| もしかするとマセラティはEUのガソリン車に対する動向を待ってなんらかの判断を下すのかもしれない |
状況は「ガソリン車の延命」に傾いており、急いでEVを発売することはある意味で「ギャンブル」でもある
さて、マセラティが次期クアトロポルテの発売を2025年から2028年に延期する、と正式にコメント。
なお、この新型クアトロポルテは電動化車両つまり「フォルゴーレ」としてリリースされる予定ですが、マセラティの電動化計画にはいくつかの遅れが生じており、グラントゥーリズモとグレカーレについても生産開始が後ろ倒しとなることがアナウンスされています。
マセラティは2030年以降、すべてのラインアップをピュアエレクトリックモデルとする予定だが
マセラティは現在積極的に電動化を進めるブランドのひとつであり、MC20以降に発表されたモデルについては基本的にピュアエレクトリックグレード「フォルゴーレ」を設定しています。
そしてこれを可能とするのは「ガソリンエンジン、ピュアエレクトリック」双方に対応できるプラットフォームということになりますが、MC20だと2025年にこの”フォルゴーレ”が登場するとされ、そして新型クアトロポルテはその3年後に発売されるということに。
なお、新型クアトロポルテの発売延期の理由について詳しくは語られていないものの、パワートレーンの改良そしてコスト削減が理由だと報じられており、(親会社の)ステランティス各ブランドとともにEVの開発を行う段階にてなんらかの「より良い方法」が見つかったのかもしれません。
なぜマセラティはそこまで電動化を急ぐのか
なお、ちょっと不思議なのが「なぜマセラティはそこまで電動化を急ぐのか」。
マセラティは2019年頃から急激に電動化を全面に押し出すようになり、「電動化、セクシー、GT」というキーワードを用いることで他ブランドとの差別化を行うという意向を見せています。
この方向性は同門のアルファロメオとも近いものがありますが、基本的にステランティスグループ全体として電動化への移行を強く推し進めているという印象があり、「電動化」を他自動車メーカーとの差別化要因だと認識している可能性がありそうです(以前はたしかに差別化要因となった可能性もあるが、今ではそうではないだろう)。
ただしまだまだ発展途上の技術であるエレクトリックパワートレーンに社運を賭け、かつインフラが整っていない状態で電動化へと舵を切ることは「ギャンブル」だと見る向きも少なくはなく、法的に義務づけられる前にマカン「EV」を発売してきたポルシェ同様、この勝負が吉と出るか凶と出るかは全くのナゾ。
気候変動に対する欧州連合の今後の姿勢は間もなく調整される可能性があり、もしかすると「2035年に内燃機関搭載車販売禁止」の決定が覆され、今後20年にわたって内燃機関搭載車の販売が許可される可能性も少なくはなく、そうなった時に消費者が「ガソリン車よりもEV」を選ぶ可能性が高いとは考えられないため、これは分の悪い賭けなのかもしれません(そう考えると、EUの動向次第では、次期クワトロポルテは方向性を転換しガソリンバージョンも用意されることになるのかもしれない)。
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