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フォード「EVが売れないのでEV工場をガソリン車用に転換しトラックを生産します。トラックの需要は非常に強く、これによって利益を最大化します」

フォード「EVが売れないのでEV工場をガソリン車用に転換しトラックを生産します。トラックの需要は非常に強く、これによって利益を最大化します」

Image:Ford

| それにしてもアメリカ人のトラック大好きっぷりには驚かされる |

フォードはこれまでの戦略を転換し「マルチパワートレーン」へ

さて、現在多くの自動車メーカーがEVの需要減退に対応する形で方針の変更を余儀なくされており、「EVからPHEV、ハイブリッドへ」といったシフトも多く見られます。

そしてつい先日、GMのCEO、メアリー・」バーラ氏が「EV販売に関する目標を達成することは不可能である」とコメントしたところですが、今回はフォードが「EV専用工場のラインを転換し、ガソリンエンジンを積んだトラックを生産することにした」と発表。

なお、フォードは非常に(環境変化に対する)対応が早い会社であり、SUVブーム初期には「乗用車から撤退してSUVとトラックに集中する」という戦略を採用したことも(あれはかなりの驚きだった)。

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なぜフォードはEVから内燃機関搭載トラックへと工場をトランスフォームするのか

もちろん今回の判断は「EVが売れないから」ですが、対象となる工場はカナダのオークビル組立工場。

このオークビル組立工場ではEVの生産が予定していたほど行われず、よってフォードは「どうやってもこの工場が(EV専用の組立工場のままだと)損失を出してしまう」という結論に至り、つい先日まではこの工場を閉鎖することを検討していたのだそう。

しかしながらそこから大きな進展が見られ、フォードはこのオークビル組立工場にて「次世代のスーパーデューティ トラック」を製造するという判断を下して工場の存続を決め、この工場にてハイブリッドまたはプラグイン ハイブリッドドライブトレインを使用したトラックの生産を行うこととしたわけですね。

これは他の自動車メーカー同様に「マルチパワートレーン戦略」を採用するという戦略となりますが、なによりも雇用が確保されることとなったオークビル組立工場の従業員にとっては朗報かもしれません。

「スーパーデューティ(トラック)は世界中の企業や人々にとって不可欠なツールであり、ケンタッキー トラック工場とオハイオ組立工場がフル稼働しているとしても、需要を満たすことはできません。今回の(オークビル組立工場の転換という)動きはお客様に利益をもたらし、フォード・プロ部門の商用ビジネスを加速させます。同時に、3列のユーティリティビークルの導入も期待でき、この3列ユーティリテ ビークルに加え、米国第2位の電気自動車ブランドとしての知識を活用し、素晴らしい収益性の高い車両を提供します。」

フォード CEO ジム・ファーリー

    今の時代に求められるのはフレキシビリティである

    当初フォードはこのオークビル組立工場で乗用電気自動車を生産する計画を持っていたものの、これを転換して来年から収益性の高い(利益の出る)トラックを生産することになり、これはフォード(と顧客、そして従業員にとっても)大きなメリットをもたらすことになるものと思われます。

    もちろん方針の転換には大きな痛手が伴うことにはなりますが、現代の自動車メーカーの経営に要求されるのはなによりも「刻々と変動する状況に対応しうる柔軟な経営姿勢」だと考えて良く、フォードはある意味でその手本だとも言えそうですね(一方で日本の自動車メーカーのように、状況を見定めてから動くという手法も有用である)。

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    フォードは今後スーパーデューティシリーズの生産拡大に約30億ドルを費やす計画を持っており、オークビル工場での「組立および統合スタンピング オペレーションの導入」には23億ドルを投入することになりますが、この動きにより約1,800人の雇用が確保されることについても言及していて、この判断はおそらく皆にとって最良であったのかもしれません。

    上述の通りフォードは電動化に大きく賭けていたものの、この突然の動きは状況が変わったことを示しています。

    大型そしてV8エンジン搭載トラックへの投資を増やし、電気自動車の生産を遅らせたことは、フォードが現在の需要に合わせて計画を調整している兆候だとも考えられ、現在EVレースでテスラに次ぐ2位というポジションを確保しているフォードがこの判断を行ったということは大きな驚きでもありますね。

    なお、この4月、フォードは電気自動車1台を販売するごとに13万ドルという驚くべき損失を出していることを認めていますが、その一方で(ありがたいことに)フォードのトラックとハイブリッド車は非常に良く売れており、モデルe(EV)部門の比較的不振な業績を相殺するという効果を創出しています。

    参考までに、2024年第2四半期、フォードはFシリーズトラックを199,463台販売したものの、同時期のEV販売は23,957台にとどまり、しかしフォードは電気自動車をあきらめたわけではなく、テスラや手頃な価格の中国製代替品に対抗するために3万ドル未満のEVを導入する予定であることも報じられ、つまりフォード今後「対応を一本に絞らず」、資本の再分配によってその時その時の状況に応じて利益を最大化してゆくということなのだと思われます。

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