BMWがスポーティーな外観の防弾仕様車「X5 プロテクション VR6」を発表。まさかVIPがこんなイケてるクルマに乗っているとはテロリストも想像できないだろう

｜　いちばん重要なのは「VIPが乗っていると思われない」、つまり襲撃されないことである　｜

さらなるオプションで防弾防爆性能を向上させることも可能

さて、BMWはつい先日、VIP向けの防弾仕様「7シリーズ プロテクション」を発表したところですが、今回はX5の防弾バージョン「X5 プロテクションVR6」を発表しています。

実車は9月に開催される2023年ミュンヘン・モーターショーにて発表される予定ではあるものの、詳細についてはすでに公開済みとなっているため、ここでその内容を見てみましょう。

新型BMW X5 プロテクションVR6はこんなクルマ

このBMW X5 プロテクションVR6においてユニークなのは”他のX5と容易に見分けがつかない”こと。

実際のところ、ダブルバーを持つキドニーグリル、ハイグロス仕上げのカーボンファイバー製Mミラー、ハイグロス・シャドー・ラインによるBMW Individualルーフ・レール、そしてMエグゾーストシステムとデュアルテールパイプなど見かけが非常にスポーティー。

雰囲気的に「VIPがこんなスポーティーな仕様のX5に乗るわけはないだろう」と思うのですが、もちろんそれがBMWの作戦なのかもしれず、というのもいちばん重要なのは「襲撃されたときの堅牢性」よりも「まず襲撃されないこと」だから。

その意味においてこのX5 プロテクションVR6は「狙い通り」だと考えてよく、まずこのクルマは防弾仕様のセキュリティ車両には見えないため「ターゲットとなりにくい」であろうことが推測できます。

ただし見えないところはしっかり「防弾仕様」

ただし一見して「普通に思える」ボディパネルの内側はしっかりと補強されており、ドア、サイド・フレーム、ルーフ、バルクヘッドにはボディにフィットするよう成形された高強度スチール・プレートが装着され、バックドアももちろん防弾仕様、そしてアルミ製のアンダーボディ・シュラプネル・シールドも装着されています。

さらには万が一弾丸や榴散弾が燃料タンクを貫通したとしても「特殊なケーシングが穴を塞ぎ、燃料漏れを防ぐ」構造を採用するなど、高い耐攻撃性能を持っていることもわかります（もちろん特殊な高性能ランフラットタイヤが蔵着されているはずである）。

なお、このX5 プロテクションVR6につき、その名からもわかるとおりに保護等級VR6（10段階のうちの6）を誇っており、しかしそれ以上の保護レベルを求めるユーザーはオプションでアンダーボディアーマーと追加ルーフアーマーを選択することができるようですね。

今回BMWはX5 プロテクションVR6の車体重量を公表していないものの、防弾装備による重量増加が響いて0−100km/h加速は標準仕様のM60iの4.2秒から5.9秒へ、そして最高速は210km/hへ。

しかしながらサスペンションとブレーキシステムは重くなった車重を吸収できるように専用のチューニングが施されているといい、BMWらしい走りの楽しさは損なわれていないのかもしれません。

BMW X5 プロテクションVR6のインテリアも「ノーマル然」

そしてこのBMW X5 プロテクションVR6のインテリアも（エクステリア同様に）標準車両と変わりがないように見え、14.9インチサイズのインフォテインメント・スクリーン、12.3インチ・ドライバー・ディスプレイも備わります。

4ゾーン・オートエアコン、上質なレザーに包まれたスポーツシートも標準装備ですが、BMWによれば「快適性と安全性のため」4人乗りのみを提供している、とのこと。

BMW X5 プロテクションVR6ならではの装備としては、車外との連絡用インターホン・システム、ラジエーター・グリル内のLEDフラッシャー（オプション）、リア・フラッシャー、ホーン・システム付きルーフ・フラッシャー、デジタル・ラジオ用追加レシーバー付きルーフ・アンテナなどがアナウンスされており、ほかの防弾仕様「プロテクション」シリーズと変わらぬ機能が与えられているもよう。

BMW X5 プロテクションVR6の製造を行うのは米国ノースカロライナ州スパータンバーグにあるX5製造工場で、価格は現時点では非公開、しかし2024年2月から納車が開始される予定である、とアナウンスがなされています。

参考までに、BMWは以前より「対テロリスト」訓練を盛り込んだ特別なドライバー教育プログラムも提供しており、こちらは思わず「参加してみたい」と思ってしまうような魅力的なプログラムを持っています。

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参照：BMW