。
そしてフェラーリがこれまで市販車に用いることを極力避けていた「リアウイング」についても、SF90 XXシリーズ同様に、「サーキット走行専用車の公道バージョン」というエクスキューズが用いられることになりそうです。
そこで気になるのは「販売方法」ですが、当然ながら限定モデルとなることは間違いなく、そしてハイブリッドを取り除いたとしても価格は安くならず(大きな設計変更を行う必要がある)、おそらくはフェラーリのトップカスタマーのみに「招待制」にて購入権利が割り当てられる可能性が大。
つまるところ「高嶺の花」というわけですが、このモデルが登場することで一気に「流れ」が変わる可能性があり、そのインパクトは小さくないのかもしれません(ただ、限定台数があまりに少ないと、それと同時に話題となる可能性も小さくなるので、話題が維持される程度の台数を販売せねば意味はない)。※伝説上の存在ではなく、現実の存在だと人々が理解できるようにしなくてはならない
2026年はフェラーリ激変の年に
2026年はフェラーリにとって歴史的な1年になるものと見られ・・・。
- ブランド初のEV「Luce(ルーチェ)」の発表: ジョナサン・アイブ(元Apple)がデザインに関与した話題作
- 5つのニューモデルの発表: EV以外にも、今回の「296チャレンジストラダーレ(仮)」を含む複数の限定車やワンオフモデルが投入される予定
これまでの「速さ」を追求する路線に加え、EVへの挑戦、そして一方では純粋な内燃機関の魅力を再定義するような「チャレンジストラダーレ」の投入があるとも推測でき、つまりフェラーリは今、両極端の進化を同時に進めているということになりそうですね。
Image:Ferrari
結論:純粋な「音」と「軽さ」を求めるファンへの最終回答か
もしハイブリッド非搭載が現実となれば、この296チャレンジストラダーレは「最初にして最後、そして最高の純V6フェラーリ」として歴史に刻まれることとなり、極めて稀有な存在ということに。
効率や環境性能が叫ばれる現代において、あえてエレクトリックモーターを捨て、巨大なウィングを背負って行動を駆ける。
そんな「不条理なまでの格好良さ」こそが、いまぼくらがフェラーリに求めている姿なのかもしれません(そしていまは、それを実現できるギリギリの世の中の状況なのかもしれない)。
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