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まさかこんなことになるとは・・・!スバル・サンバーの「VWバスコンバージョン」が米に輸出されて現地税関で問題となり、VWが法的権力を行使し破壊される

まさかこんなことになるとは・・・!スバル・サンバーの「VWコンバージョン」が米に輸出されて現地税関で問題となり、VWが法的権力を行使し破壊される

| フォルクスワーゲングループは模造品に対して非常に厳しい態度を取ることで知られている |

フォルクスワーゲンのエンブレムを外してもとに戻すとしても許されなかったらしい

さて、「有名になると、今まで許されなかったことが許されなくなる」ということがあるかと思います。

無名であれば誰も気にもとめななかったようなことが、有名になると一挙手一投足が注目されるようになってしまい、何をやっても、もしくはしなかったことですら批判の対象となってしまうことがあるわけですね。

そして今回のスバル・サンバーも同様の例であり、「意図せぬ注目を浴びたため」アメリカへと到着した途端、法的な問題によって破壊されざるを得なくなってしまいます。

なぜこのスバル・サンバーは破壊されることになったのか

まず、このスバル・サンバーはウィスコンシン州ミルウォーキーにあるティキ・バニー・インポーツ(Tiki Bunny Imports)なる会社が米国に輸入したもので、同社は自社での販売のため、また顧客の依頼によって、合法に軽自動車を米国に持ち込むことを専門としています。

そして今回、同社のオーナーであるタイラー・バーグ氏は、このスバル・サンバーにフォルクスワーゲン・タイプ1 コンバージョンキットを装着した1996年式スバル・サンバーを(顧客の依頼に従い)買い付けて日本へと輸入するわけですが、見てのとおりフォルクスワーゲン・バスを連想させるカラーリングが施され、VWエンブレムが装着されています。※軽自動車をワーゲンバスにコンバートするショップはけっこう多い。スバル・サンバーのほかにはスズキ・エブリィベースもある

そこで米国税関・国境警備局はフォルクスワーゲンの現地法人へと問い合わせてその真贋、ならびに「これはちゃんとした手順を踏んで製作されたコンバージョンなのか」を問い合わせることになるのですが、もちろんフォルクスワーゲンはこれについて「違法な無許可のコピー」と判断し、そして米国税関・国境警備局はこのスバル・サンバーを押収することになったわけですね。

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JUN
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アメリカの税関はちゃんと仕事してるんだな!

なお、このスバル・サンバーを購入したのは、奥さんと一緒にこのクルマに乗るために二人でお金を出し合った男性だとされ、日本から出港する際には何ら問題はなく、しかしメリーランド州ボルチモア港へと到着した際に上述のトラブルが発生してしまいます。

そして輸入を代行したタイラー・バーグ氏がこの1件を知ったのは押収から1ヶ月経ったのちだといい、それだけ時間がかかったのはタイラー・バーグ氏のメールアドレスをタイプする際にミスが生じて同氏への連絡が遅れたため。

そしてこの1ヶ月という期間はタイラー・バーグ氏になんらかの対応を行うための時間的余裕を奪ってしまい、タイラー・バーグ氏はこれについて「もし」と語ります。

「もし、ちゃんと私に対してすぐに連絡が届いていたら、あのスバル・サンバーを日本へと送り返し、破壊から救うことができたかもしれません。状況が大きく変わっていた可能性があるのです」。

その後数ヶ月に渡り、なんとかスバル・サンバーを救おうと戦うが

ただ、タイラー・バーグ氏は遅れて届いた連絡に返信し、その後数カ月に渡ってこのスバル・サンバーを救うために奮闘するものの、結果的にVWを代理する法律事務所から一通の書簡が届き、それにはフォルクスワーゲンの有する著作権、そしてスバル・サンバーがそれをいかに侵害したかが説明されており、タイラー・バーグ氏がフォルクスワーゲンバスの模造品を輸入したことを非難する一文にはじまり、「一般の人々は、これらの車両が道路を走っているのを見たりすると混乱し、VWがこの車両を作ったと誤って信じてしまうでしょう」という文言も。※実際にこのコンバージョンキット装着車を本物のVWバスだと勘違いする人も少なくない

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さらにはスバル・サンバーを廃棄することを含め裁判による徹底抗戦までさまざまな解決策が記されており、そこでタイラー・バーグ氏が選んだのは「中間的な」解決策に自身の提案を加えたもので、VWバッジを外し、塗装を変え、スバルのエンブレムを復活させて秘密保持契約書にサインするという内容。

この希望を通すべく税関とフォルクスワーゲンに嘆願を行うものの、結局それは受け入れられず、タイラー・バーグ氏に通知されたのは「廷闘争をしない限り、このバンは管理されたガイドラインに従って処分される」という一方的な決定事項だったのだそう。

かくしてこのスバル・サンバーは廃棄処分となり、スバルのエンブレムがしめすように、空に浮かぶ7つの星の仲間入りをしたわけですが、それと同時に購入と輸入にかかった9,500ドルも水の泡に。

タイラー・バーグ氏は「最初から、これは苦しい戦いになると思っていたんです。しかし、我々はこの常識的な方法が勝つかもしれないと思ったのです。実際に変更されたのは、フロントパネル1枚だけです。それ以外の部分は、確かに塗装も張り替えもされてはいますが、どれもVWの商標とは関係ないんです」。

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この手厳しい失敗によってタイラー・バーグ氏はひどく心を痛めることになるのですが、唯一の救いがあるとすれば、タイラー・バーグ氏がスバル・サンバーの輸入を希望した夫婦のために別途日産パオを調達し納車したこと。

ただ、この件はいくつかの問題をはらんでおり、たとえば日本の税関が出港時に「これをそのまま出してしまった」のはある意味職務を怠ったということになるのかもしれませんし、本来は「国内だけ」を想定していたこのコンバージョンキットが海外に出ることで思わぬ問題となったこと、そしてその案件が「逆輸入」される形で日本でもなんらかの法的なトラブルに発展することなども考えられます(フォルクスワーゲン・ジャパンがこのコンバージョンキットを看過していたことも、フォルクスワーゲン本社から叱責されるかもしれない)。

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参照:The Drive

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