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マセラティが完全EV化推進を撤回した理由はたったひとつ。「EVは反応が”非常に”よくありませんでした。”顧客は“ピュアな機械”を求めているようです」

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| マセラティ、「完全EV版MC20」を正式にキャンセル |

マセラティは経営体制の刷新とともに「180度舵を切る」

モデナを拠点とする高級車メーカー、マセラティ。

歴史的なレースで勝利を収めてきた伝統のスポーツカーメーカーではありますが、今年3月にはMC20の完全EV化を中止するというコメントが出されており、それまで進めてきた「全モデルに対し、ガソリンとピュアエレクトリック両方のパワートレインを用意する」という計画を撤回しています。

これはすでに発表した電動モデル(フォルゴーレ)がさっぱり売れていないこと、その状況において電動化に開発労力やお金をつぎ込むことはできないという判断等が主要因であり、これに付随して電動化含む新しいブランドシフトが顧客に受け入れられなかった責任が追求される形にてマセラティ上層部が「一新」されてしまうことに。

そしてマセラティの新しい経営陣は「失敗のもと」となったピュアエレクトリックモデルを(まずはMC20にて)切り捨てるという判断を行ったというのが真相だと思われます(つまりは複数の要因が複雑に絡み合っている)。

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EVに対する「違和感」が高まっている?

そして今回、マセラティのエンジニアリング責任者であるダヴィデ・ダネジン氏は、Autocar誌の取材にこうコメント。

「バッテリーを積んだスーパーカーに対して“良くない印象”を持っている人が存在します。純粋に“機械的”なクルマを求める顧客は、今も確かに存在します」

この“違和感”の背景には、EVに不可避な複雑化・重量増加・ドライバビリティの変化が考えられ、 こうした声に応えるため、マセラティはピュアICE体験の核であるネットゥーノV6エンジンの採用を継続し、さらには既報の通り、マニュアルトランスミッション(MT)の復活も視野に入れているというのが最新の状況です。

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さらにマセラティでは「V8エンジンの復活」も検討しているという話も聞かれ、これらの方針は今までのマセラティとは全く異なるもので、前CEO世代の「電動化を核とした、インテリジェントで未来的なブランドへ」という方向性から、新CEOの管理下では「アナログなガソリンエンジン、場合によってはマニュアル・トランスミッションを組み合わせた」レトロな方向へと向かうのかもしれません。

現時点ではまだ「新しいマセラティ」の計画などが発表されていないので「ナントモ」ではありますが、おそらくはアルファロメオとセットにてブランディングが再考されているものと思われ、親会社であるステランティスからの承認を待っている状態なのだと推測しています。※マセラティの新CEO、サント・フィチリ氏はアルファロメオのCEOも兼任している

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まとめ:マセラティは「反EV」の象徴となるか?

マセラティはもともと「ハイブリッドを投入せず、”ガソリン”もしくは”ピュアエレクトリック”という両極端のラインアップ展開を行い、しかしピュアエレクトリックモデル(フォルゴーレ)の比重を高めることで徐々に電動化ブランドへとシフトすることを考えていたものの、上述のように(モデルによっては)ピュアエレクトリックバージョン計画を廃棄したため、残るは「ガソリンのみ」。

この状況は「ハイブリッドスポーツ」の拡充を進めるマクラーレン、フェラーリ、ポルシェ、ランボルギーニに対しても「排他性」を持ち、とくにスポーツカーを愛する顧客に対しては大きなアドバンテージとなる可能性も。

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そしてマセラティはこの状況を逆手に取って「原点回帰とも言える方向へとシフトし、
エンスージアストが求める「ピュアドライビング」の価値を改めて打ち出そうとしているのだと思われます。

ガソリンエンジン、V6、マニュアル、軽量設計。こうした“古き良きスポーツカー”の要素は、今後高く再評価されてゆく可能性もあり、マセラティはその旗手となるのかもしれませんね。

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参照:Autocar

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